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「千里を走る」寅年の相場格言を無視するのはアホかもしれない

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2022年が始まりました。

2022年は寅年です。

この時期には、干支にちなんだ相場予想が出されることが一般的です。

今回は、この寅年と株式相場の関係について確認していきたいと思います。

 

寅年の格言

寅年の相場については「千里を走る」という格言があります。

これは躍進というよりは、政治・経済で波乱が起こりやすいという意味で解釈されてきました。

実際に、寅年の成績は、戦後に東京証券取引所での取引が再開されて以来では、日経平均ベースで1勝5敗です。これは十二支の中で最も悪い成績です。他の干支は全て3勝以上となっています。

唯一の勝った年は1986年です。この年は、バブル相場の入り口の時期であり、それ以外の年が負けていることを鑑みると、寅年はあまり相場としては縁起が良くなさそうです。

もちろん、相場格言は、長い年月の中で語り継がれた経験則(アノマリー)です。経験則であって、論理的ではありません。

但し、寅年は、朝鮮戦争(1950年)、キューバ危機(1962年)、第1次オイルショック(1973~1974年)、チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年)、ロシア財政危機・LTCMショック・金融システム不安(1998年)、欧州債務危機(2010年)と世界の大事件が起こっています。

このような年であることは、頭の片隅に入れておいても良いかもしれません。

 

相場の格言

今まで寅年の相場格言について触れてきました。

では、他の干支はどのようになっているのでしょうか。

以下が干支毎の相場格言です。

干支 格言
子(ね) 繁栄
丑(うし) 躓き(つまずき)
寅(とら) 千里を走り
卯(う) 跳ねる
辰(たつ) 天井
巳(み)
午(うま) 尻下がり
未(ひつじ) 辛抱
申(さる) 騒ぐ
酉(とり)
戌(いぬ) 笑い
亥(い) 固まる

2021年は躓き、2022年は千里を走り、2023年は跳ねる流れとなります。

尚、2021年は日経平均株価が2万8,791円で終了しました。終値ベースでバブル崩壊後の高値を更新しています。年間の騰落率は+4.91%でした。

しかし、春先には日経平均が3万円に到達する一方で、年末の株価は2万9千円割れとなっています。こじつけかもしれませんが、2021年はやはり「躓き」だったような気がしています。

 

所見

干支にまつわる相場格言は、あくまで経験則、アノマリーとして語られるものです。

株式投資は本来は、為替、エネルギー価格動向、政治状況、技術開発、ビジネスモデル動向等の情報により合理的に判断されるものでしょう。しかし、毎年のように相場格言
が年末・年始に話題となるのは、投資には人間の「心理面」も大きく影響しているからではないでしょうか。

アノマリーは、単純に占いのようなものというよりは、経験則的な景気循環を指しているものと言われています。人間の本質はなかなか変わりません。経済・政治を動かしていくのは結局は人間です。そのため、同じような経済状況・相場状況が一定の間隔で現れるのではないでしょうか。

筆者は、相場の格言をそのまま信じることはありません。しかし、何かイベント等があった際に「今年の相場の格言は○○」と思い起こす人が存在するのではないかと考えています。その人たちは、相場の格言に従って行動するかもしれません。だからこそ、相場格言は頭の片隅に置いて、無視してはいけないものではないかと考えています。