銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2020-01-01から1年間の記事一覧

小説「帝国銀行、人事部」が40話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が40話目に突入しました。 現在は、帝國銀行という都市銀行の中野坂上支店でのパワハラ事案への対応に向けて、人事部の担当である主人公が奔走しているところです。 半沢直樹のような派手な世界…

コストの高い投資信託はパフォーマンスが悪いという不都合な事実

金融庁が「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標 (KPI)に関する調査」を公表しました。 これは国内の運用会社が発売している投資信託が本当に投資家のためになっているのか、運用コストと運用パフォーマンスの間にきちんと相関関係がある…

コロナショックで見る日米債券市場における投資家層の相違

コロナ禍が続いています。 コロナ感染症が拡大した2020年3月から4月にかけて、米国では、国債市場に止まらず、地方債や高格付の社債市場等においても、流通スプレッドが大幅に拡大するなどの不安定な動きがみられました。 一方、日本の社債市場では、3月から…

私募投信残高100兆円突破は地域金融機関の運用力の無さの象徴

私募投信の残高が初めて100兆円を突破しました。 この事象は金融緩和の環境下においてどのような意味を持つのでしょうか。 そもそも私募投信を購入しているのは「誰」でしょうか。 今回は私募投信の残高を通じて、地銀の経営について少し考えてみましょう。 …

銀行はコロナ禍の中で取引先をきちんと支援しているのか?

日本銀行(日銀)が発表した2020年7月の貸出・預金動向を見ると全国の銀行の貸出平均残高は急増しています。 今回は銀行の貸出残高の動向を確認することによって、コロナ禍の中で銀行が果たしている役割について確認してみましょう。 日銀貸出・預金動向 銀…

なぜ現金の流通が多くなっているのか~キャッシュレス化を阻むもの~

日本は他国に比べて紙幣の流通量が突出して多いことが知られています。 これは何故なのでしょうか。 日本銀行の理事がこの理由について解説しています。 非常に分かりやすい説明であり、今回はこの「日本で現金の流通が多い理由」について簡単に確認していき…

全国の銀行113行の2019年度決算のポイント

全国銀行協会が、全国銀行(113行)の2019年度決算の状況(単体ベース)を発表しました。 この統計は、銀行の単体決算を集計しているため、全国の銀行「本体」の決算状況をつかむことができます。 今回は、この全国銀行の2019年度決算の状況(単体ベース)に…

小説「帝国銀行、人事部」が30話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が30話目に突入しました。 文字数では29,000字まで来ています。 周囲からは面白くないと言われたり、説明があり過ぎて今のブログを小説にしたようなものだと言われたり、エンターテイメントが分…

GPIFの2020年度1Q運用実績は過去最高

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が2021年度1Qの運用実績を発表しました。 GPIFの運用実績は赤字になるとマスコミで大きく取り上げられ、将来の年金支給が減るのではないかとの論調が多くなります。 今回の運用実績はどうだっ…

みずほと三井住友の2021年3月期決算における不良債権処理比較

みずほFGと三井住友FGの2021年3月期1Q決算が発表されています。 両FGの決算において、コロナ対応での与信関係費用はどのようになっているのでしょう。 今回は、コロナでの不良債権処理を含めた与信関係費用について簡単に確認してみま ょう。 両FGの与信関係…

みずほFGの2020年度1Q決算からコロナの影響を読み解く

みずほFGが2021年3月期第1四半期(1Q)決算を発表しました。 銀行にはコロナの影響によって借入希望が殺到しているとの報道もあります。 みずほの状況はどのようになっているのか、そして、コロナは銀行経営にどのような影響を及ぼしているのか、簡単に見て…

ソフトバンクGの10年間の経営を単純化して評価する

(出所 ソフトバンクグループWebサイト/海援隊旗「 二曳(にびき)」) ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)ほど、日本で業績がニュースになる企業も少ないでしょう。 ソフトバンクGは、孫正義氏の投資先企業に対する圧倒的な目利き力で成長してきた投資…

日銀が中央銀行デジタル通貨の発行に向けて動く理由

デジタル通貨の検討のため、日本銀行(日銀)がグループを新設したと報道されています。 デジタル通貨を導入するとどのような良いことがあるのでしょうか。 Suicaと何が違うのでしょうか。 そして、なぜ日銀はデジタル通貨を検討するのでしょうか。 今回はデ…

別ブログ「銀行員はお嫌いですか」が60記事を超えました

2020年4月下旬に立ち上げた新しいブログ「銀行員はお嫌いですか」の記事が60本を超えました。 直近の記事では、万年筆について取り上げています。 www.doyoulike-banker.site 当ブログ「銀行員のための教科書」よりはゆるく発信しています。 もしご興味があ…

銀行の建物が立派である理由はビジネスモデル

テレビドラマ「半沢直樹」が始まってしまいました。 この半沢直樹に出てくる銀行の建物が随分と立派だと感じたことはないでしょうか。 なぜ、銀行の建物は見栄えが良いものにしているのでしょうか。 なぜ、銀行の本店は巨大なのでしょうか。単純に勤務してい…

小説「帝国銀行、人事部」が25話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が25話目に突入しました。 文字数では24,000字まで来ています。 100話ぐらいまで連載する構想です。 筆者にとっては、まだまだ長い道のりです(勝手に執筆を始めただけですが)。 www.business-n…

消化仕入というアパレルメーカーと百貨店を壊す商慣習

新型コロナによる休業や営業時間の短縮で、アパレル企業の在庫が過去最高水準まで膨らんでいると報道されています。 この要因は、アパレルメーカーだけの問題ではなく百貨店やショッピングセンターの商慣習にあるとも指摘されています。 今回は、アパレルメ…

銀行の不良債権問題はこれから

日本銀行が金融システムレポート別冊シリーズ「2019年度の銀行・信用金庫決算」を発表しました。 このレポートにおける銀行の決算の状況、本業の利益の推移、貸出利鞘・利益の推移については、前回の記事で確認してきました。 今回の記事は、前回の記事の続…

銀行の2019年度決算と銀行が構造不況業種であるという事実

日本銀行が金融システムレポート別冊シリーズ「2019年度の銀行・信用金庫決算」を発表しました。 日本の銀行業は低金利下で構造不況に陥って久しいとされていますが、2019年度の業績はどうだったのでしょうか。あまり注目されることのない信用金庫の決算含め…

インパクトファイナンスという新潮流は無視できない

環境省が「インパクトファイナンスの基本的考え方」と題する報告書を公表しました。 財務的リターンだけではなく環境社会・経済にポジティブなインパクトをもたらそうとする投資は、世界的な潮流となりつつあります。 今回は環境省がこの投資、すなわちイン…

日銀の中央銀⾏デジタル通貨に関する技術的課題認識

日本銀行が「中銀デジタル通貨が現金同等の機能を持つための技術的課題」というレポートを発表しています。 このレポートでは、中央銀⾏デジタル通貨(CBDC: Central Bank Digital Currency)の技術的な課題について焦点を当てています。具体的には「誰もが…

小説「帝国銀行、人事部」が21話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が21話目に突入しました。 文字数では20,000字まで来ています。 100話ぐらいまで連載しないと終了しないと思われますので、筆者にとっては、まだまだ長い道のりです。 www.business-novel.site …

在宅勤務の常態化は企業のコスト削減に有効〜富士通の事例〜

富士通が国内全従業員に在宅勤務を推奨することになりました。 これに伴い、オフィスの削減がなされると富士通から発表されています。 今回はこのオフィスの削減に焦点を当て、在宅勤務のコスト削減効果について、簡単に考察してみたいと思います。 新聞記事…

銀行から投資信託・外貨建保険などの運用商品を買ってはいけない

金融庁が「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」を発表しました。 金融庁は、日本国民が、金融事業者の「顧客本位の取組み」の状況を比較でき、より自分にあった金融事業者を選択し、自身の資産形成に取り組めるような…

GPIFの2019年度運用実績~足元の大幅赤字だけに注目すべきではない理由~

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(通称GPIF)が2020年1~3月期の運用実績を発表しました。 このGPIFの運用実績が3ヵ月間で過去最大の18兆円弱の赤字となったとして話題となっています。 今回はGPIFの公的年金資金運用について見ていくこと…

金融庁のレポートに見る地銀のシステムに関する課題

金融庁が「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」を公表しました。 このレポートはほとんど話題になっていませんが、地銀が業績改善に苦しむ要因の一つを指摘しているように思われます。 今回は、金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レ…

地元の経済規模、景気を簡単に確認してみる~都道府県別の預金と貸出金の残高~

となりの県の出身者と「どちらの地域の方が上か」と張り合ったことがある方はいらっしゃるでしょうか。(筆者は千葉と埼玉の出身者の「戦い」を比較的多く見てきました) そして、自分の地元が一番だとは思うものの、他地域と比べると本当はどのような立ち位…

銀行業界の「書面・押印・対面主義」見直しの動き

コロナ禍において、在宅勤務を経験した方もいるでしょう。 この在宅勤務を阻害した要因の一つに金融機関の「書面・押印・対面主義」とでもいえる紙での取引慣行があります。 この商慣行を打破すべく、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向け…

第一地銀の2020年3月期決算まとめ

全国地方銀行協会(第一地銀協)が第一地銀の2020年3月期決算を発表しました。 本業不審にあえぐとされる地銀の決算はどのようなものだったのでしょうか。 今回は第一地銀の決算内容を確認しましょう。 第一地銀の業績 所見 第一地銀の業績 第一地銀の2020年3…

大塚家具の2020年4月期決算について

大塚家具の2020年4月決算が発表されました。 今回は2019年1月~2020年4月までの変則決算となっています。 大塚家具はヤマダ電機の傘下となり生き残りを目指していますが、今回の決算はどのような結果となったのでしょうか。 今回は大塚家具の2020年4月期決算…