銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

金融政策

日銀の金融システムレポートに見るコロナ禍での企業資金繰り

日本銀行(日銀)が金融システムレポートを発表しました。 このレポートは、⾦融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを⽬的として、年 2 回公表されているものです。 今回(2020年10…

日本における中銀デジタル通貨(CBDC)は民間銀行を駆逐しない方向に

中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての動きが各国で出てきています。 そのCBDCをめぐる動きでは、非常に重要な方針が、日銀総裁の発言および日銀のWebサイトで発表されました。 この方針次第では、民間の銀行の存続すら脅かされる可能性があったため、発表…

銀行が狙うべき新たな事業領域は人材派遣業かもしれない

金融庁が2020年10月7日開催の金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」で、銀行規制の緩和案を示しました。 報道で最も触れられているのは、銀行子会社が地域経済の活性化を目的とした会社に100%まで出資することを認める規制緩和案でしょう。コロナ禍…

コロナ禍におけるマクロの問題は、個人に余剰資金が滞留していること

家計の手元資金が余剰になっています。 日本銀行(日銀)は資金循環統計として四半期ごとに各部門の資金過不足を公表しています。 今回は、コロナ禍において、この資金過不足がどのような状況になっているかを確認しましょう。 少しは、コロナ禍における政策…

地銀は本当に数が多すぎるのか?

自民党総裁選への出馬を表明している菅官房長官が、地方銀行(地銀)について「再編も一つの選択肢になる」と発言し注目されています。 菅官房長官は、地銀は「将来的には数が多すぎる」とも発言しています。 そこで、素朴な疑問が沸きます。 確かに地銀は本…

金融庁の2020年度金融行政方針における銀行のトピックス

金融庁が「令和2事務年度 金融行政方針」を発表しました。 タイトルは「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」です。 金融行政方針は、金融庁が今後1年で取り組む重点施策を盛り込んだものであり、金融行政の方向性について非常に参考になるものです…

コストの高い投資信託はパフォーマンスが悪いという不都合な事実

金融庁が「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標 (KPI)に関する調査」を公表しました。 これは国内の運用会社が発売している投資信託が本当に投資家のためになっているのか、運用コストと運用パフォーマンスの間にきちんと相関関係がある…

コロナショックで見る日米債券市場における投資家層の相違

コロナ禍が続いています。 コロナ感染症が拡大した2020年3月から4月にかけて、米国では、国債市場に止まらず、地方債や高格付の社債市場等においても、流通スプレッドが大幅に拡大するなどの不安定な動きがみられました。 一方、日本の社債市場では、3月から…

私募投信残高100兆円突破は地域金融機関の運用力の無さの象徴

私募投信の残高が初めて100兆円を突破しました。 この事象は金融緩和の環境下においてどのような意味を持つのでしょうか。 そもそも私募投信を購入しているのは「誰」でしょうか。 今回は私募投信の残高を通じて、地銀の経営について少し考えてみましょう。 …

銀行はコロナ禍の中で取引先をきちんと支援しているのか?

日本銀行(日銀)が発表した2020年7月の貸出・預金動向を見ると全国の銀行の貸出平均残高は急増しています。 今回は銀行の貸出残高の動向を確認することによって、コロナ禍の中で銀行が果たしている役割について確認してみましょう。 日銀貸出・預金動向 銀…

なぜ現金の流通が多くなっているのか~キャッシュレス化を阻むもの~

日本は他国に比べて紙幣の流通量が突出して多いことが知られています。 これは何故なのでしょうか。 日本銀行の理事がこの理由について解説しています。 非常に分かりやすい説明であり、今回はこの「日本で現金の流通が多い理由」について簡単に確認していき…

日銀が中央銀行デジタル通貨の発行に向けて動く理由

デジタル通貨の検討のため、日本銀行(日銀)がグループを新設したと報道されています。 デジタル通貨を導入するとどのような良いことがあるのでしょうか。 Suicaと何が違うのでしょうか。 そして、なぜ日銀はデジタル通貨を検討するのでしょうか。 今回はデ…

銀行の不良債権問題はこれから

日本銀行が金融システムレポート別冊シリーズ「2019年度の銀行・信用金庫決算」を発表しました。 このレポートにおける銀行の決算の状況、本業の利益の推移、貸出利鞘・利益の推移については、前回の記事で確認してきました。 今回の記事は、前回の記事の続…

銀行の2019年度決算と銀行が構造不況業種であるという事実

日本銀行が金融システムレポート別冊シリーズ「2019年度の銀行・信用金庫決算」を発表しました。 日本の銀行業は低金利下で構造不況に陥って久しいとされていますが、2019年度の業績はどうだったのでしょうか。あまり注目されることのない信用金庫の決算含め…

日銀の中央銀⾏デジタル通貨に関する技術的課題認識

日本銀行が「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」というレポートを発表しています。 このレポートでは、中央銀⾏デジタル通貨(CBDC: Central Bank Digital Currency)の技術的な課題について焦点を当てています。具体的には「誰もが…

銀行から投資信託・外貨建保険などの運用商品を買ってはいけない

金融庁が「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」を発表しました。 金融庁は、日本国民が、金融事業者の「顧客本位の取組み」の状況を比較でき、より自分にあった金融事業者を選択し、自身の資産形成に取り組めるような…

銀行業界の「書面・押印・対面主義」見直しの動き

コロナ禍において、在宅勤務を経験した方もいるでしょう。 この在宅勤務を阻害した要因の一つに金融機関の「書面・押印・対面主義」とでもいえる紙での取引慣行があります。 この商慣行を打破すべく、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向け…

邦銀のCLO投資に対する金融庁と日銀の調査結果について

金融庁が懸念を抱いていた、邦銀が保有する高格付けのローン担保証券(CLO)等について金融庁と日本銀行(日銀)が調査報告を発表しました。 米金融当局が社債購入を含む景気支援策を導入したことを受けてクレジット市場は一旦は回復しています。但し、一部…

ETFでの含み損を免れた日本銀行の決算

日本銀行(日銀)が発表した令和元年度の決算は、2020年3月末の国債などの総資産残高が前年度比8.5%増の604兆円と、8年連続で過去最高となりました。もちろん、総資産が600兆円を上回るのは初めてです。総資産で日本のGDPを軽く超えている状態にあります。 …

金融庁が公表した銀行のコロナ対応の現状

新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例を金融庁が公表しています。 金融機関のコロナ対応取組みのうち、他の金融機関の参考となる事例について、金融庁が随時取りまとめ・公表しているものです。 この対応事例は銀行員のみならず、債務者(…

日銀の金融システムレポートで指摘されている主な3つのリスクについて

日本銀行(日銀)が2020年4月の金融システムレポートを発表しています。 ⽇銀は、⾦融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを⽬的として、⾦融システムレポートを年2回公表しています…

コロナショックの影響で資金繰りが厳しいのは本当に中小企業なのか?

新型コロナウイルスの感染拡大で、企業の資金繰り悪化が懸念されています。 政府は、資金繰りの悪化が懸念される中小企業に対し、地方銀行や信用金庫など民間金融機関経由でも無利子・無担保融資を実施することを決め、事業継続に向けた給付金措置の創設も固…

ロックダウンが噂される中で証券取引所閉鎖論について思うこと

世界的な株価暴落やロックダウンの恐れがある中で、取引所の閉鎖が行われるのではないかとの報道がなされています。 株価が暴落している最中には底が見えないこともあり、株価回復をしなければ支持率が低下するような為政者は、問題が解決するまで株式市場を…

円高は本当に悪いことなのか~常識を疑ってみる~

新型コロナウィルスの影響により株式市場等では混乱が続いています。そして、為替についても動きが激しくなっています。 日本の報道では、他通貨、特にドルに対して円高になると、日本経済にとって良くないとのニュアンスで報じられます。また、金融市場が動…

株価暴落に伴う日銀の債務超過の可能性について考えてみる

「コロナショック」による株価の暴落が続いています。 この株価暴落で日本銀行(日銀)の財務が棄損し、債務超過に陥るのではないかという報道がなされています。 今回はあまり見る機会のない日銀の財務状況と、株価下落による債務超過の可能性について、簡…

デジタル通貨の研究は加速するが、導入実現は簡単ではないという予測

日本銀行(日銀)やECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、スイス中央銀行、カナダ銀行等、6つの中央銀行がデジタル通貨の共同研究を行う組織を立ち上げると発表しました。 現時点ではデジタル通貨を早急に発行するということにはなっていませんが、非常に…

日銀の審議委員による厳しい指摘「金融機関は供給過多」

日本銀行の原田審議委員が講演と記者会見で金融機関について述べた意見が少し話題となっています。 厳しい収益状況にある銀行を含む金融機関については「低金利という問題を克服すればすべて解決するわけではない」「貸出以上に預金が集まってしまうという構…

日銀のマイナス金利深堀は近いか〜政策決定会合で明らかになった銀行の味方が少ないという現実〜

2019年11月6日に日本銀行(日銀)が2019年9月に開催した金融政策決定会合の議事要旨が公表されました。 この議事要旨は日銀の将来における金融政策を予想する助けとなります。 近時、マイナス金利幅の拡大(深堀)が意識され始めていますが、日銀の議論のニ…

日銀がマイナス金利拡大を実施した場合の地銀への影響を簡単に試算する

格付大手のS&Pが、日銀がマイナス金利を0.1%拡大した場合に銀行収益へ及ぼす影響を公表しました。 同社の試算によると、地方銀行64行のうち56行で貸出業務が赤字となります。 ほとんどの地方銀行が本業で赤字となることになるのです。 今回はこのS&Pの試…

銀行のCLOへの投資は本当に大きな問題なのか?

CLOと呼ばれるローン担保証券への銀行の投資が注目を集めています。 CLOは、Collateralized Loan Obligationの略称で、銀行が事業会社などに対して貸し出しているローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいいます。 こ…