銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

貸金業関係資料集にみる業界の衰退と銀行への教訓

金融庁が貸金業者にかかる統計データを公表しました。 このデータ内には長期的な動向が掲載されており、貸金業者の「衰退」が現れています。 今回は、貸金業者の長期的な動向・推移について確認してみましょう。 貸金業者の長期的推移 消費者金融の残高推移 …

ASEAN主要国における不動産規制~ベトナム・マレーシアの事例~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

ASEAN主要国における不動産規制~タイ、インドネシア~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

TATERU改ざん問題の渦中にある西京銀行の2019年3月期中間決算

山口県に本店を置く西京銀行に対して金融庁が立ち入り検査を行うと報道されています。 西京銀行は、東証1部上場のTATERUが公表した「従業員が、不動産投資を希望する顧客の預金残高データを改ざんし提出していた」銀行です。そして、西京銀行はTATERUの顧客…

栃木銀行の2019年3月期中間決算は、銀行の有価証券運用の行き詰まりを象徴するもの

北関東の栃木銀行が運用に苦戦しています。 栃木銀行の問題は、規模は違えど地銀に共通するものです。 今回は栃木銀行の2019年3月中間決算について注目していくことにしましょう。 報道内容 栃木銀行の2019年3月期2Q決算 所見 報道内容 まずは概要をつかむた…

仮想通貨に関する規制動向~今後は風説の流布、相場操縦、インサイダー取引等の規制が検討の俎上に~

金融庁から「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)議事次第が公表されています。この議事は2018年11月12日に開催されたものです。 今回は仮想通貨の呼称、インサイダー取引等について議論がなされています。 仮想通貨についての今後の規制動向を把握…

福島銀行の2019年3月期中間決算は更に追い込まれた印象

(写真と本文は関係ありません) 金融庁から、法令順守違反に対する行政処分ではなく、収益力の改善を求める業務改善命令を出された福島銀行の2019年3月期中間決算が発表されています。 福島銀行は、競合先である東邦銀行の元役員を経営トップに迎えて収益改善…

島根銀行2019年3月期中間決算は苦戦が続く~持続可能かは疑問~

(写真は本文とは関係ありません) 島根銀行が業績の立て直しに苦戦しています。 中間決算としてもコア業務純益(債券売買益を除いた本業収益)では2期連続の赤字となりました。島根銀行に対しては本業収益の低迷を理由に金融庁が業務改善命令を検討している…

TATERUの2018年度3Q決算分析~資金繰り問題が発生する可能性も~

TATERUという企業をご存知でしょうか。 スマートデイズのシェアハウス問題では、購入希望者の預金残高が水増しされる等の事象が発生し、その改竄された資料を基に、スルガ銀行からオーナーへの融資が実行されました。 TATERUでも同様の問題があったことが発…

スルガ銀行の2019年3月期中間決算評価~不良債権処理が一段落したかは不透明~

スルガ銀行の2019年3月期中間決算が発表されました。 事前の報道にあった通り、大幅な赤字となっています。 今回はスルガ銀行の決算状況がどのようになっているのかについて簡単に見ていくことにしましょう。 決算概要 決算のポイント スルガ銀行の2019年3月…

RIZAPの問題点が浮き彫りに~2019年3月期中間決算~

RIZAPが2019年3月期中間決算を発表しました。 売上高は大幅増収となりましたが、営業損益以下赤字に転落しました。 これは突然の赤字転落と言えるでしょう。 今回は、RIZAPの2019年3月期中間決算について確認しましょう。 報道内容 決算のポイント 報道内容 …

大塚家具の2018年12月期3Q 決算内容

大塚家具が2018年12月期3Qの決算を発表しました。 今回は速報として、大塚家具の2018年12月期3Q決算についてポイントを確認しましょう。 決算概要 大塚家具の決算ポイント 所見 決算概要 大塚家具の決算概要については、東京商工リサーチのリポートがまとま…

株主優待は本質的には廃止すべき~株主優待は株主平等原則に反するという事実~

大和インベスター・リレーションズの調査によると、上場企業の株主優待実施率が過去最高を更新しています。 個人の株主にとっては、株主優待というのは投資する企業を選ぶための重要な要素の一つでしょう。株主優待を活用した生活で注目を浴びている有名な個…

スルガ銀行の旧経営陣提訴にかかる判断理由~調査委員会報告~

スルガ銀行が旧経営陣ら9名を提訴しました。 提訴理由はシェアハウスなどへの不適切融資により発生した損失への損害賠償請求です。 今回は、このスルガ銀行の提訴理由、内容について賠償責任の有無を調べる取締役等責任調査委員会の報告内容を確認します。 …

元本確保型投資信託の人気はプロ不在の証し

投資信託の販売が苦戦しているとされています。 この要因は様々ではあるでしょうが、金融庁の一連の指摘(毎月分配型の非効率性、運用実績に比した手数料の高さ、銀行の期末押し込み販売への懸念、回転売買への懸念等)から、銀行自体も販売を自粛している可能…

日銀のAIワークショップから学ぶ、銀行がデータビジネスに乗り出す背景と危機感

近時、AIという言葉を聞かない日はないと言えるでしょう。 銀行業界でもAIをどのように活用するのか、AIで何かできないか、AIを活用したIT企業・フィンテック企業に銀行業界が淘汰されるのではないか、等の話題が出ることが多くなっています。 今回は、日本…

ソフトバンクが目指す親子上場についての論点

ソフトバンクグループが携帯電話子会社としてのソフトバンクを上場させようとしています。 一方で、親子上場が減ってきているというニュースをご覧になった方もいるかもしれません。 親子上場は様々な問題点を含んでいます。 今回は、ソフトバンクグループが…

スルガ銀行の2019年3月期中間決算で予想されること

スルガ銀行の2019年3月期中間決算が大幅な赤字となることが報じられています。 赤字の幅は大きいですが、現時点では十分な自己資本があるため、銀行の自己資本比率規制はクリアしています。 しかし、なぜスルガ銀行が不良債権(この用語の使用が適切かは悩ま…

役員退職慰労金という嫌われもの~キーワードは株主との利害一致~

役員退職慰労金という言葉をご存知でしょうか。いわゆる企業の役員に対する退職金です。 この退職慰労金を廃止する上場企業が増加しています。 今回は役員退職慰労金が廃止されている背景について確認していきましょう。 報道内容 役員退職慰労金とは コーポ…

ソフトバンクグループの2019年3月期中間決算を簡単に語る

ソフトバンクグループの2019年3月期中間決算が発表されました。 内容は大幅な増益となっています。その主な要因はソフトバンク・ビジョン・ファンドによるものです。 今回はソフトバンクグループの決算を簡単に確認していきましょう。 決算概要 SVF事業の内…

【余話】スルガ銀行についての記事をまとめて電子書籍を出版しました

◆スルガ銀行~優等生からの転落~ 銀行員のための教科書 https://www.amazon.co.jp/dp/B07K5VSLQH/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_sSW3BbAYCMSTJ すごい時代になったと実感します。 ブログで個人の意見、解釈等を世の中に発信することができるようになりました。 そして…

在職老齢年金は廃止した方が良い~「生涯現役を実現」するしか道はないのでは?~

2018年11月2日に第6回社会保障審議会年金部会(厚労省大臣の諮問機関における部会)が開催されました。 この年金部会では名称の通り我が国の「年金」ついて議論がなされており、今回は「一定額以上の収入がある高齢者の年金を減額する制度である」在職老齢…

大塚家具の在庫一掃SALEの評価方法とSALEにおける狙い

大塚家具は、在庫品や店頭展示品の入替えのため、通常販売価格の最大80%オフという在庫一掃SALEを実施しています。セールは9月下旬から、全国12店で始めており、当初の10月28日までの予定を11月25日まで延長しています。 この在庫一掃SALEにより2018年10月…