銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

年金

GPIFの2020年度1Q運用実績は過去最高

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が2021年度1Qの運用実績を発表しました。 GPIFの運用実績は赤字になるとマスコミで大きく取り上げられ、将来の年金支給が減るのではないかとの論調が多くなります。 今回の運用実績はどうだっ…

GPIFの2019年度運用実績~足元の大幅赤字だけに注目すべきではない理由~

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)が2020年1~3月期の運用実績を発表しました。 このGPIFの運用実績が3ヵ月間で過去最大の18兆円弱の赤字となったとして話題となっています。 今回はGPIFの公的年金資金運用について見ていくこと…

株価暴落で我々の公的年金は大丈夫なのか?〜GPIFの運用状況試算〜

新型コロナウィルスの影響により世界的に株価が暴落してきました。 この株価暴落により公的年金の積立金を運用しているGPIFが大損を出しているのではないかと一部で報道がなされています。 我々の年金は大丈夫なのでしょうか。 今回はGPIFの運用状況について…

みずほFGの企業年金減額は、キャッシュ・バランス・プランという制度の導入を意味する

みずほフィナンシャルグループ(FG)が、企業年金の減額を検討していると報道されています。 この企業年金減額はどのような仕組みなのでしょうか。 あまり注目されることがない企業年金制度の変更について今回は着目してみます。 報道内容 年金制度の分類 変…

サラリーマンよ、そろそろ公的年金制度について怒るべし

国民年金と厚生年金の統合について衆議院の厚生労働委員会にて野党から提案がなされたと報道されています。 国民年金の受給額は厚生年金に比べて小額であり格差を縮めること (但し、国民年金は定額払い、厚生年金は報酬比例であり納付額は大きく異なります)…

竹中平蔵氏の言う「90歳まで働く」というのは十分にあり得る未来

竹中平蔵氏が「90歳まで働くことになる」と発言したとして、ネットで話題になっています。総じて批判的、悲観的な反応が多いようです。 今回は、この「90歳まで働くことになる」ということについて簡単に考えてみたいと思います。 話題となった記事 元の記事…

在職老齢年金制度見直しの現状〜ちょうどよい見直しでは?〜

厚生労働省が働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直すと報じられています。 現在は65歳以上で47万円を超える月収がある人は年金が減りますが、月収の基準を62万円に引き上げて対象者を減らす案を軸に議論するとされています。 年金が減る仕組みは…

年収890万円未満は"社会のお荷物"という説に言いたいこと

近時、所得や税金、社会保障についての話題が増えました。 金融庁の審議会が発表した報告書が、老後に公的年金だけでは足りず30年間で2,000万円必要と指摘した老後2,000万円問題や、年金の所得代替率が低下する年金財政検証、消費増税等、話題には事欠きませ…

年金財政検証の結果を勘違いしていませんか?

公的年金の財政検証結果が厚生労働省から発表されています。 この財政検証結果については、将来の年金受給者が現役時代と比べた際にどの程度の年金を受給できるのか(所得代替率)に注目した報道がなされています。報道の内容は、総じて「年金が将来も貰える…

年金はなぜ世代間の扶養なのか?~自分の支払った分ぐらいは確保したい人に~

金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書の内容に、政治家やマスコミ等の非難の声が殺到しています。 この報告書によれば、年金だけでは老後の資金を賄うことができないため、95歳まで生きると夫婦で2,000万円の蓄えが必要…

老後2,000万円不足するかは個々の世帯次第~重要なのは自身の将来像~

金融庁が発表した報告書が話題となっています。 定年退職後に公的年金に頼った生活をすると毎月約5万円の赤字が出るとの試算がなされ、長寿化により会社員が定年退職後に95歳まで生きると夫婦で2,000万円の資金が必要という報告内容です。 政府が実施した以…

在職老齢年金は廃止した方が良い~「生涯現役を実現」するしか道はないのでは?~

2018年11月2日に第6回社会保障審議会年金部会(厚労省大臣の諮問機関における部会)が開催されました。 この年金部会では名称の通り我が国の「年金」ついて議論がなされており、今回は「一定額以上の収入がある高齢者の年金を減額する制度である」在職老齢…

企業年金におけるオルタナティブ投資の現状

企業年金のオルタナティブ投資が拡大しているようです。そして、代わりに債券や株式の割合が減少しています。 今回は、この投資の変遷について確認していくことにしましょう。 報道記事 企業年金実態調査結果 2004年度の厚生年金基金と確定給付企業年金基金…

働く意欲をそぐ在職老齢年金とは

在職老齢年金という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。 現役世代には耳なじみのない用語かもしれません。 今回は、この在職老齢年金について確認していきましょう。 在職老齢年金とは 報道記事 労働力人口の推移 在職老齢年金の計算方法 所見 在職…

年金バイアウトとは

年金バイアウトという仕組みをお聞きになったことはありますでしょうか。 日本では年金受給者の長寿リスクは企業が負うことは少なくなってきていますが、欧米拠点を持つ場合等、年金バイアウトに関心のある企業は多いでしょう。 今回の記事では年金バイアウ…

リスク分担型企業年金という選択肢

第3の企業年金といわれるリスク分担型企業年金が徐々に広がる兆しが出てきました。 年金の用語は聞きなれないものが多く、制度も分かりにくいものが多いと思われます。 そこで、今回の記事ではリスク分担型企業年金がどのようなものであるのかについて確認し…

転職を阻害する退職金・年金の問題点

前回の記事ではブラックな職場を改善する処方箋には雇用の流動化=転職の容易化があるとの記事を書きました。 www.financepensionrealestate.work ただし、現在の環境は決して転職が容易というものではないでしょう。 20歳~30歳台の時はまだしも年齢が上が…

ブラック職場を改善する処方箋の一つ~雇用の流動化という策~

政府は同一労働同一賃金等、働き方改革を政策の目玉の一つにしています。 しかし、残業代を削減する法案である等、野党や労組が反対しており、様々な問題を抱えています。 この働き方改革は、複雑な利害がからみ本質が非常に分かりにくいのが現状ではないで…

【速報】確定給付企業年金のポートフォリオ等の公表

厚生労働省が確定給付企業年金の事業状況等を公表しました。 この統計データでは2013年度から2015年度の確定給付企業年金制度全体の統計情報が開示されています。 このような統計情報は今回初めて公表されたものです。 企業年金のポートフォリオ全体がどのよ…

企業はコスト削減のため退職金制度を企業年金制度へ移行するという選択肢も

人口減から逃れられない日本において、企業は人件費をなかなか増やそうとはしません。 むしろAI等への投資を通じて人件費をさらにカットしていく動きの方が加速する可能性もあります。 そのような中、企業が、従業員の給料・賞与カットを行わずに人件費削減…

人件費削減策における退職給付信託という手法

会社員にとって給料が上昇したと実感できない環境が続いています。 内部留保が積みあがっているとか、人手不足と言われながらも、企業は簡単に人件費を上げようとはしません。 今回は、従業員にとっての「痛みがない形で」企業が人件費を下げる方法について…

AI 運用の拡大に伴うIR の今後

AIというワードを新聞やマスコミ等で見かけない日はありません。 この大きな波は金融の現場にも及んでいます。これから続々と普及するであろうAI運用です。 本日はこのAI運用について軽く触れるともに、投資される側の企業にとって意識すべきこと、このAI運…

企業は個人型DCではなく企業型DCを導入した方が「お得」

企業型確定拠出年金(DC)の加入者数は2017年8月末時点で632万人(厚生労働省ホームページ)となっており順調に拡大してきました。 制度(規約)数は5,564件とこちらも着実に増加しています。 企業型DCは転職者の脱退一時金やDC資産を受け入れるための制度と…

労働契約法の2018年問題~有期雇用の無期雇用への転換~

2018年4月から有期労働契約の無期労働契約への転換が本格実施されます。 これは労働契約法の2018年問題と呼ばれており、企業側にも様々な対応が必要となります。 今回の記事は、有期雇用の無期雇用への転換についてみていきます。 無期労働契約転換が実施さ…

サステナブル投資の類型

GPIFが2017年7月にESG指数に連動した運用を開始したことでESG投資が注目を浴び始めています。 今回はESG投資を含む概念であるサステナブル投資についてみていきます。 サステナブル投資とは サステナブル投資の分類・戦略 ネガティブ/排除・スクリーニング …

総合型企業年金基金(DB)のガバナンス改革~代議員定数の基準新設~

2017年9月15日に厚生労働省が確定給付企業年金制度にかかる改正案のパブリックコメント募集を開始しました。 この中で企業年金基金(以下DB)の代議員定数にかかる項目が新設されています。 この代議員定数にかかる新設条項が特に総合型DBに与える影響につい…

厚生年金基金の減少(解散、代行返上)と総合型企業年金基金の創設

厚生年金基金という用語をお聞きになったことがある方は多いのではないでしょうか。 ピーク時には1,800基金超、加入者数1,200万人を超えていた企業年金の一つの形でした。 この厚生年金基金は現時点ではほとんど存続していません。 今回は金融知識の一環とし…

退職給付会計と年金財政決算の違い

退職給付会計や年金制度は銀行員にはあまりなじみのないものです。 しかし、退職給付会計は実質的には従業員からの借入といえます。企業の財務内容を今後評価していくならば退職給付会計面も勘案しなければなりません。 今回は、用語が似ていることもあり混…

iDeCoを銀行が積極的にセールスしない理由とは

2017年1月から個人型DC(iDeCo)の対象者が拡大しました。 これによりiDeCoの普及拡大が見込まれています。 一方で銀行の店頭ではiDeCoの積極的なセールスは行われていないのが現状です。 今回はなぜiDeCoを銀行があまりセールスをしないのか考察します…

退職給付費用を理解するポイント

前回まで退職給付会計、退職給付債務について説明してきました。 今回は退職給付費用について解説します。 退職給付費用とは 退職給付費用にかかる用語 勤務費用 利息費用 期待運用収益 過去勤務費用 数理計算上の差異 退職給付費用のポイント 退職給付費用…