銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

干支の相場格言を確認しておきたい

年が明け辰年となりました。

2024年は能登半島地震があり、すぐに航空機事故がありと、年初から大きなニュースが相次ぎました。

今年はどんな年になるのか不安に感じた方も多いのではないでしょうか。

今回は、株式相場についての相場格言を確認し、今年を占ってみたいと思います。

 

相場格言

相場や投資には経験則から生まれた格言があり、相場格言と言われます。

干支についても相場格言がありますが、これについては聞いたことがある方が多いかもしれません。

 

「辰巳(タツミ)天井、午(ウマ)尻下がり、未(ヒツジ)辛抱、申酉(サルトリ)騒ぎ、戌(イヌ)笑い、亥(イ)固まる。子(ネ)は繁盛、丑(ウシ)つまずき、寅(トラ)千里を走り、卯(ウサギ)跳ねる」

 

この相場格言が意味することは、辰年・巳年は株価が天井をつけ(これは高値で推移することを意味します)、午年は下がる傾向があり、未年で辛抱し、申年・酉年は値動きが激しくなる。戌年は笑いたくなるほどの良い相場で、その後亥年は落ち着いた動き。子年は上昇相場になりやすく、丑年ではつまずき、寅年は寅が勢いよく走り抜けるため相場が荒れるが、卯年では跳ね相場が上昇する、というような意味です。

今年は辰年ですから、株価は天井をつける(高値で推移する)ということになります。

 

相場格言は当たるのか(2023年の振り返り)

相場格言をそのまま信じている人は少ないでしょう。昔ながらの金融業界が相場を盛り上げるために取り上げているだけだと考える方も多いのではないでしょうか。

干支の相場格言が成立すると仮定すると、経済は12年(干支)周期で循環していることになります。これは一見すると不合理で無視しても良いように思われます。

しかし、意外と相場格言は当たってもいます。

2023年は卯年で「跳ねる年」でした。ウサギがピョンピョン跳ねるイメージから、株式相場が跳躍する年、とされています。

実際に、2023年の日経平均は年初の1月4日が年間の安値で、大納会(年末)の日経平均は前年末比7,369円67銭、+28.24%高となり通年で上昇しました。

卯年は、第二次世界大戦以降、過去7回ありましたが日経平均ベースで5勝2敗と比較的良い戦績を残しています。

筆者の考えでしかありませんが、相場格言は信じすぎてはいけないものの干支という概念が生き残ってきたように、12年サイクルというのは人の世において「経験則」となる程度には重要な周期性となっているように思います。小学生から高校生までの間が12年であり、人の世代が変わっていく期間でもあるのでしょう。

そもそも、株式相場は上がったり下がったりを繰り返しており、株価や景気は常に一定ではありません。

相場格言は参考程度でしかありませんが、意識の片隅に置いておいてもよいのではないでしょうか。

 

辰年の株式相場

戦後、十二支別に日経平均の騰落率を算出すると、辰年は平均29%上昇と断トツのトップとされています(2位は子、3位は卯)。

  • 1952年 朝鮮戦争特需
  • 1964年    東京オリンピック    
  • 1976年    ロッキード事件    
  • 1988年    不動産バブル   
  • 2000年    ドットコム(IT)バブル  
  • 2012年    アベノミクス開始
  • 2024年 ?

過去6回の辰年を振り返ると、上昇したのは4回です。

直前の2012年は前年末比+22.9%上昇していますが、まさに第2次安倍政権が発足した年で、アベノミクスへの期待から株価は年末にかけて上昇しました。1988年はバブル真っただ中で前年比+39.9%上昇し、日経平均は初めて3万円の大台に乗せました。1976年は第一次石油危機と第二次石油危機の間にあたり前年比+14.5%上昇しました。1952年は朝鮮戦争特需で前年比+118.4%の上昇と史上最高の伸び率を記録しました。

一方、下落は2回で、2000年はITバブルが崩壊して▲27.2%の下落となりました。1964年は東京オリンピックの年で、建設特需の反動などで景気後退局面に入ったため、前年比▲0.7%と下落となっています。

過去の動向だけを見ると辰年は株価が上昇しやすい年であることは間違いないでしょう。

 

本年の相場

2024年は、正確には「甲辰(きのえたつ)」です。

諸説ありますが、十干の最初の文字である甲は「始まり」を意味し、辰は「振」「伸」に通じるとして、「新たな生命が成長する」とされています。空を駆ける龍のイメージもあり、株価上昇を期待する金融機関の従事者は多いでしょう。

海外では、本年は米国大統領選があります。大統領選の年は米国の株価が上がりやすい傾向にあります。

日本では新NISAがスタートし、株式投資の未経験者が多く投資の世界に参入してくるでしょう。

地政学のリスクや、米国の経済動向、日本の金利動向等、難しい局面が続く年となりそうですが、筆者にとっては、株式相場が格言通りに上昇して欲しい一年です。