銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

資産運用

クレディ・スイスのAT1債無価値化について簡単に考察する

経営危機が懸念されていたクレディ・スイス銀行のAT1債が無価値化したことが、金融業界では大きな話題となっています。 今回はAT1債とは何か、そして今後どのようなことが想定されるのかについて簡単に確認していきたいと思います。 AT1債とは クレディ・ス…

金融専門家の予想を信用してはいけない理由

2023年が始まって1か月が経ちました。 年初の見通しから比べると米国ではインフレが落ち着いてきたとされていますし、日本も金利は一段の上昇とはなっていません。 2023年は、ロシアのウクライナ侵略がどうなるのか、エネルギー価格はどうなるのか、インフレ…

地方銀行から投資信託を購入しなくても良いですよね?

金融庁は、国民の安定的な資産形成を図るためには、金融商品の販売・助言・商品開発・資産管理・運用等を行う全ての金融機関等が「インベストメント・チェーン(投資家の投資対象となる企業が中長期的な価値向上によって利益を拡大し、それに伴う配当や賃金…

歴史的な円安に対し投機を批判するのは本質ではない

円安が進んでいます。 ドル円で150円になると2022年の始めに予想した人がどれだけ存在したでしょうか。 円安が進む中で、「投機」という用語を近時は毎日のように聞くようになりました。 以下は報道された要人の発言です。 2022年9月22日、岸田首相:「為替…

地銀から金融商品のセールスを受けたら、断った方が良い理由

金融庁は2022事務年度(2022年7月~2023年6月)の金融行政方針を発表しました。 「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるため、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化を含め制度を抜本的に拡充し、金融リテラシーの底上げへ国家戦略として金融教育を推進する体制…

TKO木本氏が関与したとされるポンジスキームとは

お笑い芸人のTKO木本氏が、7億円ともされる巨額の投資トラブルで芸能事務所を退所したと報道されています。木本氏は、投資話を様々な後輩芸人等へ薦め、多額の資金を集めたものの、投資を実際に行っていた人物と連絡が付かなくなり、結果として資金も戻せな…

オリックスにみる株主優待の問題点

個人投資家にとって、新たな衝撃を与えたのはリース最大手のオリックスです。 株主優待を求める投資家に大人気であるオリックスが株主優待制度を廃止すると発表しました。 個人投資家に目を向けていたはずのオリックスはどうして株主優待を廃止するのでしょ…

楽待不動産投資新聞に、『「かぼちゃの馬車」大量取得、米投資ファンドの勝算は』を寄稿しました

楽待不動産投資新聞に、『「かぼちゃの馬車」大量取得、米投資ファンドの勝算は』という記事を寄稿させて頂きました。 今回は、あの「かぼちゃの馬車」を大量に取得した米投資ファンドに勝算はあるのかについて執筆させて頂いています。スルガ銀行を追い詰め…

金融庁の「高校生のための金融リテラシー講座」が示唆に富みすぎている

金融庁が発表した「高校生のための金融リテラシー講座」が、ツイッターでオススメだと紹介され反響を呼んでいると報道されています。 2022年4月からは高校の必修科目である家庭科で「資産形成」についても教えられることになります。そして、成人年齢は18歳…

金(ゴールド)は本当にインフレに強いと言えるか

ロシア軍によるウクライナ武力侵攻が懸念されています。このウクライナ危機の中で原油価格や商品価格が上昇しています。「有事の金(きん)」とも言われるように金(ゴールド)価格も上昇しています。 また、米国では物価上昇が問題となっています。FRB(米…

過去の暴落相場から今の日経平均株価を冷静に見ることが出来るかもしれない

近時、日経平均株価の乱高下が続いています。 ついに金融緩和バブル崩壊が来たとか、パウエル・ショックだとか、岸田ショックだとか様々に言われています。 確かに、株式を保有している方からすると急激な相場変動は大きな影響を受けるでしょう。 株価が急落…

株式暴落時にこそ相場格言と過去の振り返りを

2022年1月24日〜28日の日経平均株価は下落しました。 1月27日には一時は2万6,044.52円まで売り込まれ昨年来安値を更新、2020年11月以来の水準まで下げています。 この要因は、米国のFOMC後に行われたパウエルFRB議長の会見内容が、金利引き上げ時期について…

金融専門家の2021年ドル円予想の答え合わせ~予想は当たったのか~

2022年がスタートしました。 新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ終わらず、本年も視界不良です。2021年の年始には2022年にはコロナの問題も過去のものとなっているだろうと予想していた方もいるでしょう。しかし、残念ながら現状は第6波の感染が広が…

「千里を走る」寅年の相場格言を無視するのはアホかもしれない

2022年が始まりました。 2022年は寅年です。 この時期には、干支にちなんだ相場予想が出されることが一般的です。 今回は、この寅年と株式相場の関係について確認していきたいと思います。 寅年の格言 相場の格言 所見 寅年の格言 寅年の相場については「千…

金(ゴールド)は株式のヘッジになるのか

株式市場が不安定になってきているようです。 近時は、中国恒大集団(エバーグランデ)の信用不安問題があり、株式市場が急落しました。また、米国ではFRBがテーパリング(金融緩和の縮小)を見据えている一方で、ワクチン接種率は上昇してきましたが、コロ…

銀行の株価低迷は座礁資産リスクが要因なのか

気候変動は銀行にも大きな影響を与え始めています。 特に銀行の株価には「座礁資産リスク」が影響を及ぼしていると報じられるようになりました。 座礁資産とは、市場環境や社会環境が激変することにより、価値が大きく毀損する資産の意味です。近時は石炭、…

メガバンクからの投資信託購入を決断する前に見ておくべきデータとは

金融庁は「顧客本位の業務運営」を銀行を含む金融事業者に求めています。この顧客本位の業務運営というのは難しい言葉ではありますが、要は「金融事業者の利益ばかりを優先せずに、お客様の利益を考えて商品を販売するということ」です。 今般、3メガバンク…

GPIFの2020年度運用実績から見る長期運用の大切さ

公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2020年度の運用実績を発表しました。 収益は約37兆8,000億円の黒字で、収益率はプラス25.15%と、いずれも過去最大です。 今回は、このGPIFの2020年度運用について簡単に見ていくこ…

大手金融機関から運用商品を買わない方が良い理由を金融庁が解説している

金融庁が「資産運用業高度化プログレスレポート2021」を公表しました。 金融庁は「家計の安定的な資産形成」を行政方針の柱に一つに掲げており、資産運用会社の役割を重視する一方で、資産運用会社の報酬体系や運用能力、販売方法等に課題意識を持っています…

SBIソーシャルレンディングの事件は、ソーシャルレンディング全体の問題でもある

SBIホールディングスは、ソーシャルレンディング事業で、新規募集を停止すると発表しました。子会社が運営する一部ファンドで投資勧誘の違反行為があったことを受けての決定です。 そしてソーシャルレンディングとして投資家から集めた資金(未償還元本相当…

この10年、日本は停滞していたのか?~株式時価総額の推移~

日本はバブル崩壊以降、長期低迷していると言われます。 そして、その要因は様々に語られます。 少子高齢化、賃金の低下、需要不足、国際分業の深化、生産性改善の低迷等が説明されることが多い理由でしょう。 では、アベノミクスが開始されてからの直近10年…

日本最強の資産運用方法の一つは「国民年金」であるという事実

日経平均株価が3万円台に一旦到達し、ビットコインが6万ドルを突破する等、資産運用の世界では様々な動きが出ています。 資産運用を行えば一獲千金を狙えると考える人も多いのではないでしょうか。 そのような「派手な世界」がある一方で、日本の公的年金制…

ビットコインは「環境の敵」になるかもしれない

仮想通貨(暗号資産)ビットコイン価格が2021年に入ってからさらに急騰しています。 ビットコインの価格がバブル化は筆者には分かりません。これは株価におけるPERやPBRのような尺度が、ビットコインにはないためです。 ビットコインは誰もが「まだ上がる」…

株価ってバブルなんでしょうか?

日経平均株価が30年ぶりに3万円台を回復しました。 一方で、コロナ禍において企業業績は厳しく、株価がバブルなのではないかとの意見も聞かれるところです。 今回は、端的に「株価はバブルなのか」について簡単に考察してみたいと思います。 バブルとは 株価…

公的年金の運用が上手くいっていることについて誰か話題にしませんか

年金積立金管理運用独立行政法人という名前をご記憶されている方は少ないかもしれません。 一方で、公的年金の運用をやっているGPIFと言われると、少しニュースで見たと認識できるかもしれません。 年金積立金管理運用独立行政法人、略称GPIFが2020年12月末…

銀行のATM手数料が高すぎる

銀行のATM手数料が高いと思ったことはありませんか? 銀行によってはコンビニATMで現金を下ろすと330円取られることもあります。銀行に預けていても、ほとんど預金金利はつきません。もはや現金を平日に下ろしておかなかった人への「何かの罰ゲームか」と思…

不動産クラウドファンディングは玉石混交~i-Bondの事例~

低金利環境下において、従来型の資産運用の選択肢は狭まってきています。コロナ禍において株式は上昇を続けてきましたが、もう一つの資産運用の柱であった債券は魅力が低下しています。 日本では国債のようなリスクフリーの投資利回りに比べて不動産の投資利…

受験生よ!少なくともおカネの面では「学歴が関係ない」なんてことはない

2021年1月から大学入試においてセンター試験が廃止され、大学入学共通テストがスタートします。 受験生の皆さんにとってみれば、緊急事態宣言の対象地域にお住まいの方もおり、移動するのも心配でしょう。そして、受験期間中に新型コロナウィルスに感染して…

日経平均株価は既にバブル期の最高値を超えている

2021年1月8日の日経平均株価は600円以上値上がりし、およそ30年5か月ぶりに2万8000円台まで上昇しました。ニューヨーク市場でダウ平均株価が最高値を更新するなど株高が続いている流れを受けていると言えるでしょう。 米国のバイデン新政権発足後に大型の経…

ビットコインの価格高騰に理由なんてない

仮想通貨(暗号資産)ビットコインが初の3万ドルを突破しました。そして4万ドルに迫っています。 2020年12月16日に2万ドルを突破してから、わずか半月ほどで3万ドルを突破、そして今や2倍近くにまで上昇しています。 コロナ禍において金融緩和により溢れたマ…