銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2020-01-01から1年間の記事一覧

藤田観光の2020年度3Q決算は、財務的には崖っぷちの状態に

(写真出所 藤田観光Webサイト) ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光が2020年12月期3Q(1~9月)決算を発表しました。 コロナ禍において、ホテルは各社とも非常に厳しい状況にありますが、藤田観光も同様です。 藤田観光は大幅な赤字によって財務体質がかな…

JR北海道の2021年3月期2Q決算は、深刻な企業存続の問題を浮き彫りに

コロナ禍の中、北海道旅客鉄道(JR北海道)が大幅な赤字を計上しました。 JR北海道が2020年11月6日に発表した2021年3月期2Q(4~9月)の連結決算は、最終赤字が149億円(前年同期は▲3.9億円)に拡大しています。 売上高、赤字幅は過去最低です。そのような中…

日本企業における女性役員・管理職と外国人役員の現状

女性活躍、ダイバーシティが企業経営で叫ばれて久しいですが、女性経営者が次々と現れている印象はありますでしょうか。経団連のような経営者団体のニュースを見る限りでは、日本の経営者は男性ばかりです。 また、三菱ケミカルホールディングスが外国人社長…

小説「帝国銀行、人事部」が60話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が60話目に突入しました。 今は、銀行がどのようなリストラを将来行うと想定されているのか、そんなシミュレーションを小説にエピソードして盛り込んだパートを執筆中です。 www.business-novel.…

高齢者による交通事故「増加」の不都合な事実

高齢者が引き起こした交通事故が増加しているように感じたことはないでしょうか。 2019年に起きた池袋母子死亡事故は、加害者が「上級国民」だとされ、大きな話題となりました。 このようなマスコミの報道や、実際に危ない運転をしている高齢者ドライバーを…

ANAは生き残れるのか?

ANAホールディングス(ANA)が、2021年3月期第2四半期決算を発表しました。 ANAはコロナの影響によって大幅な赤字になっています。そして、機体数縮小等のコスト削減策のみならず、人件費削減として賃金カット、他社への出向等の策を打ち出しています。 ANA…

楽待不動産投資新聞に『「1物件1法人スキーム」、銀行はどう見破るのか』を寄稿しました

コロナ禍において、まだ不動産価格は如実に低下していません。 しかし、リーマンショック時を思い返すと、イベント発生から半年後から不動産価格に影響が出始めていました(それまでは売買が成立しなかったといった方が良いかもしれません)。 そのため、個…

住宅における残価設定型ローンを考える

住宅における残価設定ローンという商品をお聞きになったことはありますでしょうか。 自動車ローンだったらご存知の方も多いでしょう。 住宅における残価設定ローンは、長年議論されてきましたが実際には普及していません。 日本における残価設定の住宅ローン…

日銀の金融システムレポートに見るコロナ禍での企業資金繰り

日本銀行(日銀)が金融システムレポートを発表しました。 このレポートは、⾦融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深めることを⽬的として、年 2 回公表されているものです。 今回(2020年10…

日本における中銀デジタル通貨(CBDC)は民間銀行を駆逐しない方向に

中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての動きが各国で出てきています。 そのCBDCをめぐる動きでは、非常に重要な方針が、日銀総裁の発言および日銀のWebサイトで発表されました。 この方針次第では、民間の銀行の存続すら脅かされる可能性があったため、発表…

なぜコロナ禍はメガバンクより地方銀行に影響を与えるのか

新型コロナウィルス感染症拡大後、日本では首相交代があり、新首相は地方銀行(地銀)の再編を仕掛ける可能性があると報じられています。 新型コロナウィルス感染症拡大は地銀の苦境を更に加速させる方向に働くのでしょうか。なぜ、メガバンクのような大手行…

銀行が狙うべき新たな事業領域は人材派遣業かもしれない

金融庁が2020年10月7日開催の金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」で、銀行規制の緩和案を示しました。 報道で最も触れられているのは、銀行子会社が地域経済の活性化を目的とした会社に100%まで出資することを認める規制緩和案でしょう。コロナ禍…

銀行の人材紹介業は、取引先への銀行員押し付けを狙っている訳ではない

2018年1月に金融庁の監督指針が改正となり、地方金融機関は業務の一環として職業紹介事業、すなわち人材紹介業を行うことができるようになりました。 この人材紹介業の解禁は、特に地方において人手不足が深刻になる中で、銀行の取引先企業が必要とする人材…

楽待不動産投資新聞に『無視できぬ「スルガの底力」、地銀の不動産向け融資は復活するか』を寄稿しました

2018年に起きたかぼちゃの馬車「事件」は、銀行のアパートローンへの取組姿勢に大きな影響を与えました。 不労所得を獲得を目指すサラリーマン投資家は、この事件でアパートローンの審査が厳しくなり、不動産投資というチャンスを失っている状況にあるかもし…

銀行員数という観点でリストラが遅れているのは第一地銀である事実

銀行が「構造不況業種」と言われて久しい状況が続いています。 特に、地方銀行の苦境は、新首相が「地銀の数が多すぎる」と発言していると報道されていることからも、一般に認識されてきているでしょう。 メガバンクもRPAやAIを導入し業務量の削減、新卒採用…

ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光が追い詰められつつある現実

(写真出所 藤田観光グループ 第88期 中間事業報告) ビジネスホテルを展開し、ホテル椿山荘東京を運営する藤田観光が厳しい経営環境に陥っています。 コロナ禍において、ホテルは各社とも非常に厳しい状況にあります。 今回は、コロナが、ホテル事業を運営…

信託銀行の株主総会における議決権行使集計の誤りは大問題

三井住友信託銀行とみずほ信託銀行が、株主総会の議決権行使書の集計方法に誤りがあったことを発表しました。影響は両行合わせて1,346社に及ぶとしています。 これは株式市場においては非常に大きな問題です。 今回はこの信託銀行による株主総会の不適切な議…

楽待不動産投資新聞に「投資ファンドが572億円支援、レオパレスは今後どうなる」を寄稿しました

レオパレス21にフォートレスが支援することになりました。 今後のレオパレス21について取り急ぎ考察しています。 宜しければご覧ください。 www.rakumachi.jp https://www.rakumachi.jp/news/column/267361

楽待不動産投資新聞に「118億円の債務超過、レオパレスは破綻するのか」を寄稿しました

楽待不動産投資新聞にレオパレス21の記事を寄稿しました。 決算発表前の記事ではありますが、もし宜しければご覧ください。 www.rakumachi.jp https://www.rakumachi.jp/news/column/267122

なぜ今、物流倉庫への投資が人気なのか

皆さんは「不動産投資」という言葉を聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。 最も分かりやすいのはアパートやマンションのような人が住む物件への投資でしょう。 また、事務所が入居するオフィスビルや、商業店舗ビルも投資となるイメージがあるかも…

コロワイドの大戸屋HD買収は資金繰りに懸念

外食大手のコロワイドが大戸屋ホールディングス(大戸屋HD)への敵対的 TOBを成功させました。ほどんどの経営陣を入れ替え、業績のてこ入れを図るとしています。 コロワイドは買収を重ねることで拡大してきた企業です。このようなやり方もアリでしょう。 しか…

コロナ禍におけるマクロの問題は、個人に余剰資金が滞留していること

家計の手元資金が余剰になっています。 日本銀行(日銀)は資金循環統計として四半期ごとに各部門の資金過不足を公表しています。 今回は、コロナ禍において、この資金過不足がどのような状況になっているかを確認しましょう。 少しは、コロナ禍における政策…

小説「帝国銀行、人事部」が50話目に突入しました!

コロナ禍の中始めた、連載中の銀行員小説「帝国銀行、人事部」が50話目に突入しました。 現在は、人事部の担当である主人公が、ある支店長のパワハラを止めようとしたところ、自身の不倫疑惑を逆にかけられ、必死に対抗しているところです。 半沢直樹のよう…

東京のオフィス賃貸マーケットは崩壊するのか

コロナ禍の環境下、7年近く上昇を続けてきた東京都心のオフィスビルの賃料が下落に転じたと報道されています。 オフィスを中心に投資する上場REITの投資口価格(≒株価)も冴えません。 スタートアップやIT系企業は、在宅勤務への恒常的な移行によりオフィス…

日産自動車の借入に対する政府保証は、日産の信用力棄損を意味する

日産自動車(日産)はゴーン氏の解任劇以降、業績に陰りが見えていたところにコロナ問題が直撃し、厳しい環境が続いています。 その日産に対して、日本政策投資銀行が2020年5月に決めた日産への融資1,800億円のうち、1,300億円に政府保証をつけていたことが…

日本の大企業における閉塞感の理由を探るヒント

今回は単なる記事のご紹介です。 作者の方に了解を得ている訳ではありませんが、どうしても(勝手に)ご紹介したいので以下リンクを貼ります。 このnoteの記事では、トヨタの人事部の方がトヨタが好きだったのにもかかわらず、閉塞感を抱き、退職した経緯が…

不動産仲介現場が想定する不動産の今後~不動産市況DI調査~

コロナ禍は様々業種に影響を及ぼしています。 百貨店は不振となり、飲食店は全体で見ればかなり厳しい状況にあります。ホテルは閑古鳥が鳴いているような状況とされますし、旅行代理店は先行きが見通せない状況にあります。 このような中、不動産はどのよう…

地銀は本当に数が多すぎるのか?

自民党総裁選への出馬を表明している菅官房長官が、地方銀行(地銀)について「再編も一つの選択肢になる」と発言し注目されています。 菅官房長官は、地銀は「将来的には数が多すぎる」とも発言しています。 そこで、素朴な疑問が沸きます。 確かに地銀は本…

コロナ環境下における消費動向~衣服の動向には今後注目~

コロナウィルスは我々の生活をすっかりと変えてしましました。 感染症拡大当初は、トイレットペーパーが不足したことを思い出される方もいらっしゃるでしょう。そして、外出や外食が減り、もちろん旅行に行くことも減っています。 現在はWith コロナとして、…

金融庁の2020年度金融行政方針における銀行のトピックス

金融庁が「令和2事務年度 金融行政方針」を発表しました。 タイトルは「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」です。 金融行政方針は、金融庁が今後1年で取り組む重点施策を盛り込んだものであり、金融行政の方向性について非常に参考になるものです…