銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

年金

専業・パート主婦のための3号被保険者制度は無くなる未来しか見えない

2024年に5年に一度の公的年金の「財政検証」が実施されます。この財政検証に伴って年金制度の改正が行われるのが通常です。 近時、年金制度の見直しで注目されているのは年金の「第3号被保険者」の扱いです。 第3号被保険者とは、国民年金の加入者のうち、厚…

現代の「五公五民」というワードを客観的に見てみる

五公五民という単語がトレンド入りしたと話題になっています。 五公五民とは、教科書で習っているでしょうからご記憶の方は多いと思いますが、江戸時代の年貢収取率を表現した言葉です。全収穫量の 50%を領主が取り、残り 50%が農民の手元に残される場合を五…

自民総裁選で議題となっている年金制度改革について

自民党総裁選に立候補した河野氏が、今後の年金制度について税を財源とする最低保障部分の創設を打ち出しました。 他候補からは財源等の観点から疑問視する声が出ていますが、河野氏は「年金制度の改革をいまやらなければ若い人たちの将来の年金生活が維持で…

GPIFの2020年度運用実績から見る長期運用の大切さ

公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2020年度の運用実績を発表しました。 収益は約37兆8,000億円の黒字で、収益率はプラス25.15%と、いずれも過去最大です。 今回は、このGPIFの2020年度運用について簡単に見ていくこ…

「厚生年金は払い損にならない」という話題に興味はありますか?

日経平均株価が3万円台に一旦到達し、ビットコインが6万ドルを突破する等、金融マーケットでは、派手な話題が相次いでいます。これから資産運用を考えている人も多いでしょう。 一方で、日本の公的年金制度には不安を持つ人が多いとされます。 厚生年金に加…

日本最強の資産運用方法の一つは「国民年金」であるという事実

日経平均株価が3万円台に一旦到達し、ビットコインが6万ドルを突破する等、資産運用の世界では様々な動きが出ています。 資産運用を行えば一獲千金を狙えると考える人も多いのではないでしょうか。 そのような「派手な世界」がある一方で、日本の公的年金制…

公的年金の運用結果が良いだけでは年金問題は解決しない現実

日経平均株価が3万円を突破し、ビットコインが5万ドルを超える等、各国の金融緩和等に伴うカネ余りが資産価格の上昇を引き起こしています。 日本の公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(略称GPIF)の運用成績も国内外の株価上昇、債券…

公的年金の運用が上手くいっていることについて誰か話題にしませんか

年金積立金管理運用独立行政法人という名前をご記憶されている方は少ないかもしれません。 一方で、公的年金の運用をやっているGPIFと言われると、少しニュースで見たと認識できるかもしれません。 年金積立金管理運用独立行政法人、略称GPIFが2020年12月末…

GPIFの2020年度1Q運用実績は過去最高

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が2021年度1Qの運用実績を発表しました。 GPIFの運用実績は赤字になるとマスコミで大きく取り上げられ、将来の年金支給が減るのではないかとの論調が多くなります。 今回の運用実績はどうだっ…

GPIFの2019年度運用実績~足元の大幅赤字だけに注目すべきではない理由~

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)が2020年1~3月期の運用実績を発表しました。 このGPIFの運用実績が3ヵ月間で過去最大の18兆円弱の赤字となったとして話題となっています。 今回はGPIFの公的年金資金運用について見ていくこと…

株価暴落で我々の公的年金は大丈夫なのか?〜GPIFの運用状況試算〜

新型コロナウィルスの影響により世界的に株価が暴落してきました。 この株価暴落により公的年金の積立金を運用しているGPIFが大損を出しているのではないかと一部で報道がなされています。 我々の年金は大丈夫なのでしょうか。 今回はGPIFの運用状況について…

みずほFGの企業年金減額は、キャッシュ・バランス・プランという制度の導入を意味する

みずほフィナンシャルグループ(FG)が、企業年金の減額を検討していると報道されています。 この企業年金減額はどのような仕組みなのでしょうか。 あまり注目されることがない企業年金制度の変更について今回は着目してみます。 報道内容 年金制度の分類 変…

サラリーマンよ、そろそろ公的年金制度について怒るべし

国民年金と厚生年金の統合について衆議院の厚生労働委員会にて野党から提案がなされたと報道されています。 国民年金の受給額は厚生年金に比べて小額であり格差を縮めること (但し、国民年金は定額払い、厚生年金は報酬比例であり納付額は大きく異なります)…

竹中平蔵氏の言う「90歳まで働く」というのは十分にあり得る未来

竹中平蔵氏が「90歳まで働くことになる」と発言したとして、ネットで話題になっています。総じて批判的、悲観的な反応が多いようです。 今回は、この「90歳まで働くことになる」ということについて簡単に考えてみたいと思います。 話題となった記事 元の記事…

在職老齢年金制度見直しの現状〜ちょうどよい見直しでは?〜

厚生労働省が働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直すと報じられています。 現在は65歳以上で47万円を超える月収がある人は年金が減りますが、月収の基準を62万円に引き上げて対象者を減らす案を軸に議論するとされています。 年金が減る仕組みは…

年収890万円未満は"社会のお荷物"という説に言いたいこと

近時、所得や税金、社会保障についての話題が増えました。 金融庁の審議会が発表した報告書が、老後に公的年金だけでは足りず30年間で2,000万円必要と指摘した老後2,000万円問題や、年金の所得代替率が低下する年金財政検証、消費増税等、話題には事欠きませ…

年金財政検証の結果を勘違いしていませんか?

公的年金の財政検証結果が厚生労働省から発表されています。 この財政検証結果については、将来の年金受給者が現役時代と比べた際にどの程度の年金を受給できるのか(所得代替率)に注目した報道がなされています。報道の内容は、総じて「年金が将来も貰える…

年金はなぜ世代間の扶養なのか?~自分の支払った分ぐらいは確保したい人に~

金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書の内容に、政治家やマスコミ等の非難の声が殺到しています。 この報告書によれば、年金だけでは老後の資金を賄うことができないため、95歳まで生きると夫婦で2,000万円の蓄えが必要…

老後2,000万円不足するかは個々の世帯次第~重要なのは自身の将来像~

金融庁が発表した報告書が話題となっています。 定年退職後に公的年金に頼った生活をすると毎月約5万円の赤字が出るとの試算がなされ、長寿化により会社員が定年退職後に95歳まで生きると夫婦で2,000万円の資金が必要という報告内容です。 政府が実施した以…

在職老齢年金は廃止した方が良い~「生涯現役を実現」するしか道はないのでは?~

2018年11月2日に第6回社会保障審議会年金部会(厚労省大臣の諮問機関における部会)が開催されました。 この年金部会では名称の通り我が国の「年金」ついて議論がなされており、今回は「一定額以上の収入がある高齢者の年金を減額する制度である」在職老齢…

企業年金におけるオルタナティブ投資の現状

企業年金のオルタナティブ投資が拡大しているようです。そして、代わりに債券や株式の割合が減少しています。 今回は、この投資の変遷について確認していくことにしましょう。 報道記事 企業年金実態調査結果 2004年度の厚生年金基金と確定給付企業年金基金…

働く意欲をそぐ在職老齢年金とは

在職老齢年金という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。 現役世代には耳なじみのない用語かもしれません。 今回は、この在職老齢年金について確認していきましょう。 在職老齢年金とは 報道記事 労働力人口の推移 在職老齢年金の計算方法 所見 在職…

年金バイアウトとは

年金バイアウトという仕組みをお聞きになったことはありますでしょうか。 日本では年金受給者の長寿リスクは企業が負うことは少なくなってきていますが、欧米拠点を持つ場合等、年金バイアウトに関心のある企業は多いでしょう。 今回の記事では年金バイアウ…

リスク分担型企業年金という選択肢

第3の企業年金といわれるリスク分担型企業年金が徐々に広がる兆しが出てきました。 年金の用語は聞きなれないものが多く、制度も分かりにくいものが多いと思われます。 そこで、今回の記事ではリスク分担型企業年金がどのようなものであるのかについて確認し…

転職を阻害する退職金・年金の問題点

前回の記事ではブラックな職場を改善する処方箋には雇用の流動化=転職の容易化があるとの記事を書きました。 www.financepensionrealestate.work ただし、現在の環境は決して転職が容易というものではないでしょう。 20歳~30歳台の時はまだしも年齢が上が…

ブラック職場を改善する処方箋の一つ~雇用の流動化という策~

政府は同一労働同一賃金等、働き方改革を政策の目玉の一つにしています。 しかし、残業代を削減する法案である等、野党や労組が反対しており、様々な問題を抱えています。 この働き方改革は、複雑な利害がからみ本質が非常に分かりにくいのが現状ではないで…

【速報】確定給付企業年金のポートフォリオ等の公表

厚生労働省が確定給付企業年金の事業状況等を公表しました。 この統計データでは2013年度から2015年度の確定給付企業年金制度全体の統計情報が開示されています。 このような統計情報は今回初めて公表されたものです。 企業年金のポートフォリオ全体がどのよ…

企業はコスト削減のため退職金制度を企業年金制度へ移行するという選択肢も

人口減から逃れられない日本において、企業は人件費をなかなか増やそうとはしません。 むしろAI等への投資を通じて人件費をさらにカットしていく動きの方が加速する可能性もあります。 そのような中、企業が、従業員の給料・賞与カットを行わずに人件費削減…

人件費削減策における退職給付信託という手法

会社員にとって給料が上昇したと実感できない環境が続いています。 内部留保が積みあがっているとか、人手不足と言われながらも、企業は簡単に人件費を上げようとはしません。 今回は、従業員にとっての「痛みがない形で」企業が人件費を下げる方法について…

AI 運用の拡大に伴うIR の今後

AIというワードを新聞やマスコミ等で見かけない日はありません。 この大きな波は金融の現場にも及んでいます。これから続々と普及するであろうAI運用です。 本日はこのAI運用について軽く触れるともに、投資される側の企業にとって意識すべきこと、このAI運…