みずほFGと三井住友FGの2021年3月期1Q決算が発表されています。
両FGの決算において、コロナ対応での与信関係費用はどのようになっているのでしょう。
今回は、コロナでの不良債権処理を含めた与信関係費用について簡単に確認してみま ょう。
両FGの与信関係費用
まず、みずほFGの与信関係費用は、以下のようになっています。
(出所 みずほFG「2020年度第1四半期決算の概要」)
2020年度の与信関係費用計画は2,000億円で、第一四半期では、390億円、進捗率 19.5%となっています。リーマンショック直後の与信関係費用は5,367億円でしたので、まだそこまでの処理費用とはなっていません。
また、リーマンショック直後の不良債権比率から比べると現在は半分程度の水準です。
これからどこまで不良債権比率が悪化するかは不透明ですが、現時点ではリーマンショック級の悪化には至っていないということになります。
一方で、三井住友FGはどのような状況でしょうか。
(出所 三井住友FG「2020年度1Q実績」)
以上のように、三井住友FGは2020年度の与信関係費用の計画は4,500億円としており、みずほFGの倍以上です。
そして第1四半期では1,148億円、進捗率25.5%となっています。
明らかに、みずほFGよりも三井住友FGの方が、保守的に与信関係費用を処理しているように思えます。
しかし、貸出残高が大きく違うのであれば、このみずほFGと三井住友FGの差は説明ができるでしょう。そのため、両FGの主に国内貸出金残高を確認してみましょう。
両FGの貸出金残高
みずほFGの銀行単体(みずほ銀行およびみずほ信託銀行)の国内貸出金は、平均残高ベースで58.7兆円となっています。
(出所 みずほFG「2020年度第1四半期決算の概要」)
一方で、三井住友FGの銀行単体の国内貸出金(こちらは平均残高ではなく、2020年6月末時点の断面です)は、58.9兆円です。
(出所 三井住友FG「2020年度1Q実績」)
以上を見ると両FGとも国内の貸出金残高には差がありません。
不良債権比率(こちらは海外含みますが)も、みずほFGが連結で0.77%となっているのに対して三井住友FGも0.77%となっています。
所見
上記の通り、みずほFGと三井住友FGの比較を簡単に行ってきました。
単純化すれば、みずほFGと三井住友FGは、少なくとも国内では貸出金残高が同水準であり、海外も含めた不良債権比率も同等であるにもかかわらず、2021年3月期の与信関係費用の処理には倍の開きがあるということになります。
筆者は、三井住友FGの方が良い企業であると言いたい訳ではありません。
但し、三井住友FGの方がみずほFGよりは保守的に与信関係費用を計上している可能性が高いとだけは認識しています。