銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

その他

2022年は「戦争とインフレ」の年

読者の皆さんにとって2022年はどのような年だったのでしょうか。 筆者にとっては、完全に流れが変わったと感じた年でした。 2020年からコロナ禍が始まり、時間が失われたり、止まったりしているように筆者は感じていましたが、それは幻想だったと思わされま…

コロナ第6波はいつがピークなのか

みずほリサーチ&テクノロジーズが、2022年2月4日に、最新の感染状況を基にした新型コロナウイルスの流行見通しを公表しました。 タイトルは「東京の感染ピークアウトは 2 月前半に~今から緊急事態宣言を発令するメリットは限定的~」です。 この見通しでは…

銀行員が振り返る2021年の出来事

2021年が過ぎ去ろうとしています。 コロナ一色だったように思われる一年ではありましたが、思い返してみると様々な動きがあった年でありました。 この暮れが迫った時期に2021年はどのような年だったのかを振り返ってみたいと思います。 1月 2月 3月 4月 5月 …

2020年3月期の主要行および地域銀行の決算結果

2020年3月期は一般企業にとってのみならず、銀行にとっても様々なことがあった決算期でした。 まさか最後にコロナウィルス感染症拡大の問題が起きるとは誰も想像していなかったでしょう。 2020年3月期の決算では、多くの企業がコロナの影響を受けました。も…

コロナ対策で誰を守るのかという視点~感染拡大防止か、将来の自殺者増防止か~

京都⼤学レジリエンス実践ユニット(ユニット⻑:藤井聡)が、新型コロナウイルス感 染症への対策に伴う経済活動の縮⼩が、実質GDP成⻑率、失業率、⾃殺者数に与える影響について試算しました。 この試算はあくまで一つの考え方でしかありませんが、筆者には…

緊急事態宣言が発令された4月上旬の消費はどうなったのか?

緊急事態宣言以降の経済活動停滞によって、どの程度、経済は悪化しているのでしょうか。少なくとも消費の落ち込みは生活必需品等を除けば、相当な影響となっていることが想定されます。 ほとんどの統計は、後から発表されるため速報性に乏しく、足元の実績は…

世の中の一般的な家賃や住宅ローン返済額はどの程度なのか?

新型コロナウィルス感染症拡大、 非常事態宣言に伴い、 雇用や収入の不安が出てきています。 個人にとってみれば、毎月の支出で最も大きい項目は住居関連費用でしょう。 賃貸住宅に住んでいる方は家賃、住宅を購入している持家の方は住宅ローン返済が、固定…

収入が途絶えた場合、我々個人が生活を維持できる期間はどの程度か

今回の新型コロナウィルス感染症拡大の影響が企業業績や個人の事業にも及んでいます。 個人にとってみても、万が一にも勤務する企業が倒産したり、自らの職を失ったりすることも想定されるでしょう。 我々一人ひとりにとっては、この経済危機に対する備えは…

コロナの影響を受け3月下旬の消費はどうなったか?~数字を冷静に見る~

新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、外出自粛等が続いています。 当該記事をご覧の読者の方の中にも在宅勤務等、外部の接触を極力減少させている方は多いでしょう。 この日本全体の経済活動停滞によって、どの程度、経済は悪化しているのでしょうか。少…

住宅ローンの返済猶予を銀行に相談することはできるのか?

緊急事態宣言を受け、小売店舗、飲食店等の営業自粛、売上急減が起きています。事業者としては本当に厳しい状況でしょう。 また、在宅勤務が実施されることで、 残業代が著しく減少しているサラリーマンもいることでしょう。 個人にとって、収入が減少した際…

コロナショック後の3月上旬の消費はどうなっているのか?

新型コロナウィルスの感染拡大によって、ほとんどの産業で活動が停滞しています。 この状況は特に2020年3月に入ってから顕在化していますが、消費の落ち込みは生活必需品等を除けば、相当な影響となっていることが想定されます。 この消費の落ち込みはどの程…

コロナの影響を受けているコンサートの市場規模はどの程度なのか

新型コロナウィルスの影響で、コンサートを中止・延期するアーティストが相次いでいます。 Perfume や EXILE が公演を中止したことや、RADWIMPS がコンサート中止にかかるツイートの中で「もし自己破産したら」 との言葉が出て、 大きな話題ともなりました。…

あえて言うならば、学校休校よりも公共交通機関対策こそが重要では?

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために政府が全国一律の休校要請を行いました。 小中高校について一斉に休校を促すものです。 今回はこの要請について、ほんの少しだけ考察します。 小中高の在学者数 駅の乗降客数 ちょっとした「異見」 小中高の在学者…

それでもあなたはカジノに行きますか?

日本では「IR」の導入についての動きが加速してきています。 IRとは、カジノのほかホテルや劇場、国際会議場や展示会場などのMICE施設、ショッピングモールなどが集まった複合的な施設のことです。英語でのIntegrated Resortの頭文字の略がIRです。日本では…

日本の「貧困」について整理しておきたい

日本は経済大国と言われながら、貧困が多いとされています。 7人に1人が貧困にあえぎ、母と子のひとり親世帯では半数以上が貧困に苦しむ、との報道がなされているのをご覧になった方も多いでしょう。 しかし、日本で一般的に生活していると「貧困」世帯の存…

氷河期100万人就職支援施策についての単なる意見ですが

日経新聞が政府の氷河期100万人就職支援策について報道しています。 今回は、この支援策について簡単に所見を述べたいと思います。 報道記事 所見(単なる意見) 報道記事 まずは日経新聞の記事を引用します。 氷河期100万人就職支援、政府 研修業者に成功報…

【余話】大塚家具の記事をまとめた電子書籍を刊行

本日、大塚家具のブログ記事をまとめた電子書籍を刊行しました。 AmazonのKindleダイレクト・パブリッシングを使っています。 iPhoneやAndroidスマホでもAmazon Kindleのアプリさえあれば読めますので、ぜひよろしくお願い致します。 なお、kidle unlimited…

銀行の経営トップはなぜ「頭取」と呼ばれるのか

銀行という組織は特殊だと思う方は存在するでしょう。 例えば、「銀行員」という用語が存在します。銀行も会社ですから、普通に「会社員」「サラリーマン」等と言えば良いのに、なぜか銀行員です。 このような銀行の特殊性の一つが、組織のトップの名称です…

日本学生支援機構の奨学金事業の不良債権はスルガ銀行並み

日本学生支援機構の貸与型奨学金で借入額に応じた保証料の徴収が検討されています。 この背景にあるものは何でしょうか。学生が社会人になっても奨学金を返すことが出来ない理由はどのようなものでしょうか。親族による保証を廃止するということはどのような…

【余話】スルガ銀行についての記事をまとめて電子書籍を出版しました

◆スルガ銀行~優等生からの転落~ 銀行員のための教科書 https://www.amazon.co.jp/dp/B07K5VSLQH/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_sSW3BbAYCMSTJ すごい時代になったと実感します。 ブログで個人の意見、解釈等を世の中に発信することができるようになりました。 そして…

銀行の振込時間を24時間365日に拡大することは最低限の対応

2018年10月9日より、銀行の振込が24時間365日可能となるシステムが稼働開始します。 今回はこの振込時間の拡大について確認しましょう。 報道内容 なぜ今まで振込時間に制限が設けられていたのか 今後の振込時間 所見 報道内容 24時間365日の他行振込が可能…

大学生に聞く「AIによって無くなる業種」のNO.1は銀行

リクルートキャリアが「2018年8月1日時点 内定状況― 就職プロセス調査(2019年卒)」を発表しました。 この調査は大学生の内定状況がメインのトピックスですが、「AIにより無くなる可能性のある職業」についても大学生の意見を聴取しています。 この大学生の…

カジノというシステムの根幹は「有利なルールと大数の法則」

2018年7月6日にギャンブル依存症対策法が参議院本会議で可決・成立しました。 今後も統合リゾート法(IR法)は議論・話題となっていくでしょう。 ところで、カジノの誘致について前提になっていることがあります。 それはカジノを解禁したら、「カジノ業者が…

なぜ銀行の建物は立派なのか~銀行の本質は信用~

(写真は三井本館) 銀行の建物を立派だと感じたことはないでしょうか。 15時には窓口が閉まるにもかかわらず、豪華な外装の銀行のビルはまだ多数残っています。 なぜ、銀行の建物は見栄えが良いものにしているのでしょうか。 なぜ、銀行の本店は巨大なので…

【余話】AmazonのKDPで発刊した電子書籍

すごい時代になったと実感します。 例えば、ブログで個人の意見、解釈等を世の中に発信することができるようになりました。 そして、書籍の出版についても垣根が低くなりました。 AmazonのKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)であれば、原稿さえあれば…

【余話】銀行は「前株」か「後株」かという、どうでもいい話

(画像出典 レッツエンジョイ東京 大手銀行です / 豊洲駅 / レッツエンジョイ東京) 今回の記事では、銀行業界の小ネタとして、銀行の商号における「前株(まえかぶ)」「後株(あとかぶ)」について記載します。 銀行という商号を使う際の法規制 銀行は「前株…

将来予測は人口関連統計に基づくもの以外は信用しないのが鉄則~世帯数推計~

読者の皆さんは、年末から年始にかけて2018年の様々な予測をマスコミ等でご覧になったのではないでしょうか。 有名なエコノミスト等が「今年の日経平均株価は○○円になる」「ドル円は○○円になる」等々と予測をしています。 もちろん金融機関も、年末年始とい…

「美術品信託」という面白い試み

2004年に信託業法が改正されて信託可能な財産には制限がなくなっています。 そのような状況下、日経新聞の記事によるとSMBCグループが「美術品信託」というサービスを開発したようです。 筆者は、この美術品信託は非常に面白い試みだと思います。 今回は、こ…

外債の為替ヘッジを代行するサービスは良い目のつけどころでは

先日、日経新聞に興味深いサービス開始の記事が掲載されていました。 筆者としては銀行が提供するサービスとしては久しぶりに納得感のあるものでしたので今回の記事で取り上げます。 日経新聞の記事 為替ヘッジ付外国債券とは 為替ヘッジ付外債投資ニーズの…

メガバンクの手数料引き上げにかかる考察~結果的に自らの首を絞める怖れも~

2017年12月20日の日経新聞に3メガバンクが両替手数料の引き上げを行うとの記事が掲載されました。 収益が低下している銀行が今後も他の業務で手数料引き上げに動くことは当然想定されます。 この動きがどのような背景によるものなのか、そして今後どのように…