新垣結衣さんと星野源さんの結婚が大きく報道されています。
コロナ禍において鬱憤がたまるようなニュースが多かったせいか、どうも世の中から祝福されているようです。
星野源さんと言えば、婚活女子の間における「普通の男性=星野源」説が話題となったこともあります。
新垣さん、星野さんの結婚は、年の差婚でもあります。
新垣さんが32歳に対して、星野さんは40歳と報じられています。年の差は8歳です。
この年の差での結婚は一般的なのでしょうか。
今回は、この年の差婚について少し確認してみたいと思います。
一般的な結婚年齢
この世の中で、何をもって「一般的」というかは難しいですが、日本における平均的な結婚年齢をまずは一般的として見ていきましょう。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成、途中データがないものは戦災による資料喪失等資料不備等が理由)
日本における平均婚姻年齢は、2019年時点で男性33.6歳、女性31.4歳となっています。尚、ここで挙げている平均婚姻年齢は初婚者だけではなく再婚者を含む全ての婚姻のデータになります。
ただし、全体の平均婚姻年齢が上昇してきていますが、もしかすると高齢者の再婚が多くなり平均婚姻年齢を引き上げているというような事象があるかもしれません。
また、新垣さん、星野さんは初婚同士ということのようですので、初婚における平均婚姻年齢についても確認しましょう。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)
2019年における初婚の平均婚姻年齢は男性31.2歳、女性29.6歳となっています。やはり晩婚化は進んでいるようです。
女性の初婚における婚姻年齢のピーク
但し、晩婚化と言いながらも留意すべきことがあります。それは、婚姻年齢の本当のピークはどこかということです。すなわち、平均と中央値の差と言っても良いでしょう。
まず初婚女性における以下のデータを確認しましょう。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)
この最初のグラフを見ると分かる通り、2019年における妻=初婚における婚姻年齢のピークは26歳です。初婚の平均婚姻年齢は29.6歳ですが、それよりもピークは前に来ています。
また2つ目の図表は、2019年に婚姻した妻=初婚における婚姻年齢の累積比率です。
50%を超えるところを婚姻のピークもしくは適齢期とすれば、28歳で50%を超えていますので、妻=初婚における婚姻年齢の中央値は27歳(累積比率45.9%)と28歳(累積比率54.1%)の間となります。
そして妻=初婚の累積比率は31歳で70%を超えています。
初婚で32歳の新垣さんは、一般的な結婚年齢からは外れていることが分かります。
しかし、それ以上に一般的ではないのが星野さんの方です。
男性の初婚における婚姻年齢のピーク
男性は30歳を超えても、何なら40歳を超えていても、結婚のハードルはそこまで高くないと考えている人は多いのではないでしょうか。
以下は、先ほどと同じように初婚男性における図表です。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)
最初のグラフは2019年における夫=初婚における婚姻年齢を年齢別に並べたものです。
このグラフを見れば分かる通り、夫=初婚における年齢別の婚姻年齢のピークは27歳です。30歳代ではありません。
2つ目の図は、2019年に婚姻した夫=初婚における婚姻年齢の累積比率です。
50%を超えるところを婚姻のピークもしくは適齢期とすれば、29歳で50%を超えていますので、夫=初婚における婚姻年齢の中央値は28歳と29歳の間となります。尚、夫=初婚は33歳で累積比率が70%超となっています。
すなわち、女性にしろ、男性にしろ、初婚における婚姻年齢のピークは20歳代であり、そして、女性も男性もその年齢にはあまり差がないのです。
初婚の男女であれば30歳前には既に婚姻している姿こそが「日本の一般的な姿(中央値)」と言えます。
初婚夫妻における年齢差
さらに、新垣さんと星野さんは8歳の年の差婚です。
年の差婚は日本において一般的でしょうか。年の差婚は以前よりは増えているように感じているのではないでしょうか。
以下は初婚の夫妻における年齢差のグラフです。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)
統計上は、夫が年上の初婚夫妻は割合が低下してきています。むしろ妻が年上という婚姻が増加してきています。
この5年程度は割合が一定となっていますが、夫=年上が55%前後、妻=年上が24%前後、夫妻=同年齢が21%前後というのが日本の初婚夫妻の姿です。
これだけ見ると、新垣さんと星野さんの結婚は、夫=年上なので一般的と思われるかもしれません。
しかし、以下のデータもご覧ください。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)
上のグラフは、初婚夫妻の年齢差をグラフで表したものです。
2019年の初婚夫妻の婚姻状況を見ていくと、「妻もしくは夫が1歳上+夫妻同年齢」で全体の44%を占めます。
そして、「妻もしくは夫が2歳上まで+夫妻同年齢」の婚姻は全体の58.4%と6割弱を占めます。初婚夫妻は、近い年齢同士で結婚しているのです。
妻が4歳上以上の婚姻割合は6.4%、夫が7歳以上の婚姻割合は11.2%であり、相応の年の差婚があるという表現もできるかもしれませんが、全体的に見れば年の差婚は一般的ではないということになります。
そして、夫妻の年齢差の長期推移は以下の通りです。
(出所 2019年人口動態調査より筆者作成、途中データがないものは戦災による資料喪失等資料不備等が理由)
初婚のみならず再婚を含めた全婚姻においても、夫妻の年齢差は縮小してきています。
日本は年齢の近い男女が結婚する傾向にあるということになります。
所見
新垣さんと星野さんの結婚が、スター同士ではなかったとしても、年齢という観点ではめずらしい結婚であることが確認できました。
日本は、年の差婚が多くなってきていると感じている方は、完全に誤解しています。これは、報道がめずらしい事例をあえて挙げるからでしょう。めずらしいからニュースになるのであって、年の差婚は一般的ではありません。
報道等で作られたイメージと、実際の傾向には違いあることが、今回の事例でも明らかです。
新垣結衣さんと星野源さんの結婚は、何もかも当たり前ではないのです。
40歳で結婚する(結婚できる、結婚してもらえる)初婚男性はめずらしいのです。
今回のお二方の結婚が当たり前ではないのは、初婚で40歳の男性が、8歳年下の初婚女性と結婚したということです。そういう意味では、星野源さんが普通の人ではないことは明らかでしょう。