銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

政治

日本を日本人はどのように見ているのか

世界第3位の市場調査会社であるイプソスが 「ポピュリズムに関するグローバル調査2024年」を公表しています。 この調査では、既存の政治体制に対する国民の不満と、国を立て直すために指導者が「ルールを破る」ことを望む国民の意思等を調べています。 筆者…

食品値上げの現状を簡単に確認しておく

帝国データバンクが食品値上げの状況について発表しましたが、2月の食品値上げは1,626品目となっています。4ヵ月ぶりの1千品目台であり、更に4月は3千品目超えのラッシュの可能性があるとしています。今回は、家計に大きな負担を強いている食品の値上げ状況…

この国の借金について真剣に考える時が来ている

日本の国債残高は1,000兆円をコロナ禍において超えました。日本の財政収支は、他の主要国と同様に2008年のリーマンショックの影響による悪化から改善傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症や物価高騰等への対応のため、2020年以降は大幅な赤字となっ…

大学ファンドは気概を持て

大学の研究力強化のために政府が設立した10兆円規模の「大学ファンド」の2022年度運 用実績が604億円の赤字となったと発表されています。初の運用実績公表の段階から「つまずいた」と報道しているメディアもあります。大々的に発足が報じられた(そして議論…

現代の「五公五民」というワードを客観的に見てみる

五公五民という単語がトレンド入りしたと話題になっています。 五公五民とは、教科書で習っているでしょうからご記憶の方は多いと思いますが、江戸時代の年貢収取率を表現した言葉です。全収穫量の 50%を領主が取り、残り 50%が農民の手元に残される場合を五…

歴史的な円安に対し投機を批判するのは本質ではない

円安が進んでいます。 ドル円で150円になると2022年の始めに予想した人がどれだけ存在したでしょうか。 円安が進む中で、「投機」という用語を近時は毎日のように聞くようになりました。 以下は報道された要人の発言です。 2022年9月22日、岸田首相:「為替…

健康保険組合という仕組みは限界に近付いている

主に大企業の従業員と家族らが加入する健康保険組合の収支悪化が深刻になっています。健康保険組合の半数超が2021年度に赤字決算となる見通しで、全体の2割強が保険料率で存続の利点が薄れる「解散ライン」に達する見込みです。 財政面で比較的余裕があった…

岸田首相のNY証取での講演は日本の先行きを予想するのに有効

岸田首相が9月22日、米ニューヨーク証券取引所内で講演し、日本市場への投資を呼びかけました。 日本のマスコミでは、貯蓄から投資への流れを後押しするため、日本の個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」を恒久化する意向を表明したと取り上げられていま…

防衛白書を見ると中国の脅威が理解できる

日本政府が、2022年版防衛白書を了承しました。軍拡を進める中国の動向を「安全保障上の強い懸念」と改めて指摘したうえで、ウクライナに侵攻したロシアと軍事的な連携をさらに深化させる可能性がある点を「懸念を持って注視する必要がある」と強調したと報…

物価の状況と日本銀行の動向

総務省が発表した2022年5月の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比+2.5%となりました。そして、生鮮食品を除いた消費者物価指数は前年同月比+2.1%となり9ヵ月連続で上昇し、日本銀行が目指している+2%の水準を2ヵ月連続で上回りました。 様々…

小麦から考える日本の食料安全保障

ロシアのウクライナ侵略により、食糧危機が懸念されています。 ウクライナは生産が滞り、ロシアは経済制裁を受け、EUや米国等の世界の主要国から貿易で締め出されることになります。両国は穀物の輸出大国であり、世界の多くの国で主食とされる食品に調理・加…

銀行口座を旧姓で使用すること

日本は夫婦別姓が認められていません。結婚すれば、どちらかが新姓を名乗ることを基本的に強要される国です。 しかし、旧姓で仕事をしてきた方が姓(苗字)を変更するのは想像以上に面倒です。特に銀行口座の名義が変わることは様々な影響を及ぼします。 今…

ロシアへの経済制裁の最終手段と言われるSWIFTとは何か

ロシアがウクライナに軍を侵攻させて数日が経過しました。 この暴挙に対して、アメリカとヨーロッパ各国等は、共同声明でSWIFTという国際的決済ネットワークからロシアの特定の銀行を締め出す措置を実行することで合意したと発表しています。 今回は、突然聞…

成長と分配~企業の行動はどうなっているのか~

岸田総理が「新しい資本主義」という言葉を使っています。そして、新しい資本主義は「成長と分配の好循環」を目指すとされています。 なぜ、このような成長と分配という言葉が使われるようになったのでしょうか。 この理由は、主に「給料が上がらない」こと…

日本はいつまでもデフレの世の中ではないかもしれない

世界中で様々な商品価格が上昇しています。 原油価格はバレル当たり90ドルを突破し、7年ぶりの高値を記録しました。そして、原油価格の高騰が響き、ガソリンや灯油の国内全国平均価格は13年ぶりの高値に上昇しています。 また今年に入ってからは、パンやお菓…

2022年をカレンダーで概観する

新年がスタートしました。 コロナ禍は続き、不透明感が漂う2022年ですが、本年はどのようなことが予定されているのでしょうか。 予定されているイベントを確認していくことで2022年がどのような年になるのかを想像してみるのは年初の今のタイミングでは悪く…

日本は日本的モラリズムの国であり、民主主義国家とは少し違うように感じた2021年

2021年は皆さんにとってどのような年だったでしょうか。 筆者は、日本の政治・社会に対して非常にモヤモヤしたものを感じた一年でした。 そして、この一年を振り返り、10年前ぐらいに読んだ書籍を思い出しました。 今回は、この書籍をご紹介しながら、日本の…

ワクチン接種を回避する傾向にあるのは誰か?今後の課題は?

新型コロナウィルスの感染者数が落ち着きを見せています。 この要因は様々に語られていますが、ワクチン接種の影響もあるのではないでしょうか。 (出所 厚生労働省Webサイト) このワクチン接種については、独立行政法人経済産業研究所が「どういう人々が新…

楽待チャンネルで「【岸田首相】金融所得課税の強化先送り、実現したらどうなる?不動産投資への影響は?現役銀行員が予想!」が公開されています

楽待チャネルにて「【岸田首相】金融所得課税の強化先送り、実現したらどうなる?不動産投資への影響は?現役銀行員が予想!」という筆者が解説した動画がアップされまています。 今回は岸田首相が今後狙っていくであろう金融所得課税について考察しています…

楽待不動産投資新聞に『岸田新首相が見据える「1億円の壁打破」、不動産投資への影響は』を寄稿しました

楽待不動産投資新聞に『岸田新首相が見据える「1億円の壁打破」、不動産投資への影響は』を寄稿しました。 今回は、岸田新首相が見据える「1億円の壁打破」について考察しています。富裕層への増税を掲げることは、選挙受けは良いかもしれません。但し、実際…

自民総裁選で議題となっている年金制度改革について

自民党総裁選に立候補した河野氏が、今後の年金制度について税を財源とする最低保障部分の創設を打ち出しました。 他候補からは財源等の観点から疑問視する声が出ていますが、河野氏は「年金制度の改革をいまやらなければ若い人たちの将来の年金生活が維持で…

政府要請があったら、銀行は飲食店に酒類提供停止を要請しないといけないのか

西村経済再生担当大臣が酒類の提供停止を拒む飲食店に対して、取引する金融機関から応じるよう働きかけてもらう方針だと発言し、後に釈明・撤回しました。 この方針の主旨は「真面目に取り組んでいる事業者との『不公平感の解消』のためだ」と説明されていま…

これからも東京一極集中は続き、地方の魅力は高まらないという想定

コロナ禍は、リアルの世界からデジタルの世界への社会構造の大転換を加速させることについては疑問を持たない人が大半ではないでしょうか。 コロナウィルス感染症拡大は、仕事の内容によっては場所を選ばない働き方が可能であることを見せつけ、東京への人の…

東芝の問題は、日本全体の問題になる

東芝が発表した報告書がは大きな話題となっています。 外部弁護士による東芝の調査委員会は、2020年7月の株主総会を前に、東芝が経済産業省と連携して一部株主の提案を妨げようとしたとする報告書を発表しました。 今回はこの報告書において問題として指摘さ…

コロナで唯一押さえておくべきデータは死亡者の内訳ではないか?

緊急事態宣言が発令され、2021年のゴールデンウイークは非常に寂しいものとなっているものと思われます。 ゴールデンウイークに突入する前に、日本の新型コロナウィルス感染症による死者数は1万人に到達しました。 コロナ病床は逼迫しており、医療の限界も叫…

2割の健康保険組合は解散した方が良いレベル、赤字は全体の8割という大惨事

企業が設立している健康保険組合の財政が厳しいとお聞きになったことがある方は多いでしょう。 毎月給料から差し引かれる健康保険料は、上昇の一途をたどってきました。それでも赤字の健康保険組合は多く、そしてコロナがこの問題を加速させました。 多くの…

「日本は原発を動かすということで良いんですよね?」という話

政府が2030年度時点の温暖化ガスの排出削減目標を7割以上引き上げ、2013年度比46%減としました。 元々の2013年度比26%減から比べると大幅な上積みです。 この目標は本当に実現可能なのでしょうか。そして、この目標は何を意味するのでしょうか。 今回は温暖…

私立大学に自宅外から通うにはカネがかかり過ぎるという現実

東京私大教連の調査によると、首都圏の私立大学に入学した自宅外通学者への仕送り額が過去最低であったこと、仕送り額から家賃を除いた一日あたりの生活費が607円と過去最低であったことが一部で話題になっているようです。 子供を私立大学に行かせるにはお…

「貧乏は遺伝する」と言われる理由

日本は格差が拡大していると耳にしたことはありませんでしょうか。 特にコロナ禍においては、ほとんど経済的にダメージを受けていない人がいる一方で、大きな影響を受けている人もいるでしょう。 ただ、日本では、より根本的な問題として、格差が固定化しか…

日本経済低迷の理由は個人消費にある

日経平均株価が30年ぶりに3万円台を回復したと話題となっていますが、この主に平成に重なる30年間は「失われた30年」とも言われ、日本経済は低迷してきたと認識されています。 日本経済低迷の要因は様々に言われています。 「企業が生産拠点を海外に移管して…