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GPIFの2020年度1Q運用実績は過去最高

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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)が2021年度1Qの運用実績を発表しました。

GPIFの運用実績は赤字になるとマスコミで大きく取り上げられ、将来の年金支給が減るのではないかとの論調が多くなります。

今回の運用実績はどうだったのでしょうか。

以下で簡単に見ていきましょう。

 

新聞記事

まずは以下の日経新聞を確認しましょう。今回のGPIFの運用実績について概要がつかめると思います。

GPIF、運用益12兆円超 4~6月、四半期で最高
2020/8/7 日経新聞

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7日発表した4~6月期の運用実績は、12兆4868億円の黒字だった。四半期としては2016年10~12月期(10兆4971億円)を上回る過去最高の運用益を記録した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で悪化する経済を下支えするための各国の財政政策や、各国中銀による金融緩和策が株価を押し上げた。四半期ベースでは2四半期ぶりの黒字で、利子・配当収入は1兆160億円だった。

6月末時点の運用資産は162兆926億円で、4~6月期の運用利回りはプラス8.30%だった。運用資産は3月末(150兆6332億円)から増えた。

年金積立金全体に占める資産の構成割合をみると、国内債券が26.33%、国内株式が24.37%、外国債券が21.81%、外国株式が27.49%となった。

GPIFの2020年4~6月の運用実績は12兆円超の黒字であり、四半期としては過去最高の運用益を記録しています。

コロナ禍の中でも、各国の金融緩和政策や政府の雇用支援策等があったこともあり、これだけの収益を上げたのです。

 

GPIFの運用実績

では、GPIFの運用実績についてもう少し詳しく見ていきましょう。

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(出所 GPIF「2020年度第1四半期運用状況(速報)」) 

この資料に示されているように、2020年4~6月期は+8%超の運用益を計上しました。

12兆4,868億円という巨額の運用実績です。

これによりGPIFの市場運用開始以降(2001年度~2020年度第1四半期)累積の収益額は+70兆円強となりました。年率にすると+2.97%ですので、毎年3%程度の運用益を平均すると計上していることになります。

尚、GPIFは、2019年度(通期)では▲8兆2,831億円、年率▲5.20%の運用実績でした。第4四半期(2020年1~3月)でコロナ影響による大幅な損失が発生したことが要因です。この損失を発表した時には、大きなニュースになりました。

しかし、GPIFは、この2019年度の損失を2020年4~6月の3ヵ月間で取り戻したことになります。

 

GPIFの運用収益の内訳

では、GPIFの運用収益はどのような内容なのでしょうか。運用収益を分解すると以下になります。

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(出所 GPIF「2020年度第1四半期運用状況(速報)」) 

2001年からの累積収益額+70兆円のうち、利子・配当収入というインカムゲインで+38兆円を稼いできたことが分かります。

このGPIFの運用実績は、インカムゲインを狙った投資の重要性を示している良い実例です。

 

所見

GPIFの資産構成は以下の通りです。

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(出所 GPIF「2020年度第1四半期運用状況(速報)」) 

コロナ禍でも、この運用割合を維持してきたからこそ、GPIFの今回の運用収益が生まれました。

年金の運用は、そしてもちろん資産運用は、長期的な目線で行うことが重要とされています。

GPIFの運用を見ているとインカムゲインで着実に稼ぎ、累積の運用収益を増大させてきたがことが分かるでしょう。

短期的にはマーケットの影響で悪い結果が出ることはあるでしょうが、長期での投資は間違いなくマーケットの短期的なアップダウンを吸収していく方向に働きます。

私見ですが、GPIFの運用実績を、しかも赤字の時だけ大きく取り上げるのは、あまり意味が無いのではないかと思います。

良い時も悪い時もあるのが資産運用であり、それでも長期的に右肩上がりで収益を確保できているのかを確認していくことが外部の役割なのではないでしょうか。

また、ことさらにGPIFの運用赤字だけを取り上げることは、国民に公的年金制度への不安を植え付けるだけの結果になるのではないでしょうか。そして、資産運用は長期的に行うべきということを忘れさせることにならないでしょうか。

毎度のGPIFの運用実績が発表される度に、このように思うのは筆者だけでしょうか。

(資産運用については難しい本が多いのですが、個人という観点では以下の本が比較的分かりやすかったように思います。ご参考です)