銀行員のための教科書

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専業・パート主婦のための3号被保険者制度は無くなる未来しか見えない

2024年に5年に一度の公的年金の「財政検証」が実施されます。この財政検証に伴って年金制度の改正が行われるのが通常です。

近時、年金制度の見直しで注目されているのは年金の「第3号被保険者」の扱いです。

第3号被保険者とは、国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)をいいます。分かりやすく言えば、会社員や公務員に扶養されている専業主婦が制度発足時のモデルでした。この3号被保険者の保険料は、配偶者(通常は夫)が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しますので、個別に納める必要はありません。

ここに(社会保険における)年収の壁が発生します。すなわち、社会保険の扶養範囲は、収入が130万円未満の配偶者です。配偶者の収入が130万円の壁を越えると社会保険の扶養から外れ、配偶者自身で社会保険に加入しなければならなくなり、配偶者自身に健康保険料・年金保険料の負担義務が生じます。そして、社会保険料等が差し引かれることで、配偶者の手取り収入が急減することになり働く意味がなくなるので、自主的に勤務時間や収入を抑制する傾向が発生することを年収の壁と言うのです。

(ちなみに103万円の年収の壁は、所得税の計算において配偶者控除の対象となるか否かですので、130万円の年収の壁とは異なりますが、労働時間や年収を抑制したいという要因になるという点では同じです)

今回は、社会保険における年収の壁の問題、すなわち3号被保険者制度について、国の制度改正の方向性について、現在の議論内容を見ていきたいと思います。

 

3号被保険者制度を取り巻くデータ

まずは、厚生労働省が議論の前提として公表しているデータを確認していきましょう。

(出所 厚生労働省 第2回社会保障審議会年金部会資料1「年金制度を取り巻く社会経済状況の変化」)

サラリーマンの妻の年金保険料を免除する制度とされた3号被保険者制度は、1985年に開始されています。

この1985年には雇用者の共働き世帯は718万世帯存在していましたが、2021年には1,171万世帯と+63%の増加となっています。

この共働き世帯の特徴は、妻がフルタイムではなくパートタイムをしている世帯が増加していることにあります。1985年から2021年における共働き世帯の変化はパートタイムの妻が増えたという一言で表せます。

(出所 厚生労働省 第2回社会保障審議会年金部会資料1「年金制度を取り巻く社会経済状況の変化」)

当該グラフは、専業主婦のいる世帯と共働き世帯の推移です。3号被保険者制度が導入された1985年は専業主婦世帯が多かったものの、2000年代に入ってからは目に見えて共働き世帯が増えてきたことが分かります。現在は専業主婦世帯の方が少数派になってしまいました。

(出所 厚生労働省 第2回社会保障審議会年金部会資料1「年金制度を取り巻く社会経済状況の変化」)

そして、元々は「専業主婦」が想定されていた3号被保険者は、現在は5割以上が就業しています。

これが、3号被保険者制度を取り巻く現在のデータです。

 

審議委員の発言

2023年3月28日に第2回社会保障審議会年金部会が開催され、その部会での議論が4月に公開されました。

社会保障審議会は、厚生労働省に設置されている審議会であり、厚生労働大臣の諮問機関です。この社会保障審議会の年金部会にて、有識者や労使の代表が参加して年金の制度、在り方を調査・審議しています。すなわち、年金制度が改正されていく流れは、この部会の議論が最も重要ということになります。

この第2回社会保障審議会年金部会における3号被保険者制度に関連する各委員の発言は以下の通りです。

 

<是枝委員発言(大和総研金融調査部主任研究員)>

一方で、被用者保険に加入せずに、年収が130万円を超えて、3号から1号に変わるケースについては、保険料が増えても給付が増えない、言わば本当の働き損に当たるケースになります。この点について、適用拡大によってそのような方を少なくすることはできますが、今後もずっと被用者の配偶者という身分をもって、収入が一定以下であれば、保険料を免除する仕組みを続けていくべきかは議論の余地があります。
 昨年12月に開催された男女共同参画会議の計画実行・監視専門調査会では、お茶の水女子大学の永瀬教授が、第3号被保険者のような保険料免除制度につき、被用者の配偶者を対象にする制度から、育児のためなどに低収入や無収入となっている者に対象を変えてはどうかと提案されており、検討に値するものだと思っております。育児や介護などの事情がなく、労働時間の制約を受けにくい方については、3号被保険者をなくすことで、年収の壁に直面せずに、自らの希望に応じて働く時間を伸ばし、収入を増やしていくことができるようになります。
 若い世代では、結婚を機に女性が退職することはかなり珍しくなってきつつあり、寿退社という言葉は死語になりつつあります。ある世代で区切って、それ以後の世代については、第3号被保険者について、育児や介護などの事情のある者に限るという改正を行う余地はあると思っております。
 一方で、シングルマザーなど、ケアを担い、労働時間の制約を現に受けている方につきましては、配偶者が厚生年金に加入しているか否かを問わず、保険料の支払いを免除する形で、一定の再分配の対象に加えることが適当ではないかと思っております。
 現在の制度では、世帯の中に厚生年金加入者がいる前提であれば、3号制度があっても、1人当たりの賃金が同じなら、どんな世帯でも保険料も、年金額も、所得代替率も同じということで、1人当たり賃金の水準に応じた所得再分配が行われております。
 ただし、世帯の中に厚生年金加入者がいればという前提が満たされないために、分配の輪の中に入っていない方がいます。
 今後、マクロ経済スライドの調整期間を一致する観点から、厚生年金と国民年金の間で財政の調整を行うことを検討するかと思います。その際には、改めて厚生年金と国民年金に共通で守るべき価値観や理念は一体何なのかということを再考する必要があるかと思っております。
 なるべく働き方に中立に、女性の自立の妨げにならない制度とするとともに、年金制度として、配偶者という身分を守るべきなのか、それとも、ケアを担う人を支えていくべきなのか、いま一度大きな枠組みで議論させていただきたいと思っております。

 

<佐保委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)>

基礎年金の創設や第3号被保険者制度の導入から35年以上経過しておりますが、今後、年金部会において、現行制度の枠組みにとらわれることなく、公的年金制度の在り方について、様々な視点から検討すべきと考えます。その際は、背景や根拠となるデータを基に課題と論点を整理した上で、丁寧に議論を進めていただきたいと思います。
 なお、連合としては、将来的に目指すべき公的年金制度として、現行の1号、2号、3号の区分をなくし、全ての者が加入する所得比例年金制度の創設を掲げております。
(中略)
 最後に、いわゆる収入の壁ですが、岸田首相の会見後の様々な報道によれば、時限措置として、パート労働者等の保険料負担を実質的に国が一部肩代わりする具体策が報じられております。これは、制度を複雑化させるとともに、いわゆる収入の壁の根本的な解決につながるとは言い難いものであります。
 また、「要件を満たさない中小企業等で働く人が年収130万円を超えた場合に、自ら国民年金、国民健康保険に加入する人は対象とならない」との報道がありますが、これは被用者であるにもかかわらず、社会保険が適用されない者にとって、さらなる不公平が生じかねません。
 さらに、短時間労働者の就業調整回避への効果は不透明であるとともに、労働時間を短くしても、同水準の手取り収入を確保できるため、新たな就業調整が生じ得る可能性があり、合理性に疑問を抱かざるを得ません。
 以上から、優先すべきは、全ての労働者への社会保険適用の実現であると考えます。
 なお、短時間労働で働く理由には、育児、介護などによる時間的制約も考えられることから、働き方改革を進め、全ての働く者が育児、介護等と仕事を両立できる環境を整備することも重要と考えます。

 

<永井委員(UAゼンセン副書記長)>

 私は、労働組合の立場で2点申し上げたいと思っております。
 1つ目は、社会保険の適用拡大ですが、前回も申し上げましたとおり、雇用形態、勤務先の企業規模や業種などによって適用有無が変わることは不合理だと思っております。まずは、令和2年改正法の附帯決議を踏まえ、企業規模要件の速やかな撤廃、個人事業者に係る適用業種の見直しについて、この部会において速やかに方向性を共有し、その実現のための議論を進めるべきと考えております。
 その上で、第1号被保険者の保険料とのバランスを踏まえた収入要件の引下げ、雇用保険の加入要件なども踏まえた労働時間要件の引下げ、フリーランス等、曖昧な雇用で働く者への適用なども含め、全ての労働者への社会保険の完全適用に向けた前向きな議論を行うべきと考えております。
 2つ目は、適用拡大にも係りますが、制度の正しい理解の促進が急務だと申したいと思っております。
 岸田首相の会見も含め、いわゆる収入の壁に関する報道が目立つわけですが、社会保険の完全適用が実現すれば、壁は解消すると理解しております。
 私が所属する産業別労働組合のUAゼンセンは、流通・サービス業で働く組合員が多い組織でございますが、パートタイマーを多数雇用する現場では、確かに収入の壁による年末の労働時間調整が起こっており、それにより現場の人員不足も起こっております。
 しかしながら、所得税がかかる103万と、社会保険適用の賃金要件である月額8.8万円の12か月分の106万と言われる参考値が一緒くたにされ、現場で調整の原因になっているのではないかと思われます。これは、以前の適用拡大の際にも、現場で税と社会保険の壁による多少の混乱があったとも聞いております。
 また、パートタイマーの組合員への意識調査では、年収調整をしている方の中で賃金改善や一時金の支給を望むという割合が大きくなっていることも考えると、いわゆる収入の壁があるから働く時間を調整していると言えると思っております。
 社会保険の適用によって、将来の年金などの給付が充実することよりも、手取りが減る、つまり可処分所得の減少ばかりに焦点が当たっていることには違和感を覚えますが、いずれにせよ、制度の正しい理解は極めて重要と考えます
 現在も、厚生労働省に特設サイトなどを開設され、省としても様々努力されていることは承知しておりますが、現場の労使双方がしっかりと制度を理解するための取組の強化をお願いしたいと思っております。

 

<平田委員(株式会社働きかた研究所代表取締役)>

 自分の保険料支払いが苦しいと思う人は、既に今、適用拡大されている、100人超の企業に勤めている人も同様であると思います。もし支援が必要であるならば、別の仕組みを入れたほうがよいということです。
 実際、20時間以上30時間未満働きながら、3号被保険者でいたいという理由で就職先を選ぼうとしても、事実上、難しい現状があると思います。求人広告にはその記載がありませんし、企業のホームページにもそれがないので、選ぶことができないこともあると思います。
 同時に、職選びにおいて、3号被保険者であろうとするという判断基準で職を選ぶことは、長い目で見れば、当人のためにならないのではないか、社会のためにもならないのではないか、ということを、考えていくべきではないかと思います。
 当人のためにならないというのは、自分の人生は自分が選択していく自分の命であるにもかかわらず、社会保障の仕組みがこうだから、あるいは夫の会社の配偶者手当がもらえるからという理由で職業選択をしていくことが、本人にとっていいことか? ということです。最終的に、その人がそれを選んでいるかもしれませんが、社会の仕組みとして、損得が明確に生じるものがあれば、当然選ぶわけです。
 同時に、労働力不足について先ほど小林委員からもお話がありましたが、実際に当社の顧問先でも、この制度がゆえに20時間以上は働かない、30時間以上は働かないと明確に決めている人がいる。
 ところが実際には、31時間とか32時間働ける人も多い。だけれども、そこで切ってしまっている。このことも、本人としても、企業としてもよいのか? ということがあるかと思います。
 今、働く女性は、ものすごく多様化しています。いろいろな選択肢があるからこそ、非常に難しい時代でもあります。が、だからこそ配偶者手当があるからとか、配偶者控除があるからとか、3号だからということで選ぶのではなくて、自分で自分の人生を生きることにちゃんと向き合っていくことが、すごく大事なのではないかと思っています。今の仕組みは、そこから女性本人をある意味逃げさせてしまっている面もあるのではないかということです。
 そういう意味合いにおいて、この仕組みができた当時と今では、社会が大きく変わっている。仕組みの効果はあったと思いますが、それが薄くなって、逆効果のほうが大きくなっているのではないか。そうだとしたら、今後はどのように社会を導いていくのか? という議論、つまり、社会のありたい姿を考えることも、大切になってくるのではないかと思っています。
 働き方改革も、ありたい姿を誰かが示して、これだけ進んできた側面があると思います。年金もそうあっていいのではないかと思っております。

 

<出口委員(日本経済団体連合会社会保障委員会年金改革部会長)>

第1号被保険者、第3号被保険者ともに被用者の割合が増えている中で給付と負担の違いといった問題がございます。
 公的年金とか社会保障制度は、経済のいわゆる成長と分配の好循環の基盤でございますが、公平・公正な仕組みの下で、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保されて、誰もが安心して希望どおりに働ける、いわゆる働き方に中立ということがこれから極めて重要かと私は考えております。
 目指すべき方向性は、被用者保険のさらなる適用拡大だと思っております。企業規模、あるいは業種、賃金といった適用要件については、より多くの方が被用者保険に加入できる方向性に沿って、さらに見直しを進めていく必要があるのではないかと思います。

 

<権丈委員(慶應義塾大学商学部教授)>

資料2の4ページの下から2段落目に、20時間未満の短時間労働者についても、被用者保険の適用除外となっている規定を見直し、適用拡大を図ることが書かれています。
 その下の行に「国民年金制度との整合性等を踏まえつつ」とあるわけですが、この整合性を踏まえると、20時間未満に関しては、厚生年金の事業主負担のみを課す形になるといいますか、そうならざるを得ません。
 実は、岸田総理が政調会長だったときにまとめた報告書にある勤労者皆保険、当時、彼らは勤労者皆社会保険と呼んでいたわけですが、勤労者皆保険は、20時間未満に関しては、事業主負担だけを課す制度の話でした。
 今、厚生年金の事業主負担のみで、給付は厚生年金の半分になる制度を厚生年金ハーフと呼んでおきたいと思います。
 厚生年金ハーフを20~30時間のパート労働者に当てはめて、彼らに本人負担を含めた厚生年金フルと、厚生年金ハーフを選択するという形にすれば、今騒動が起こっている、壁だと信じ切って、就業調整をしている人の問題はほぼ解決します。
 ちなみに、構築会議の報告書では、5ページの4つ目の黒星にあるように、就業調整に関しては、一層の適用拡大と被用者保険への加入の意義の広報の充実しか書いていません。
 しかし、みんなが壁と誤解して意識して、それに基づいて行動しているというのであれば、広報の充実と並行しながら、先ほど言った20~30時間のところに厚生年金ハーフを準備して、彼らに、社会保険料の本人負担分を払わないで、今の手取りを高める選択をしてもよいけれども、それは老後の貧困リスクを高める選択であることを学んでもらうことも必要になっているかと思っております。
 今から12年ほど前の2011年2~3月にかけて、運用3号という問題で世の中は大変盛り上がっていました。それがあまりにも不公平な制度であったということで、その制度の制定に関係した課長の更迭というトカゲの尻尾切りのような事件が起こりました。
 この国では、3号を優遇すると、大炎上します。そのことを分かっていない新しい人たちが永田町にも増えてきたのだろうと思って、今の様子を見ています。
 いわゆる壁と言われているものをなくすために、年金財政から補助金を出すことなど、年金局の人たちが進んで考えるわけがないのですが、報道を見れば、厚労省が前向きに動いているという話になっている。
 今日もそうした案が出てくるのではないかと、フロアの人たちは、大いに期待されているのではないかと思いますが、今言われている補助金の話は、3号は、基礎年金だけでなく、法律上は2号も3号も国民年金の保険料は免除されているわけですが、加えて厚生年金保険料の本人負担分を補助金という他の人のお金で埋めてもらって、厚生年金をフルで受け取ることができるようにするという3号への特別な優遇措置です。
 そういうことにみんなが気づいていったら、運用3号のときのように大炎上するだろうと思いますし、今度は課長ではなく、局長あたりが更迭されるのではないかと私一人で心配しております。年金局の方々は、くれぐれも気をつけながら対応していかないことには、この話はかなりやばいぞというのがあります。

 

<武田委員(三菱総合研究所研究理事シンクタンク部門副部門長 兼 政策・経済センター長)>

就業調整に関してです。
 今申し上げたことと関係しますが、男女の様々な格差、あるいは働き方の差に影響を及ぼしている制度があるとするならば、時代の変化に合わせて見直す必要があると思います。
 平田委員がおっしゃったとおり、配偶者控除や第3号被保険者制度があるからという認識があるのも事実です。その点は制度への理解不足も含めて、是正していく必要があると思います。
 しかし、根本的に解決していこうと考えますと、広報だけではなく、まずは適用拡大を着実に進めていく必要があると思いますし、その先は、現時点で共働き世帯の比率がマジョリティーになっていること、働き方も多様になってきていることを踏まえて、制度の見直しを冷静に議論していく責任があるのではないかと考えます。

 

<嵩委員(東北大学大学院法学研究科教授)>

今回御説明いただいた資料でも示されていましたが、女性の就労が変化し、非正規労働者が多いものの、M字カーブの底が上がってきているという変化に照らして、第3号被保険者制度の意義と課題を再検討し、社会の変化に合った見直しの方向性を示すべきではないかという点になります。
 第3号被保険者制度については、主に女性の年金権の保障のために導入され、その意義はとても大きいのですが、他方で、本当に不公平かどうかはさておき、不公平感の問題などが長らく指摘されてきておりました。
 第3号被保険者制度見直しの議論は、既に何度も行われてきましたが、一定の統一的な方向性を示すことはなかなか難しくて、現在は、短時間労働者の適用拡大を法で推進することで間接的に対応している状況かと思います。
 今回の資料でもありますように、第3号被保険者の就労が進展しておりますので、短時間労働者の適用拡大によって、一定程度の第3号の方は、今後、第2号に移行されるのではないかと思われますが、それでも第3号被保険者として残る方々は一定数おられると思われます。
 その中で、先ほど来御指摘があった年収の壁という現行の問題に取り組むことが重要でありますが、それとともに、第3号被保険者に残る方々がどういう事情で所得が低いのかということについて、これは是枝委員が先ほど御指摘されていましたが、例えば育児や介護で十分に就労できないといった事情を持っているのかなどを把握した上で、例えばそういった事情に即した制度に第3号被保険者制度を組み替えていくべきかなど、根本にまで踏み込んだ議論を行って、一定の見直しの方向性をこの部会で示していければと思っております。

 

今後の方向性

以上、現在の3号被保険者制度を取り巻くデータと審議会委員の意見を紹介してきました。

3号被保険者制度を変更した方が良いと考えている委員が多いことは間違いありません。そして、意見の方向性としては、いわゆるパートのような短時間労働者へ社会保険を適用していく方向性は進んでいますし、更に全ての労働者に社会保険を適用するべきという意見が多く見られています。

3号被保険者制度は将来的に残るとしても、育児のためなどに低収入や無収入となっている個人が対象となる等、今とは異なったものとなる可能性が高いでしょう。

しかし、報道でなされているように、現在の3号被保険者に費用負担を求めない形で制度が移行されていくことについては、一部の委員が「炎上する」と指摘しているように、問題となる可能性があります。

今は、専業主婦が少なくなってきている中で、専業主婦を優遇するような政策を取れば、共働き世帯から大きな反発が巻き起こるでしょう。既得権益を守りすぎだと批判が殺到しそうです。

既存の制度をどのように国民の反発をかわしながら変更していくのか、政府は難しい舵取りを迫られそうです。但し、間違いなく言えそうなことは、いずれかのタイミングではサラリーマン・公務員の専業主婦(もしくはパート主婦)のための3号被保険者制度は無くなっていくという未来です。