銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

規制

自社株買い規制よりも「やるべきこと」がある

岸田首相が衆院予算委員会で、企業の自社株買いに関連してガイドラインを作る可能性に言及しました。 野党議員は、本来は企業が投資家から資金を調達すべき株式市場が、投資家に資金を供給する場所になっているとして、自社株買い制限の検討を求めており、そ…

政府要請があったら、銀行は飲食店に酒類提供停止を要請しないといけないのか

西村経済再生担当大臣が酒類の提供停止を拒む飲食店に対して、取引する金融機関から応じるよう働きかけてもらう方針だと発言し、後に釈明・撤回しました。 この方針の主旨は「真面目に取り組んでいる事業者との『不公平感の解消』のためだ」と説明されていま…

銀行への仮想通貨保有規制案は「銀行に仮想通貨を保有するな」と言っているに等しい

バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会、Basle Committee on Banking Supervision(BCBS))が、銀行によるビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の保有を規制する案を公表しました。 規制案が発表された際には、仮想通貨が一時的に上昇したと報道されま…

東芝の問題は、日本全体の問題になる

東芝が発表した報告書がは大きな話題となっています。 外部弁護士による東芝の調査委員会は、2020年7月の株主総会を前に、東芝が経済産業省と連携して一部株主の提案を妨げようとしたとする報告書を発表しました。 今回はこの報告書において問題として指摘さ…

地銀が関与する地域商社の現在位置

地方銀行(地銀)が、地方創生の実現に向けて、地域の事業者と一体となって地域商社を設立し、地域の魅力ある産品を大都市圏や海外に届ける取り組み等が広がっています。 地域商社については、2017年の銀行法改正により、銀行グループが取組可能なビジネスの…

給与の銀行口座への振込はいつ始まったのか

政府が会社員への給与のデジタル払いを解禁する方針であると報じられています。 この「給与のデジタル払い」、すなわちPayPay等の「資金移動業者」を通じて給与を支払う仕組みは、導入されると、給与を受け取る個人にとってメリットとなる可能性があります。…

空売りで儲けているヘッジファンドを懲らしめたい個人投資家に言いたいこと

2020年においては、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う世界的な株価暴落は様々な投資家のみならず、政治家に対して大きな影響を与えました。あのような株価暴落時には、過去から「空売りを規制すべきだ」という意見が出されることがありました。 そして、20…

給与のデジタル払いは、非正規雇用者・副業者・外国人労働者にメリット

政府が会社員への給与のデジタル払いを認める方針を示したと一部で報道されています。 この給与のデジタル払い、すなわち、PayPay、LINEペイ等の資金移動業者を通じて給与を支払う仕組みは、銀行、特に地方銀行のビジネスを破壊する威力を秘めていますが、一…

銀行が狙うべき新たな事業領域は人材派遣業かもしれない

金融庁が2020年10月7日開催の金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」で、銀行規制の緩和案を示しました。 報道で最も触れられているのは、銀行子会社が地域経済の活性化を目的とした会社に100%まで出資することを認める規制緩和案でしょう。コロナ禍…

信託銀行の株主総会における議決権行使集計の誤りは大問題

三井住友信託銀行とみずほ信託銀行が、株主総会の議決権行使書の集計方法に誤りがあったことを発表しました。影響は両行合わせて1,346社に及ぶとしています。 これは株式市場においては非常に大きな問題です。 今回はこの信託銀行による株主総会の不適切な議…

いいかげんにネットでの株主総会開催を認めては?

経済産業省が、法務省とともに、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、株主総会の運営上想定される事項についての考え方をまとめ公表しました。 今回はこの考え方について確認するとともに、株主総会の開催方法について少しだけ考えてみたいと思いま…

コロナウィルスは簡単に休業出来ないはずの銀行の店舗も休業に追い込む

コロナウイルスが大きな影響を及ぼしています。 預金者の経済活動を支えるために簡単に休業が出来ない銀行ですら、金融庁が銀行店舗の臨時休業を認めたと報道されています。 しかし、銀行の店舗はなぜ簡単に休業が出来ないのでしょうか。民間企業なのですか…

仮想通貨の呼称を暗号資産に変えるのは妥当か?

政府が仮想通貨の呼称を「暗号資産」へと変更する法律改正案を公表しました。 今回はこの仮想通貨の呼称変更について簡単に考察しましょう。 報道内容 (参考情報)バーゼル銀行監督委員会の発表 法律改正案の内容 所見 報道内容 政府が仮想通貨を暗号資産と…

敵対的TOBは悪く無いが、伊藤忠のデサントへのTOBは少数株主軽視

伊藤忠商事(以下伊藤忠)によるスポーツ用品大手のデサントに対する株式公開買付(TOB=take-over bid)が成立しました。 伊藤忠はデサントの40%の議決権を確保し、経営陣の体制変更を求めるものと見られています。この伊藤忠によるTOBは、日本で敵対的TOB…

もうそろそろ地銀には店舗の外部賃貸を完全に自由化しては?

銀行の店舗の空きスペースの活用について報道されるケースが多くなってきているように感じます。 特に地方銀行(地銀)は業績が厳しく、店舗という資産を活用し外部から賃貸収入を得られるようになることは業界全体としての悲願でしょう。 今回は、銀行の店…

ローン担保証券(CLO)の増加はリーマンショックの再来をもたらすのか

ローン担保証券(CLO)と呼ぶ証券化商品が世界経済の新たなリスクとなってきたと日経新聞が報じています。 約10年前にはサブプライムローンを証券化した金融商品が世界に混乱を巻き起こしました。 ローン担保証券(CLO)とサブプライムローンの証券化…

三菱UFJ銀行の一部店舗での昼休み導入はキャッシュレス化の加速を引き起こす可能性あり

三菱UFJ銀行が一部の店舗で昼休みを導入しました。 店舗の昼休み導入がニュースとなるのは違和感があるかもしれませんが、銀行の営業時間に疑問を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 なぜ、銀行は一般に9時から15時までしか空いていないので…

銀行店舗等の空きスペースを外部へ賃貸可能にすべき

大手銀行で業務効率化で生まれた支店等の空きスペースを活用する動きが始まっていると報道されています。 この報道がピックアップされているニュースサイトの書き込みには、銀行の空きスペースは、同系列の財閥企業へ貸し出す、もしくはコワーキングスペース…

ゆうちょ銀行の貯金預入限度額の限度額引き上げは「問題無し」

日本郵政グループのゆうちょ銀行の預入限度額の撤廃・引き上げをめぐる論議が大詰めを迎えています。郵政民営化委員会は2019年4月の預入限度額の引き上げ実現に向けて年内に結論を出したい考えと報道されています。 ただし、ゆうちょ銀行への資金シフトを懸…

これから世界で吹き荒れる可能性のある「外資規制」というモノ

外資規制という言葉をご存知でしょうか。 様々な国において、自国産業育成や安全保障等の観点から、重要な企業については、外国資本の株式保有を規制しています。 外国からの対内直接投資を歓迎するとともに、外国投資家を公正かつ同等に扱う米国ですら、国…