銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2019-01-01から1年間の記事一覧

銀行員が注目した2019年ニュースまとめ

早いもので2019年が終わろうとしています。 今年も様々なことがありました。皆様にとってはどのような年だったでしょうか。 今回は、筆者の独断と偏見で一年のニュースを振り返ってみたいと思います。 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 …

みんなのボーナスってどうなっているのか?~2019年冬~

大手企業の冬のボーナスが2年連続で過去最高を更新したと報道されています。 日本全体は「景気が良い」のでしょうか。皆のボーナスはどのようになっているのでしょう。 今回は日本全体の冬のボーナスについて確認してみます。 報道内容 経団連調査 民間全体…

いきなり!ステーキの状況は典型的な外食企業の不振状態

いきなり!ステーキの業績不振がニュースとなっています。 渋谷センター街店に張り出された「社長からのお願い」が話題となり、更に全従業員に親族をお店に連れてきて欲しいと文書を配布したこともあり、いきなり!ステーキの内実はかなり厳しいのではないか…

みずほは韓国向けの貸出が少し過大かもしれない~邦銀の韓国向け与信動向~

邦銀の国際与信残高が過去2番目の水準まで戻ったと報道されています。 国内の低金利環境を背景に海外での貸出や証券投資に力を入れる邦銀が増えていることは事実です。 その中で、隣国である韓国向けの邦銀の貸出はどのようになっているのでしょうか。経済面…

地銀が高リスク運用商品への投資を行うこと自体が「悪い」わけではない

地方銀行が高リスクの運用商品投資に踏み込んでいると報道されています。 今回は、地方銀行の投資について簡単に考察したいと思います。 報道記事 投資の三原則 地銀投資の問題点 報道記事 まずは直近の報道記事を確認しましょう。 日本の地銀、高リスクのク…

「僕たちは社畜ですか ~飲み会は残業じゃないの?~」を刊行しました!

日本の会社員には暗黙の掟があります。しかし、この当たり前のルールのようなものは本当に正しいのでしょうか。 会社の飲み会は「残業」として認められないのかと考えたことはありませんか。 会社の飲み会への強引な誘いはパワハラではないのかと思いません…

大塚家具のヤマダ電機傘下入りは、資金繰り破綻回避以外の効果が見えない

経営難に陥っていた大塚家具がヤマダ電機の傘下に入ることが発表されました。 これを受け大塚家具の株価は急騰しています(2019年12月12~13日)。 今回は大塚家具のヤマダ電機の子会社化について考察しましょう。 報道内容 大塚家具の事情 ヤマダ電機の狙い…

日本型雇用見直しを簡単に実施されたら困るのは、政治家も経営者も含めた国民全体

日本企業の経営者から、年功賃金、終身雇用等のいわゆる日本型雇用制度が限界を迎えているとか、見直しが必要だという発言が相次ぐようになってきました。 産業構造の変化等が起きている中で、経営者達の発言は理解できるかもしれません。しかし、日本型雇用…

朝日新聞はまだ生き残ることができてしまうという現実

朝日新聞社が早期退職募集を行うことが話題となっています。非常に多額の退職金が払われるということで注目を集めました。一方で、朝日新聞でさえも早期退職募集を行うことで新聞社の置かれた状況が厳しいことが改めて認識されたものと思います。 また、2019…

日銀の審議委員による厳しい指摘「金融機関は供給過多」

日本銀行の原田審議委員が講演と記者会見で金融機関について述べた意見が少し話題となっています。 厳しい収益状況にある銀行を含む金融機関については「低金利という問題を克服すればすべて解決するわけではない」「貸出以上に預金が集まってしまうという構…

証券会社の手数料無料化の流れは止まらず、将来の業界再編は必至

証券会社が株式売買手数料や投資信託の販売手数料の無料化に動き出しています。 この流れは個人投資家にとっては良い流れでしょう。 しかし、当事者である証券会社にとってはどうでしょうか。 今回は証券会社の手数料無料化の流れについて、その背景と今後の…

それでもレオパレスは「存続する」可能性が高い~2019年4~9月決算~

レオパレス21の2019年4~9月決算(2020年3月期第2四半期決算)が発表されました。 同社は入居率の低下により2期連続の大幅赤字となると予想しています。 レオパレス21は企業としての存続は問題ないのでしょうか。 今回はレオパレス21の企業存続について簡単…

海外不動産投資による節税策を簡単におさらいする

海外不動産投資による節税策を、政府・自民党が実行できないようにする方針と報道されています。これは、いわゆる金持ち向けの節税スキームが税の不公平感を生んでいるという判断でしょう。 今回は、この海外不動産投資による節税スキームについて簡単に見て…

みずほの人事制度改定は一般職廃止に加え大量採用世代の処遇問題も

みずほFGが総合職と一般職を統合(一般職の廃止)すると報道されています。 この一般職の廃止は、RPAの導入等デジタル化の進展により事務や窓口業務が減少してきたことが背景にあると指摘されています。 今回はみずほFGの一般職廃止および人事制度の変更につ…

スルガ銀行の借金棒引きでもシェアハウス所有者が完全には救われないおそれも

スルガ銀行が、シェアハウス物件の物納(スルガ銀行へ引き渡すこと)と引き換えに所有者の借入返済を免除する方針と報道されています。 これはシェアハウスの所有者にとって借金地獄から逃れることが出来る喜ばしいニュースでしょう。 しかし、本当にシェア…

みずほFGの企業年金減額は、キャッシュ・バランス・プランという制度の導入を意味する

みずほフィナンシャルグループ(FG)が、企業年金の減額を検討していると報道されています。 この企業年金減額はどのような仕組みなのでしょうか。 あまり注目されることがない企業年金制度の変更について今回は着目してみます。 報道内容 年金制度の分類 変…

スルガ銀行の資金繰り懸念は終わっていない~2019年4~9月レビュー~

スルガ銀行が2020年3月期2Q決算(2019年4~9月)を発表しました。業務純益(営業利益に近い概念)、経常利益、最終利益とも黒字を確保しています。 スルガ銀行は業況の最悪期を脱したのでしょうか。 今回はスルガ銀行の2019年4~9月の中間決算の内容について…

大塚家具の2020年4月期3Q決算は、資金繰り不安を解消できず

業績不振の大塚家具が2020年4月期3Q決算(2019年1〜9月)を発表しました。 赤字が継続しており、黒字化の目処は立っていません。 今回は大塚家具の直近の決算におけるポイントについては簡単に確認しましょう。 決算の概要 決算のポイント 決算の概要 大塚家…

役員定年制について考える

大和ハウス工業が役員に定年制を導入しました。これはガバナンス強化策の一環と説明されています。 従業員には定年制が導入されている企業がほとんどですが、役員の定年はどのようになっているのでしょうか。 今回は役員定年について確認してみましょう。 報…

サラリーマンよ、そろそろ公的年金制度について怒るべし

国民年金と厚生年金の統合について衆議院の厚生労働委員会にて野党から提案がなされたと報道されています。 国民年金の受給額は厚生年金に比べて小額であり格差を縮めること (但し、国民年金は定額払い、厚生年金は報酬比例であり納付額は大きく異なります)…

ソフトバンクGは簡単には倒産しない

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)が2020年3月期2Q決算を発表しました。 新聞等で報道されているように同社はweworkへの投資等で大きな損失を出し、決算は悪化しました。 業績悪化に伴いソフトバンクGへのマスコミの評価は厳しいものが増えているようで…

日銀のマイナス金利深堀は近いか〜政策決定会合で明らかになった銀行の味方が少ないという現実〜

2019年11月6日に日本銀行(日銀)が2019年9月に開催した金融政策決定会合の議事要旨が公表されました。 この議事要旨は日銀の将来における金融政策を予想する助けとなります。 近時、マイナス金利幅の拡大(深堀)が意識され始めていますが、日銀の議論のニ…

竹中平蔵氏の言う「90歳まで働く」というのは十分にあり得る未来

竹中平蔵氏が「90歳まで働くことになる」と発言したとして、ネットで話題になっています。総じて批判的、悲観的な反応が多いようです。 今回は、この「90歳まで働くことになる」ということについて簡単に考えてみたいと思います。 話題となった記事 元の記事…

日銀がマイナス金利拡大を実施した場合の地銀への影響を簡単に試算する

格付大手のS&Pが、日銀がマイナス金利を0.1%拡大した場合に銀行収益へ及ぼす影響を公表しました。 同社の試算によると、地方銀行64行のうち56行で貸出業務が赤字となります。 ほとんどの地方銀行が本業で赤字となることになるのです。 今回はこのS&Pの試…

厚労省が作成した微妙な「パワハラ防止指針」

厚生労働省(厚労省)が労働政策審議会の分科会で、企業などが行うべき職場でのパワーハラスメント(パワハラ)防止策の具体的内容を定める指針の素案を示しました。 この指針案が、むしろパワハラを助長するのではないかとの疑問の声が出ています。 パワハ…

銀行のCLOへの投資は本当に大きな問題なのか?

CLOと呼ばれるローン担保証券への銀行の投資が注目を集めています。 CLOは、Collateralized Loan Obligationの略称で、銀行が事業会社などに対して貸し出しているローンを証券化したもので、ローンの元利金を担保にして発行される債券のことをいいます。 こ…

ブラック企業撲滅のためにも「未払賃金請求権の消滅時効延長」は妥協しないことを厚労省に求めたい

未払賃金の請求期間、すなわち賃金債権の消滅時効についての見直しが議論されています。 現在は賃金に関する債権は2年で時効を迎えます。今回の賃金債権の消滅時効の見直しについては、2020年4月の改正民法施行によって債権の消滅時効が見直されることに対応…

日本の「貧困」について整理しておきたい

日本は経済大国と言われながら、貧困が多いとされています。 7人に1人が貧困にあえぎ、母と子のひとり親世帯では半数以上が貧困に苦しむ、との報道がなされているのをご覧になった方も多いでしょう。 しかし、日本で一般的に生活していると「貧困」世帯の存…

「上級国民」という言葉にみる日本の分断

「上級国民」という言葉を聞く機会が増えました。 池袋高齢者暴走事故と呼ばれる2019年4月に東池袋で発生した自動車暴走死傷事故から、上級国民という言葉は一般化したように筆者は感じます。 今回は上級国民という言葉について資産や収入という観点から少し…

小説出版のクラウドファンディングが始まります!

皆様へ この度、幻冬舎さんとCAMPFIREさんが合弁出資しているEXODUSさんから、小説出版のクラウドファンディングを実施することになりました。 10月18日以降で募集開始する予定ですが、事前にお知らせさせて下さい。 camp-fire.jp https://camp-fire.jp/proj…