銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

国際関連

2024年初に金融の専門家は円安を予想していたのか?

最近、円安という言葉を聞かない日はないのではないでしょうか? 2024年4月29日、外国為替市場で円安が進み一時1ドル160円を突破しました。これは34年ぶりの円安水準です。 2024年の年初は1ドル140円台だった円相場は、これまで円安が続き4カ月で20円も低く…

日本を日本人はどのように見ているのか

世界第3位の市場調査会社であるイプソスが 「ポピュリズムに関するグローバル調査2024年」を公表しています。 この調査では、既存の政治体制に対する国民の不満と、国を立て直すために指導者が「ルールを破る」ことを望む国民の意思等を調べています。 筆者…

日独GDP逆転の要因と考えるべきこと

日本のGDP (名日国内総生産)がドイツに抜かれ世界4位に転落したと大きく報じられています。日独のGDP逆転は1968年以来となります。 日本は2010年に中国に抜かれて以来、世界3位のGDPでしたが、ついに4位まで転落してしまったことになります。 なぜ日本はドイ…

中国の住宅はどうなっていくのか

中国の株価が大幅に下落しています。 日本や米国の株式市場は高値が続く一方、中国の株式市場では株安に歯止めがかかっていません。不動産不況の深刻化が主因となり、中国市場から投資マネーが逃げ出していると解説されており、中国の株式市場は1人負けの様…

楽待不動産投資新聞に『米国で起きている銀行の融資厳格化、日本でも起こりうるのか?』を寄稿致しました

楽待不動産投資新聞に『米国で起きている銀行の融資厳格化、日本でも起こりうるのか?』を寄稿致しました。 今回は、このような銀行不安が起きている米国で、銀行の融資姿勢にどのような変化が起きているのかを確認していきます。加えて、米国の事例が日本の…

エリザベス女王の生涯と日本の出来事を比較してみる

英国の君主として70年に渡り在位してきたエリザベス女王(エリザベス2世)が、2022年9月8日(現地時間)に96歳で亡くなりました。 1926年生まれであり、第二次世界大戦を見届け、その後の英国の世界における地位低下を見てきた歴史の生き証人です。女王が任…

防衛白書を見ると中国の脅威が理解できる

日本政府が、2022年版防衛白書を了承しました。軍拡を進める中国の動向を「安全保障上の強い懸念」と改めて指摘したうえで、ウクライナに侵攻したロシアと軍事的な連携をさらに深化させる可能性がある点を「懸念を持って注視する必要がある」と強調したと報…

小麦から考える日本の食料安全保障

ロシアのウクライナ侵略により、食糧危機が懸念されています。 ウクライナは生産が滞り、ロシアは経済制裁を受け、EUや米国等の世界の主要国から貿易で締め出されることになります。両国は穀物の輸出大国であり、世界の多くの国で主食とされる食品に調理・加…

輸入物価の上昇と円安

円安が止まりません。 ご承知の通り、1ドル130円を突破するのは約20年ぶりの円安水準です。 円安が加速する一方で、昨年後半に入ってからは物価の上昇が続いています。 ガソリン、電気代、都市ガス代のような生活に関わるコストが上昇しているだけでなく、食…

ロシアへの経済制裁の最終手段と言われるSWIFTとは何か

ロシアがウクライナに軍を侵攻させて数日が経過しました。 この暴挙に対して、アメリカとヨーロッパ各国等は、共同声明でSWIFTという国際的決済ネットワークからロシアの特定の銀行を締め出す措置を実行することで合意したと発表しています。 今回は、突然聞…

金融専門家の2021年ドル円予想の答え合わせ~予想は当たったのか~

2022年がスタートしました。 新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ終わらず、本年も視界不良です。2021年の年始には2022年にはコロナの問題も過去のものとなっているだろうと予想していた方もいるでしょう。しかし、残念ながら現状は第6波の感染が広が…

日本には奇跡の時代があったことを改めて認識する

近時、「日本は終わっている」という論調の報道が多くなってきているように感じませんでしょうか。 賃金が上がらない、年金は破綻する、老後に備えるべき、外国人労働者から見捨てられる等々、様々な報道や意見が出されています。 今回は、非常に簡単に日本…

「日本は原発を動かすということで良いんですよね?」という話

政府が2030年度時点の温暖化ガスの排出削減目標を7割以上引き上げ、2013年度比46%減としました。 元々の2013年度比26%減から比べると大幅な上積みです。 この目標は本当に実現可能なのでしょうか。そして、この目標は何を意味するのでしょうか。 今回は温暖…

日本人はもはや貯蓄好きではないという事実を信じますか

日本人は「貯蓄好き」というのが一般的なイメージなのではないでしょうか。 日本人は将来不安の影響で、消費をせずに貯蓄しているから景気が思わしくない、というような言説を聞いたこともあるでしょう。 今回は、日本人の貯蓄率について、少し焦点を当てて…

邦銀のCLO投資に対する金融庁と日銀の調査結果について

金融庁が懸念を抱いていた、邦銀が保有する高格付けのローン担保証券(CLO)等について金融庁と日本銀行(日銀)が調査報告を発表しました。 米金融当局が社債購入を含む景気支援策を導入したことを受けてクレジット市場は一旦は回復しています。但し、一部…

韓国向けの邦銀の貸出残高を確認する~2020年3月決算期~

韓国の通貨ウォンが下落しています。 また、輸出主導型の韓国経済はコロナ禍の影響を強く受けるとの報道もされています。 実際に韓国シンクタンクの韓国経済研究院は2020年5月20日に発表した「経済展望」で、2020年の韓国経済の成長率予想を昨年11月時点の2.…

日銀の金融システムレポートで指摘されている主な3つのリスクについて

日本銀行(日銀)が2020年4月の金融システムレポートを発表しています。 ⽇銀は、⾦融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを⽬的として、⾦融システムレポートを年2回公表しています…

円高は本当に悪いことなのか~常識を疑ってみる~

新型コロナウィルスの影響により株式市場等では混乱が続いています。そして、為替についても動きが激しくなっています。 日本の報道では、他通貨、特にドルに対して円高になると、日本経済にとって良くないとのニュアンスで報じられます。また、金融市場が動…

新型コロナウイルス感染拡大に伴う株価下落は投資のチャンスとなる可能性も

新型コロナウイルスによる肺炎が大きな話題となっています。感染拡大による影響を懸念し、株価も下落しています。 この新型コロナウイルスによる日本経済への短期的な影響について、 今回は考察してみましょう。 短期的な影響 所見 短期的な影響 新型コロナ…

みずほは韓国向けの貸出が少し過大かもしれない~邦銀の韓国向け与信動向~

邦銀の国際与信残高が過去2番目の水準まで戻ったと報道されています。 国内の低金利環境を背景に海外での貸出や証券投資に力を入れる邦銀が増えていることは事実です。 その中で、隣国である韓国向けの邦銀の貸出はどのようになっているのでしょうか。経済面…

銀行のCLOへの投資は本当に大きな問題なのか?

CLOと呼ばれるローン担保証券への銀行の投資が注目を集めています。 CLOは、Collateralized Loan Obligationの略称で、銀行が事業会社などに対して貸し出しているローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいいます。 こ…

『覇権国家戦争』米国VS中国~歴史に学ぶ覇権国の条件とは~

米中の貿易戦争が開始されています。 この経済戦争は、両国の覇権争いであることは間違いありません。 そして、筆者の目から見れば、現時点では米国が優位であると思います。 しかし、米国の優位はいつまでも続くのでしょうか。 そもそも、米国はトランプ大…

韓国からの訪日客が減少するのは騒ぐべきことか?

日韓関係が冷え込んでいます。 「過去最悪の日韓関係」という言葉が、いつのまにかマスコミで使われるようになり、気づけばありふれたものになっています。 その中で、日本への韓国人旅行者が大幅に減少していると報道されています。 今回は、韓国人の訪日旅…

韓国向けの邦銀の貸出残高はどのようになっているのか?

日本と韓国との間で様々な問題が起こっています。 日本は韓国に対して様々な製品を輸出しています。経済的な繋がりは相応のものがあります。 同様に韓国に対しては、金融という観点でも関係があります。 今回は、日本の銀行(邦銀)が韓国に対してどの程度の…

ASEAN主要国における不動産規制~ベトナム・マレーシアの事例~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

ASEAN主要国における不動産規制~タイ、インドネシア~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

インドへの投資のポイント~特に不動産投資は困難~

インドは12億人超の人口を抱え、世界第2位の人口大国でありアジア3位の経済大国です。そして、人口の約半分が25歳以下という非常に「若い国」でもあります。 今後、人口増加のみならず、経済もさらに発展するものと見られており、未来の巨大市場です。 その…