銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

テイラー・ルールとは何か

米国ではFRB(連邦準備制度理事会)議長人事が大詰めを迎えています。 2017年10月31日現在ではパウエル氏が有力とされていますが、共和党にはスタンフォード大のテイラー教授を支持している議員もいるようです。 テイラー教授はテイラー・ルールを提唱したこ…

不動産アセットマネジメント業務はなぜ存在するのか

不動産の証券化投資スキームでは、不動産アセットマネジメント業務を行うアセットマネジャーを活用することが非常に多くなっています。 少なくとも10年前には、不動産アセットマネジャーは不動産証券化スキームに組み込まれていませんでした。この不動産アセ…

資産管理会社を活用した相続対策の基本

相続対策に有効なのは法人を作ることだとお聞きになった方も多いのではないでしょうか。 しかし、なぜ法人を活用すると相続対策になるのでしょうか。そしてデメリットはないのでしょうか。 今回は簡単に資産管理会社といわれる法人設立による相続対策につい…

信託銀行とは利益相反のかたまり~信託銀行が解体される可能性~

信託銀行という金融機関があります。 金融業界に勤めている人はともかく、一般にはあまり知られていないのではないでしょうか。 この信託銀行については近時様々な動きがあります。 今回は信託銀行がどのような金融機関であるか、信託銀行の様々な動きはどの…

邦銀、そのなかでも地銀にこれから何が起きるか~日銀レポートからの考察~

2017年10月23日に日銀が金融システムレポートを公表しました。 主な内容としては、邦銀(日本の民間銀行)の低収益の背景に過剰競争があるとの分析となっています。 今回はこの日銀の金融システムレポートの内容を確認し、今後の邦銀の動向について考察しま…

不動産の両手仲介は「悪」なのか~今後の動向予想~

ソニー不動産が「片手取引・仲介」を全面に押し出して一部で人気を集めているようです。 片手取引もしくは片手仲介という聞きなれない言葉は、不動産の売買を仲介する業者の取引形態の1つです。 不動産仲介業者は、不動産の売り手と買い手、両方の売買の橋渡…

有償ストック・オプションがなくなる未来

2017年10月20日の日経新聞に「従業員が対価払う株式購入権 報酬か投資か 議論熱く」という記事が掲載されました。 内容としては、今まで費用計上しなくてもよかった有償ストック・オプションが費用計上しなければならなくなる可能性があるというものです。 …

【余話】これからのIRは表情を読むAIへの対応が必要

AI IR

今回は簡単にロイターの記事をご紹介します。 記事の内容としては、日銀の黒田総裁の表情をAIが読み取り、その表情と金融政策の変更との間に相関関係を発見したと東京大学出身の研究者ら(一人は野村證券金融経済研究所のエコノミスト)が発表したというもの…

受益者連続型信託は遺産分割協議の対象外となるのか~遺留分に関する疑問点~

大和ハウス工業グループが信託会社を設立したと発表しました。 この信託会社を設立した目的のひとつに顧客の相続対策があるとしています。 このような信託会社は大東建託、スターツコーポレーション、積水ハウスも設立しており顧客の相続対策ニーズが高いこ…

収益不動産購入による相続対策~借入金そのものには節税効果なし~

賃貸アパートの乱立、銀行のアパートローンの抑制等を報道等で目にします。 賃貸アパート建築、購入が相続税対策になるということはほとんどの方が認識されているでしょう。 しかし、具体的にはどのような効果があるのかをご存じの方は以外と少ないのではな…

労働契約法の2018年問題~有期雇用の無期雇用への転換~

2018年4月から有期労働契約の無期労働契約への転換が本格実施されます。 これは労働契約法の2018年問題と呼ばれており、企業側にも様々な対応が必要となります。 今回の記事は、有期雇用の無期雇用への転換についてみていきます。 無期労働契約転換が実施さ…

サステナブル投資の類型

GPIFが2017年7月にESG指数に連動した運用を開始したことでESG投資が注目を浴び始めています。 今回はESG投資を含む概念であるサステナブル投資についてみていきます。 サステナブル投資とは サステナブル投資の分類・戦略 ネガティブ/排除・スクリーニング …

投信会社のネット直販開始にみる裏の理由

三菱UFJ国際投信が2018年度上半期にインターネット経由で投資信託を直接販売するとの報道がなされています。 これは一見すると、投信会社が販売会社(銀行や証券会社)を中抜きすることにより安いコストで商品購入者に商品が届くため、購入者にとってメリッ…

総合型企業年金基金(DB)のガバナンス改革~代議員定数の基準新設~

2017年9月15日に厚生労働省が確定給付企業年金制度にかかる改正案のパブリックコメント募集を開始しました。 この中で企業年金基金(以下DB)の代議員定数にかかる項目が新設されています。 この代議員定数にかかる新設条項が特に総合型DBに与える影響につい…

厚生年金基金の減少(解散、代行返上)と総合型企業年金基金の創設

厚生年金基金という用語をお聞きになったことがある方は多いのではないでしょうか。 ピーク時には1,800基金超、加入者数1,200万人を超えていた企業年金の一つの形でした。 この厚生年金基金は現時点ではほとんど存続していません。 今回は金融知識の一環とし…

【余話】三菱UFJ信託銀行の貸出業務移管(三菱UFJ銀行への貸出業務統合・一本化)について

2018年4月に三菱UFJ信託銀行の貸出業務が三菱UFJ銀行に統合されるとの発表がありました。 この統合は三菱UFJ信託銀行の貸出12兆円を三菱UFJ銀行(2018年4月に商号変更)に移管し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)内での各社の機能別再編を果た…

コミットメントラインの契約期間は、なぜ364日が多かったのか

銀行が融資を確約するコミットメントライン契約では期間が「364日」となっているものが多数ありました(近時は減少しました)。 コミットメント契約は、1年毎に更新されるのが一般的ですから毎年期限が1日ずつ前倒しになっていきます。例えば12月30日だった…

MiFID2の影響~運用会社の成果報酬導入の背景~

日経新聞にフィデリティが顧客から収受する手数料を運用成果に連動させる新制度を導入する旨の記事が掲載されていました。 今回はこの成果連動の運用手数料導入の流れについて考察します。 報道内容 成果連動手数料の導入背景 MiFID2の影響 報道内容 日経新…

中国をはじめとした海外不動産投資家は本当に日本から逃げ始めているのか

近時、中国人の不動産投資家が日本の不動産を売り始めているというようなニュースがなされています。 中国人を含めた海外の不動産投資家は本当に日本の不動産を売却しているのでしょうか。 今回は外国人不動産投資家の動向について考察します。 中国人の日本…

IT重説(重要事項説明)の開始

2017年10月から賃貸契約仲介にかかるITでの重要事項説明が開始されます。今回はこのいわゆるIT重説について考察します。 IT重説とは 対象となる不動産取引 IT重説のメリット IT重説の今後 今後の方向性 IT重説とは IT重説とは、インターネット等を利用し、対…

不動産信託のメリット・デメリット~不動産信託は魔法の杖ではない~

J-REIT等不動産のプロの不動産取得では不動産信託が用いられます。 現物の不動産を信託し、信託受益権化することで不動産売買のメリットが得られるとご存知の方はいらっしゃるでしょうが、実際にどのようなメリットがあるか、デメリットは何かご承知でしょう…