銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

フィンテック

ビットコインETFとは何か

米証券取引委員会(SEC)が暗号資産(日本政府や当局は暗号資産と読んでいますが、仮想通貨の方が一般的な名称と思います)であるビットコインを運用対象とする上場投資信託(ETF)の上場申請を初めて承認しました。 そして、1月11日から米資産運用大手のブ…

銀行への仮想通貨保有規制案は「銀行に仮想通貨を保有するな」と言っているに等しい

バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会、Basle Committee on Banking Supervision(BCBS))が、銀行によるビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の保有を規制する案を公表しました。 規制案が発表された際には、仮想通貨が一時的に上昇したと報道されま…

ビットコインは「環境の敵」になるかもしれない

仮想通貨(暗号資産)ビットコイン価格が2021年に入ってからさらに急騰しています。 ビットコインの価格がバブル化は筆者には分かりません。これは株価におけるPERやPBRのような尺度が、ビットコインにはないためです。 ビットコインは誰もが「まだ上がる」…

給与のデジタル払い解禁は地銀の存在感を消し去るかもしれない

政府が会社員への給与のデジタル払いを本年春から認める方針を示したと一部で報道されています。 この「給与のデジタル払い」、すなわちPayPay等の「資金移動業者」を通じて給与を支払う仕組みは、導入されると、給与を受け取る個人にとってメリットとなる可…

給与のデジタル払いは、非正規雇用者・副業者・外国人労働者にメリット

政府が会社員への給与のデジタル払いを認める方針を示したと一部で報道されています。 この給与のデジタル払い、すなわち、PayPay、LINEペイ等の資金移動業者を通じて給与を支払う仕組みは、銀行、特に地方銀行のビジネスを破壊する威力を秘めていますが、一…

ビットコインの価格高騰に理由なんてない

仮想通貨(暗号資産)ビットコインが初の3万ドルを突破しました。そして4万ドルに迫っています。 2020年12月16日に2万ドルを突破してから、わずか半月ほどで3万ドルを突破、そして今や2倍近くにまで上昇しています。 コロナ禍において金融緩和により溢れたマ…

日本における中銀デジタル通貨(CBDC)は民間銀行を駆逐しない方向に

中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての動きが各国で出てきています。 そのCBDCをめぐる動きでは、非常に重要な方針が、日銀総裁の発言および日銀のWebサイトで発表されました。 この方針次第では、民間の銀行の存続すら脅かされる可能性があったため、発表…

日銀が中央銀行デジタル通貨の発行に向けて動く理由

デジタル通貨の検討のため、日本銀行(日銀)がグループを新設したと報道されています。 デジタル通貨を導入するとどのような良いことがあるのでしょうか。 Suicaと何が違うのでしょうか。 そして、なぜ日銀はデジタル通貨を検討するのでしょうか。 今回はデ…

日銀の中央銀⾏デジタル通貨に関する技術的課題認識

日本銀行が「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」というレポートを発表しています。 このレポートでは、中央銀⾏デジタル通貨(CBDC: Central Bank Digital Currency)の技術的な課題について焦点を当てています。具体的には「誰もが…

コロナ禍で窓口が混んでいるのは銀行の自業自得

外出自粛の中、銀行の窓口が混雑していると話題になっています。 これはコロナ禍での資金繰り相談で企業の担当者が来店しているのではなく、個人の不要不急の手続きによるものとされています。 なぜ銀行の窓口に個人が訪れているのでしょうか。 今回は混み合…

デジタル通貨の研究は加速するが、導入実現は簡単ではないという予測

日本銀行(日銀)やECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、スイス中央銀行、カナダ銀行等、6つの中央銀行がデジタル通貨の共同研究を行う組織を立ち上げると発表しました。 現時点ではデジタル通貨を早急に発行するということにはなっていませんが、非常に…

クラウドファンディングは金融機関の存在意義を考えさせる~出版の場合~

以前お知らせ致しました筆者の小説「ヂメンシノ事件」の出版にかかるクラウドファンディングのスタートが近づいてきました。 現在、募集のプロジェクトページ初稿を運営会社に提出したところです。 <プロジェクトページ/限定公開URL> camp-fire.jp https:…

口座維持手数料は愚策〜銀行離れを加速させる可能性も〜

銀行の口座維持手数料導入の動きが出てきています。 各国が金融緩和に動く中、日本銀行もマイナス金利の深堀を行う可能性が出てきたことに起因するものでしょう。 今回は銀行の口座維持手数料について簡単に考察してみたいと思います。 直近の動き なぜ口座…

中央銀行発行のデジタル通貨“Central Bank Digital Currency”(CBDC)のメリットと課題

日本銀行の雨宮副総裁が、デジタル通貨について近い将来の発行はないと発言しました。 日本ではキャッシュレス推進のための動きが盛んになっていますが、一方で事業者・規格が乱立しておりキャッシュレス化が進まない要因の一つと言われています。 その解決…

FacebookのLibra(リブラ)は既存の金融システムをひっくり返す可能性も

(出所 Libra Association Webサイト) 世界最大のSNS「Facebook」を中心とする企業連合が仮想(暗号)通貨「Libra(リブラ)」の発行を計画しています。 このLibraについては、大きく報道されている一方で、各国政府や中央銀行等から厳しい反応も相次いでい…

給与のデジタルマネー払い解禁は、銀行のビジネスモデルを破壊する懸念

会社から支払われる給与について、デジタルマネーで受け取ることができるようにする規制改革が議論されています。 これに対して銀行が警戒感を持ち、新規参入をけん制していると報道されています。 デジタルマネーでの給与受取ができるようになることは銀行…

送金業務は簡単には銀行から無くならないという残念な予想

規制緩和や新技術の開発・普及により、銀行の機能は次々とフィンテック企業等が代替するとの予想があります。 日本でも送金業務につき銀行以外への規制緩和が段階的に進んできましたが、さらに緩和されると報道されています。 今回は、銀行から送金業務が無…

仮想通貨の呼称を暗号資産に変えるのは妥当か?

政府が仮想通貨の呼称を「暗号資産」へと変更する法律改正案を公表しました。 今回はこの仮想通貨の呼称変更について簡単に考察しましょう。 報道内容 (参考情報)バーゼル銀行監督委員会の発表 法律改正案の内容 所見 報道内容 政府が仮想通貨を暗号資産と…

デジタル法定通貨が簡単には実現しない訳

日本銀行の雨宮副総裁が現時点ではデジタル通貨の発行計画がないことを衆議院の予算委員会で述べたと報道されています。 なぜ、日本銀行はデジタル通貨を発行しないのでしょうか。日本政府がキャッシュレス化を進めている中で、デジタル通貨を中央銀行が発行…

銀行口座の入出金情報を活用した企業の信用力評価研究事例

日本銀行とりそな銀行が銀行口座の入出金情報を活用した企業等の信用リスクを評価する共同研究(「入出金情報を用いた信用リスク評価」)の結果を発表しました。ビッグデータ、機械学習、AI等を活用したファイナンスの研究は銀行のみならずフィンテック企業…

AIは金融分野で人(ヒト)を駆逐するのか~資産運用の場合~

「AI」という用語が急速に浸透してきています。 AI=人工知能を活用した様々なサービスが生み出され、AIという用語をメディアで見ない日は無いとっても良いでしょう。 そして、AIは人(ヒト)を代替するようになり、様々な職業が無くなるとも言われています…

銀行保有情報の第三者への提供は新たなビジネスの芽になり得る

金融庁の金融審議会「金融制度スタディ・グループ」が金融機関による情報の利活用に係る制度整備についての報告を公表しました。 この報告書では、銀行本体で情報を活用したビジネスを営むことを可能とすべきとの方向性が述べられています。 今回はこの報告…

【余話】「PAYPAY」の不正利用はかなりヤバい問題~アプリ利用者以外にも影響あり~

かなり大きな問題となりそうなニュースが報道されています。 今回は速報として、記事を掲載します。 報道内容 「PayPay」 不正利用相次ぐ 覚えない請求に注意を2018年12月17日 16時36分 NHK Web News QRコードを使ったスマートフォンの決済サービス…

仮想通貨規制の今後~金融庁案の全体像~

金融庁の仮想通貨交換業等に関する研究会が報告書の案を公表しました。本研究会は、仮想通貨交換業者の不正アクセス・仮想通貨流出等の状況を受け、仮想通貨交換業等を巡る諸問題について制度的な対応を検討するため、2018年3月に設置されていたものです。 …

保険会社のビッグデータ活用方法~情報の使い方には留意が必要~

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(平成30事務年度第4回)が開催されました。 この審議会では「情報通信技術の飛躍的な発展等を背景に、金融と非金融の垣根を超えた情報の利活用が可能となり、従来は存在しなかった利便性の高い革新的なサービスが…

日銀のAIワークショップから学ぶ、銀行がデータビジネスに乗り出す背景と危機感

近時、AIという言葉を聞かない日はないと言えるでしょう。 銀行業界でもAIをどのように活用するのか、AIで何かできないか、AIを活用したIT企業・フィンテック企業に銀行業界が淘汰されるのではないか、等の話題が出ることが多くなっています。 今回は、日本…

デジタルマネーでの給料支払は銀行への更なる追い討ちになる可能性

給与・賃金の支払いにデジタルマネーが認められるとの報道がなされました。 これは非常に驚きのニュースといえます。銀行のビジネスモデルの一端も崩れる可能性があります。 今回は、なぜ給与・賃金にデジタルマネーでの支払いが認められていなかったのか、…

仮想通貨の証拠金取引の倍率上限は下がる方向に

金融庁が開催している「仮想通貨交換業等に関する研究会」の第7回が2018年10月19日に開催されました。 当日時点では議事に使用された資料のみが公開されていますが、報道では仮想通貨の証拠金取引、信用取引について規制すべきとの議論がなされたようです。…

NTTドコモ「信用スコア」算出サービスの拡大は限定的である可能性

NTTドコモがスマートフォンの利用状況等を分析して個人の信用を算出するサービスを金融機関向けに実施すると発表しました。 今回はこのNTTドコモの取り組みについて考察します。 NTTドコモの発表内容 報道内容 サービスの背景 まとめ NTTドコモの発表内容 ま…

銀行の振込時間を24時間365日に拡大することは最低限の対応

2018年10月9日より、銀行の振込が24時間365日可能となるシステムが稼働開始します。 今回はこの振込時間の拡大について確認しましょう。 報道内容 なぜ今まで振込時間に制限が設けられていたのか 今後の振込時間 所見 報道内容 24時間365日の他行振込が可能…