銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

日銀がマイナス金利拡大を実施した場合の地銀への影響を簡単に試算する

格付大手のS&Pが、日銀がマイナス金利を0.1%拡大した場合に銀行収益へ及ぼす影響を公表しました。 同社の試算によると、地方銀行64行のうち56行で貸出業務が赤字となります。 ほとんどの地方銀行が本業で赤字となることになるのです。 今回はこのS&Pの試…

厚労省が作成した微妙な「パワハラ防止指針」

厚生労働省(厚労省)が労働政策審議会の分科会で、企業などが行うべき職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止策の具体的内容を定める指針の素案を示しました。 この指針案が、むしろパワハラを助長するのではないかとの疑問の声が出ています。 パワハ…

銀行のCLOへの投資は本当に大きな問題なのか?

CLOと呼ばれるローン担保証券への銀行の投資が注目を集めています。 CLOは、Collateralized Loan Obligationの略称で、銀行が事業会社などに対して貸し出しているローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいいます。 こ…

ブラック企業撲滅のためにも「未払賃金請求権の消滅時効延長」は妥協しないことを厚労省に求めたい

未払賃金の請求期間、すなわち賃金債権の消滅時効についての見直しが議論されています。 現在は賃金に関する債権は2年で時効を迎えます。今回の賃金債権の消滅時効の見直しについては、2020年4月の改正民法施行によって債権の消滅時効が見直されることに対応…

日本の「貧困」について整理しておきたい

日本は経済大国と言われながら、貧困が多いとされています。 7人に1人が貧困にあえぎ、母と子のひとり親世帯では半数以上が貧困に苦しむ、との報道がなされているのをご覧になった方も多いでしょう。 しかし、日本で一般的に生活していると「貧困」世帯の存…

「上級国民」という言葉にみる日本の分断

「上級国民」という言葉を聞く機会が増えました。 池袋高齢者暴走事故と呼ばれる2019年4月に東池袋で発生した自動車暴走死傷事故から、上級国民という言葉は一般化したように筆者は感じます。 今回は上級国民という言葉について資産や収入という観点から少し…

小説出版のクラウドファンディングが始まります!

皆様へ この度、幻冬舎さんとCAMPFIREさんが合弁出資しているEXODUSさんから、小説出版のクラウドファンディングを実施することになりました。 10月18日以降で募集開始する予定ですが、事前にお知らせさせて下さい。 camp-fire.jp https://camp-fire.jp/proj…

日銀への「スルガ銀の虚偽報告等は法令違反ではない」というちょっとした事実

スルガ銀行にいわゆるシェアハウスへの不動産担保融資問題が発覚してから、相応の時間が経ちましたが、スルガ銀行の経営はいまだ落ち着きを取り戻してはいない状態にあります。 その中で、2019年10月に日本銀行(日銀)がスルガ銀行に対して経営管理態勢の改…

台風襲来に大災害債券「CATボンド」を確認する

大型の台風が日本に迫っています。まずは、被害が出ないように祈るばかりです。 台風のような災害に対して金融はどのようなことが出来るのでしょうか。 火災保険や地震保険は分かりやすい例でしょう。残念にも建物に被害が出た場合等には補修費用を銀行が融…

在職老齢年金制度見直しの現状〜ちょうどよい見直しでは?〜

厚生労働省が働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直すと報じられています。 現在は65歳以上で47万円を超える月収がある人は年金が減りますが、月収の基準を62万円に引き上げて対象者を減らす案を軸に議論するとされています。 年金が減る仕組みは…

クラウドファンディングは金融機関の存在意義を考えさせる~出版の場合~

以前お知らせ致しました筆者の小説「ヂメンシノ事件」の出版にかかるクラウドファンディングのスタートが近づいてきました。 現在、募集のプロジェクトページ初稿を運営会社に提出したところです。 <プロジェクトページ/限定公開URL> camp-fire.jp https:…

年収890万円未満は"社会のお荷物"という説に言いたいこと

近時、所得や税金、社会保障についての話題が増えました。 金融庁の審議会が発表した報告書が、老後に公的年金だけでは足りず30年間で2,000万円必要と指摘した老後2,000万円問題や、年金の所得代替率が低下する年金財政検証、消費増税等、話題には事欠きませ…