銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

法律

ストライキというものについて改めて確認してみる

ついに池袋西武(西武池袋本店)でストライキ(スト)が決行されました。8月31日は日本有数の売上高を誇る池袋西武が終日臨時休業に追い込まれた日になりました。 セブン&アイHD傘下の大手百貨店「そごう・西武」の労働組合は、従業員の雇用維持を求めてス…

TKO木本氏が関与したとされるポンジスキームとは

お笑い芸人のTKO木本氏が、7億円ともされる巨額の投資トラブルで芸能事務所を退所したと報道されています。木本氏は、投資話を様々な後輩芸人等へ薦め、多額の資金を集めたものの、投資を実際に行っていた人物と連絡が付かなくなり、結果として資金も戻せな…

日本は日本的モラリズムの国であり、民主主義国家とは少し違うように感じた2021年

2021年は皆さんにとってどのような年だったでしょうか。 筆者は、日本の政治・社会に対して非常にモヤモヤしたものを感じた一年でした。 そして、この一年を振り返り、10年前ぐらいに読んだ書籍を思い出しました。 今回は、この書籍をご紹介しながら、日本の…

自社株買い規制よりも「やるべきこと」がある

岸田首相が衆院予算委員会で、企業の自社株買いに関連してガイドラインを作る可能性に言及しました。 野党議員は、本来は企業が投資家から資金を調達すべき株式市場が、投資家に資金を供給する場所になっているとして、自社株買い制限の検討を求めており、そ…

転勤拒否し解雇されていたNEC子会社元社員の裁判を考察する

長男の病気等を理由に転勤命令に応じず、懲戒解雇されたのは不当だとして、NECソリューションイノベータ(NEC子会社)の元社員が同社を相手取り、解雇の無効確認や慰謝料100万円の支払い等を求めていた訴訟の地裁判決が出ました。 結果は、元社員の訴え棄却…

東京機械製作所の株主総会決議は株主平等の原則において疑問

輪転機大手の東京機械製作所の臨時株主総会で、買収防衛策の発動が可決されたことが話題になっています。 買収防衛策は、投資会社であるアジア開発キャピタルを対象としています。アジア開発キャピタルは、子会社のファンドを通じて東京機械製作所の株式を買…

政府要請があったら、銀行は飲食店に酒類提供停止を要請しないといけないのか

西村経済再生担当大臣が酒類の提供停止を拒む飲食店に対して、取引する金融機関から応じるよう働きかけてもらう方針だと発言し、後に釈明・撤回しました。 この方針の主旨は「真面目に取り組んでいる事業者との『不公平感の解消』のためだ」と説明されていま…

もう、健康保険組合は解散して協会けんぽに移りますか

日本政府は、年収200万円以上の後期高齢者が支払う医療費の窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案を閣議決定しました。 この施策は、後期高齢者への支援金を拠出している現役世代の健康保険料の増加を抑制する効果があります。但し、軽減効…

「タンス預金」という言葉は間違い~「預金」と「貯金」の違い~

我々は、日々意識せずに言葉を混同して使っていることがあります。 その一つが「預金」と「貯金」ではないでしょうか。 今回は、ちょっとした違いではあるのですが「預金」と「貯金」の違いについて確認していきましょう。 預金と貯金の定義 ゆうちょ銀行は…

株主総会への株主「来場禁止」は容認されていないのではないか

新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応として、上場企業の株主総会への株主の来場禁止が容認されると報道されています。 株主総会という場に、株式会社の所有者である株主が来場を禁止されるということは、本当に問題ないのでしょうか。 非常事態とは言…

業績が苦しい時に家賃の減額を不動産オーナーへ請求することは出来るのか

新型コロナウィルス感染拡大に伴い国・地方自治体からの外出自粛要請がなされています。 これにより飲食業、小売業等で大きな収入減少が続くことになります。 様々な業態では不動産を貸借し事業を行っているところが多いでしょう。 この不動産の賃借料 (家賃…

いいかげんにネットでの株主総会開催を認めては?

経済産業省が、法務省とともに、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、株主総会の運営上想定される事項についての考え方をまとめ公表しました。 今回はこの考え方について確認するとともに、株主総会の開催方法について少しだけ考えてみたいと思いま…

ブラック企業撲滅のためにも「未払賃金請求権の消滅時効延長」は妥協しないことを厚労省に求めたい

未払賃金の請求期間、すなわち賃金債権の消滅時効についての見直しが議論されています。 現在は賃金に関する債権は2年で時効を迎えます。今回の賃金債権の消滅時効の見直しについては、2020年4月の改正民法施行によって債権の消滅時効が見直されることに対応…

「動産」を活用した新たな担保権創設とは?~ABL普及の障害要因~

日経新聞が法務省が「動産」を対象とした新たな担保権を創設する検討に入ったと報じています。 「動産」とは、生産設備のような機械や商品在庫がイメージしやすいでしょう。企業が事業を行っていくうえで保有・活用することが非常に多い資産です。 政府は、…

株主総会の集中日という慣行は株主軽視では?

3月決算の上場企業の株主総会がピークを迎えています。 なぜ上場企業の株主総会開催日は集中しているのでしょうか。近時の傾向はどうなっているのでしょうか。 今回は株主総会の集中日について確認しましょう。 報道内容 株主総会の開催集中日の動向 集中日…

大塚家具の増資を事例とした「株式の有利発行」について確認する

大塚家具が第三者割当増資等の資本増強策を発表しました。 この第三者割当増資は、増資が発表された前日である2019年2月14日の株価終値460円に対して290.11円であり、▲37%のディスカウントとなります。 2月14日に大塚家具の株式を保有していた「既存」株主…

スルガ銀行へどのような行政処分が下されるのか~業務停止命令の過去事例~

スルガ銀行の第三者委員会の公表がなされ、経営陣も入れ替えとなりました。 金融庁はスルガ銀行への行政処分について検討していると報じられています。 今回は、スルガ銀行へどのような行政処分が下される可能性があるのか、過去の事例を踏まえながら考察し…

MUFGと三菱地所の合弁会社設立は銀行の不動産賃貸緩和を見据えた動き

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三菱地所と駅前の再開発等を行う新会社を設立すると報道されています。 銀行は不動産についても厳しい規制があり、駅前の店舗等の好立地物件も有効には活用できていません。MUFGはどのような狙いを持って新会社を設…

スマートデイズ「かぼちゃの馬車」民事再生法申請にかかる留意点

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を展開していたスマートデイズが民事再生法を申請しました。 本事案はスマートデイズに対してオーナーの提訴がなされ、アパートローンの提供をしていたスルガ銀行に対しても責任追求の動きがでるなど社会問題化してい…