銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2021-01-01から1年間の記事一覧

今年、株主総会で「狙われた」のはMUFG

2021年の株主総会において、銀行業界で最も注目が集まっているのは、システム障害で揺れるみずほFGよりも、実は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)なのではないでしょうか。 MUFGには、株主からの様々な議案(株主提案)が出されています。 今回は、こ…

BTS所属事務所のHYBEの株価は割高なのか考えてみる

HYBEという韓国の企業をご存知でしょうか。 今や世界的なアーティストとなったBTSが所属するエンターテインメントコンテンツ企業です。 このHYBEは韓国証券取引所で株式が取引されている上場企業です。2020年10月に新規株式公開し、当時の社名は「ビッグヒッ…

ソフトバンクGとの取引は、邦銀の体力を超えつつある

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)が外資の銀行(外銀)からの借入を増加させていることが話題となっています。 ソフトバンクGから邦銀が逃げているということでしょうか。 今回は、ソフトバンクGの銀行借入状況について簡単に確認してみたいと思います…

みずほのシステム障害は日本企業の劣化を象徴するものかもしれない

みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が、2021年2月以降に連続して発生したATM等のシステム障害について、外部調査の報告書を発表しました。 この報告書の内容は、みずほFGの企業風土についても触れています。 筆者の感覚で大変恐縮ですが、日本企業の…

東芝の問題は、日本全体の問題になる

東芝が発表した報告書がは大きな話題となっています。 外部弁護士による東芝の調査委員会は、2020年7月の株主総会を前に、東芝が経済産業省と連携して一部株主の提案を妨げようとしたとする報告書を発表しました。 今回はこの報告書において問題として指摘さ…

日本の少子化の原因には、形式を重んじる民族性があるのかもしれない

日本は少子化の問題を突き付けられてきました。 一人の女性が生涯に産む子供の数にあたる合計特殊出生率は2020年に1.34(前年比▲0.02ポイント)となっています。低下は5年連続です。 そして、2020年の出生数は約2万4千人減り、約84万人と1899年の調査開始以…

1日8時間働いて「普通の暮らし」ができる最低賃金は時給1,500円らしい

全国労働組合総連合(全労連)という労働組合団体が、2020年まで6年間で取り組んだ22都道府県の最低生計費試算調査結果について報告し、最低賃金を1,500円に引き上げ、全国一律最低賃金制度を実現すべきだと訴えています。 なぜ、労働組合は最低賃金を1,500…

地銀が関与する地域商社の現在位置

地方銀行(地銀)が、地方創生の実現に向けて、地域の事業者と一体となって地域商社を設立し、地域の魅力ある産品を大都市圏や海外に届ける取り組み等が広がっています。 地域商社については、2017年の銀行法改正により、銀行グループが取組可能なビジネスの…

単体で比較した場合、メガバンク最下位は三菱UFJ銀行であるという事実~2021年3月期決算~

メガバンク3行の2021年3月期(2020年度)決算が出そろいました。 マスコミではMUFGが利益額で首位を取り戻した等の報道がなされていますが、ほとんどは連結決算について説明されています。 今回は、時代遅れにはなりつつあるかもしれませんが、メガバンク3…

楽待チャンネルで「アパート建設ビジネスの落とし穴!大東建託の最新決算からアパート建設業界の行く末を予想」が公開されました

楽待チャネルにて「アパート建設ビジネスの落とし穴!大東建託の最新決算からアパート建設業界の行く末を予想」という筆者が解説した動画がアップされました。 今回は大東建託の2021年3月期決算について取り上げました。ご承知の通り、大東建託はアパート最…

JTBがすぐに倒産することは無い~2021年3月期決算~

旅行業界最大手JTBが2021年3月期の決算を発表しました。 新型コロナウイルスの影響で国内外の旅行需要が落ち込み、最終的損益は▲1,051億円と過去最大の赤字となりました。 国内店舗および従業員の大幅削減等を打ち出していますが、JTBは企業として存続できる…

朝日新聞社の巨額赤字には社内に危機感を覚えさせたい経営陣の思惑を感じる

朝日新聞社の2021年3月期決算が発表されました。 営業損益は70億円の赤字となり、最終損益に至っては441億円の最終赤字となりました。この決算を受けて、マスコミからは、コロナの影響によって朝日新聞社は過去最大の赤字となったと報道されています。 まだ…

メガバンクの利益首位は実質的に三井住友ではないのか?~2021年3月期メガバンク決算~

メガバンクの2021年3月期(2020年度)決算が出そろいました。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)を上回り、3メガバンクで純利益首位の座に1年で返り咲いたことも話題になっています。 今回は、2021年3月期に…

新垣結衣さんと星野源さんの結婚は年齢的に当たり前じゃないという視点

新垣結衣さんと星野源さんの結婚が大きく報道されています。 コロナ禍において鬱憤がたまるようなニュースが多かったせいか、どうも世の中から祝福されているようです。 星野源さんと言えば、婚活女子の間における「普通の男性=星野源」説が話題となったこ…

東京女子医科大学の医師・看護師大量退職問題から経営状況を確認する

東京女子医科大学の3つの付属病院で、100人を超える医師が2021年3月までに一斉退職したと東洋経済が報じています。 2020年夏季のボーナス支給ゼロに対して、看護師約400人が辞職の意向を示した混乱に続き、医師100人超の一斉退職という異常事態が発生してい…

消費者金融大手3社の2020年度決算レビュー~アイフルの弱さが目立つ決算~

SMBCコンシューマーファイナンス(SMBCCF)、アコム、アイフルの消費者金融大手3社の2020年度(2021年3月期)決算が出そろいました。 コロナ禍において消費者金融各社はどのような状況にあるのでしょうか。 今回は消費者金融3社の決算について簡単に見ていき…

みずほFGの2020年度決算は堅調も、三井住友FGとの差も浮き彫りに

みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)が2021年3月期の決算を発表しました。 この2020年度通期決算で、みずほFGは純利益が前期比5%増の4,710億円となりました。 国内貸出が中小企業向けで増加したこと等があり、本業のもうけを示す実質業務純益は21%増の…

楽待チャンネルで「【都心の狭小地はなぜ売れる?】急成長のオープンハウスの決算を現役銀行員が分析!」が公開されました

楽待チャネルにて「【都心の狭小地はなぜ売れる?】急成長のオープンハウスの決算を現役銀行員が分析!」という筆者が解説した動画がアップされました。 今回は、オープンハウスに焦点を当てました。同社は急成長する不動産会社です。 コロナ禍で戸建に注目…

楽待不動産投資新聞に『都心戸建で急成長、オープンハウスの勢いは今後も続くか』を寄稿しました

楽待不動産投資新聞に記事を寄稿いたしました。 今回は、オープンハウスに焦点を当てました。同社は急成長する不動産会社です。 コロナ禍で戸建に注目が集まるようになりました。良くも悪くも、分譲戸建の会社は玉石混交のように思います。 オープンハウスが…

JALの破綻は暫くないと言える2020年度決算結果

日本航空(JAL)の2020年度(2021年3月期)決算が発表されました。 2,866億円の赤字と2012年の再上場後で初の赤字となりました。赤字額の大きさは、報道でご覧になっている方もいらっしゃるでしょう。 日本は緊急事態宣言が延長され、まだまだ乗客数が回復す…

ガジェット通信に「日本人はもはや貯蓄好きではないという事実を信じますか」を寄稿しました

ガジェット通信に筆者の記事が掲載されました。 ご興味がございましたら是非ご覧ください。 getnews.jp

SBIソーシャルレンディングの事件は、ソーシャルレンディング全体の問題でもある

SBIホールディングスは、ソーシャルレンディング事業で、新規募集を停止すると発表しました。子会社が運営する一部ファンドで投資勧誘の違反行為があったことを受けての決定です。 そしてソーシャルレンディングとして投資家から集めた資金(未償還元本相当…

コロナで唯一押さえておくべきデータは死亡者の内訳ではないか?

緊急事態宣言が発令され、2021年のゴールデンウイークは非常に寂しいものとなっているものと思われます。 ゴールデンウイークに突入する前に、日本の新型コロナウィルス感染症による死者数は1万人に到達しました。 コロナ病床は逼迫しており、医療の限界も叫…

2割の健康保険組合は解散した方が良いレベル、赤字は全体の8割という大惨事

企業が設立している健康保険組合の財政が厳しいとお聞きになったことがある方は多いでしょう。 毎月給料から差し引かれる健康保険料は、上昇の一途をたどってきました。それでも赤字の健康保険組合は多く、そしてコロナがこの問題を加速させました。 多くの…

「日本は原発を動かすということで良いんですよね?」という話

政府が2030年度時点の温暖化ガスの排出削減目標を7割以上引き上げ、2013年度比46%減としました。 元々の2013年度比26%減から比べると大幅な上積みです。 この目標は本当に実現可能なのでしょうか。そして、この目標は何を意味するのでしょうか。 今回は温暖…

楽待不動産投資新聞に『9期連続最高益のヒューリック、「急成長に陰り」のワケ』を寄稿しました

楽待不動産投資新聞に記事を寄稿いたしました。 今回は、みずほ系の成長著しい不動産会社であるヒューリックについて取り上げています。 ヒューリックは成長性・収益性が評価されていますが、その源泉は「不動産価格が上昇していく」ことが前提になっており…

給与の銀行口座への振込はいつ始まったのか

政府が会社員への給与のデジタル払いを解禁する方針であると報じられています。 この「給与のデジタル払い」、すなわちPayPay等の「資金移動業者」を通じて給与を支払う仕組みは、導入されると、給与を受け取る個人にとってメリットとなる可能性があります。…

楽待チャンネルで「貸し手責任で借金帳消し!? スルガ銀行の不正融資問題が残す禍根」が公開されました

楽待チャネルにて「貸し手責任で借金帳消し!? スルガ銀行の不正融資問題が残す禍根」という筆者が解説した動画がアップされました。 スルガ銀行の事例を基に「銀行の貸し手責任」と「今後のアパートローン」について考察しております。 スルガ銀行のシェアハ…

日本人はもはや貯蓄好きではないという事実を信じますか

日本人は「貯蓄好き」というのが一般的なイメージなのではないでしょうか。 日本人は将来不安の影響で、消費をせずに貯蓄しているから景気が思わしくない、というような言説を聞いたこともあるでしょう。 今回は、日本人の貯蓄率について、少し焦点を当てて…

私立大学に自宅外から通うにはカネがかかり過ぎるという現実

東京私大教連の調査によると、首都圏の私立大学に入学した自宅外通学者への仕送り額が過去最低であったこと、仕送り額から家賃を除いた一日あたりの生活費が607円と過去最低であったことが一部で話題になっているようです。 子供を私立大学に行かせるにはお…