新型コロナウィルス感染症拡大、 非常事態宣言に伴い、 雇用や収入の不安が出てきています。
個人にとってみれば、毎月の支出で最も大きい項目は住居関連費用でしょう。
賃貸住宅に住んでいる方は家賃、住宅を購入している持家の方は住宅ローン返済が、固定費として個人には重くのしかかってきます。
今回は、世の中の平均として、個人がどの程度の金額を住居関連費用として支出しているのかについて確認していきましょう。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅の家賃については、 全国賃貸管理ビジネス協会が毎月調査を公表しています。
(出所 全国貨貸管理ビジネス協会Web サイト)
全国の総平均賃料は月額で52,974 円です。
東京が 71,453円と最も高く、東京を100%とした場合、全国平均は74%となっています。
持家の場合
以下の表はフラット 35 の取り扱い事業者であるアルヒが調査したものです。
(出所 ARUHIマガジン/住宅ローン専門金融機関ARUHIの自己居住用の住宅購入における【フラット35】利用者データ<30代>(調査対象期間:2018年1~12月))
30歳代の借入額の平均は 2,945万1,657円で、月々の返済額は平均8万9,415円です。
年収300万円台で2,436万2,821円(月々の返済額7万3,570円)、年収800万円以上では4,494万6,245円 (月々の返済額13万7,226円)です。
持家の場合、2018年にフラット35で借入を行った30歳代の個人は、月に9万円程度の住宅ローン返済があることになります。
個人の金融資産(余裕資産)
上記の家賃もしくは住宅ローン返済は、当然ながら毎月の収入があることが前提でしょう。
もし収入が途絶えたならば、家賃や住宅ローン返済のためには、預金のような余裕資産から支払うしかありません。
では個人の余裕資産はどの程度あるのでしょうか。
個人の余裕資産については以下の記事で触れています。
端的に言えば、個人の余裕資産は、単身世帯で平均645万円、中央値で45万円、二人以上世帯で平均1,139万円、中央値419万円です。
特に単身世帯にとっては、 収入が途絶えると家賃負担は非常に重いことになるでしょう。
また、二人以上の世帯の消費支出は、総務省の家計調査(2019年平均)では、月に29万円強となっています。
【2019年平均の二人以上の世帯の場合】
- 消費支出 293,379円
- 食料 80,461円
- 住居 17,103円
- 光熱・水道 21,951円
- 家具・家事用品 11,717円
- 被服及び履物 11,306円
- 保険医療 14,010円
- 交通・通信 43,814円
- 教育 11,495円
- 教養娯楽 30,679円
- その他消費支出 50,843円
- (出所 総務省「家計調査」(2019年平均))
この消費支出には住宅ローンの返済額は入っていません。また家賃 ・住居費は1万7,000円程度となっています(親との同居等もあるため)ので、上記の消費支出が日本全体の平均的な支出だとすると、家貸や住宅ローンがある世帯は更に消費支出が増えます。
収入が途絶えると、家賃や住宅ローンの負担がいかに重いかが、数字の上でわかると思います。
所見
以上のように、日本の一般的な世帯の資産・家計の状況を見ると、コロナの影響により収入が途絶えると、数ヶ月だろうと生活を維持できる世帯は少ないものと想定されます。
今は店舗や飲食店のような事業者における家賃の猶予や減免に焦点が当たっていますが、個人の住居費用も大きな問題となる可能性があります。
不動産賃貸人や銀行等の対応のみならず、政府・自治体等の対策も必要となるのではないでしょうか。