銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

不動産

コロナ後に投資家が選択すべき不動産(REIT)はどのようなタイプか?

新型コロナウィルスが猛威をふるっています。各国は人の移動を制限し、在宅動務が拡大しています。 日本においても、海外からの出張者、旅行者は著しく減少し、ホテルは軒並み稼働率が低下しています。 3月中旬には東証のREIT指数が急落した局面もありました…

東京都区部の新築マンション価格上昇の限界点は近い

新築マンションの価格上昇が話題となっています。 2019年の新築マンションの平均価格は、首都圏で5,980万円、東京都区部が7,286万円(不動産経済研究所調べ)となっており、バルブ最盛期以来の高水準です。 こんなにも新築マンション価格が上昇していること…

海外不動産投資による節税策を簡単におさらいする

海外不動産投資による節税策を、政府・自民党が実行できないようにする方針と報道されています。これは、いわゆる金持ち向けの節税スキームが税の不公平感を生んでいるという判断でしょう。 今回は、この海外不動産投資による節税スキームについて簡単に見て…

スターアジアのさくら総合REIT買収提案は、J-REIT買収時代の幕開けとなる可能性も

J-REITの業界に大きな動きが出ています。 スターアジア不動産投資法人がさくら総合リート投資法人に合併を働きかけていますが、これはJ-REITで初の敵対的買収案件となっています。 この事案は、今後のJ-REIT業界に大きな影響を与えることは間違いありません…

TATERUの2019年1Q決算は業績不振の不動産企業の典型

東証1部上場でアパート開発・管理を手掛けるTATERUが2019年第一四半期決算を発表しました。 TATERUは、2018年8月に従業員が顧客から提供を受けた融資関連書類を改ざんしていたことが発覚し、主力のアパートメント事業の受注が大幅に悪化し、金融機関の信用回…

なぜお金持ちは不動産を買うのか?~素朴な疑問~

「お金持ちは不動産を買う」というイメージがあるのではないでしょうか。 不動産は単純に儲かる可能性が高いということなのでしょうか。不動産は投資額が大きくなるため、お金持ちにとっては効率が良いのでしょうか。 今回は「なぜお金持ちが不動産を買うの…

投資用不動産向け融資を受ける難易度は間違いなく上昇する

金融庁が、投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果を発表しました。 スルガ銀行のシェアハウス融資問題を発端に、金融庁では、個人が投資目的で居住・宿泊用不動産(アパート・マンション、シェアハウス等)を取得するための投資用不動産向け融資に…

日本のリース会計基準変更は一部の不動産マーケットには逆風も

日本の会計基準を策定している企業会計基準委員会がリース取引の資産計上について見直しを検討していることが報道されています。 同様の見直しがなされているIFRS(国際会計基準)等では、リース取引に不動産の賃借が含まれることになっています。 日本の会…

TATERUの改ざん問題は信用棄損という大問題

東証1部上場のTATERU(タテル)がアパートオーナーの銀行融資にかかる申請書類を改ざんしていた問題で、第三者の調査委員会の調査報告書を公表しました。 今回はこの調査報告書の内容および今後の影響について考察します。 報道内容 報告書の内容 所見…

ASEAN主要国における不動産規制~ベトナム・マレーシアの事例~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

ASEAN主要国における不動産規制~タイ、インドネシア~

日本の不動産価格は高止まりが続いています。そろそろピークを迎えるのではないかと言われながらも、下落に至っているわけではありません。 しかし、日本の人口動態を見れば、長期的には確実に人口対比で不動産が余剰となります。 そのため、個人として投資…

スルガ銀行の収益還元法による不動産評価という新しくて古い問題

シェアハウスオーナー向け融資等、スルガ銀行による投資用不動産融資問題が表面化して暫く経ちました。 通帳残高偽造の事象が有名になりましたが、それ以外にスルガ銀行の不動産評価についても問題があったことが明らかになってきています。 今回は、スルガ…

相続税評価における不動産優遇は縮小していくのか

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第14回)が開催されました。 今回の議題は高齢社会における金融サービスのあり方です。 議事録は現時点(2018年10月11日)では開示されていませんが、事務局説明資料に筆者が気になる記述がありました。 それ…

インドへの投資のポイント~特に不動産投資は困難~

インドは12億人超の人口を抱え、世界第2位の人口大国でありアジア3位の経済大国です。そして、人口の約半分が25歳以下という非常に「若い国」でもあります。 今後、人口増加のみならず、経済もさらに発展するものと見られており、未来の巨大市場です。 その…

地銀の収益底上げの有効策は店舗等の外部賃貸を可能とする規制緩和

全国地方銀行協会(地銀協)が2018年の規制改革要望を発表しました。 この中には、銀行業界が近時要望している不動産賃貸の緩和が含まれています。 直近では、店舗跡地の再開発等を検討するMUFGと三菱地所の合弁会社設立も報道されました。 収益力が低下してき…

地銀の悲願は不動産仲介業への参入

全国地方銀行協会(地銀協)が2018年の規制改革要望を発表しました。 この中に地銀が長年にわたって要望している新規参入業務があります。 地銀の本音では、この業務しか新規参入を要望していないのではないかと筆者は思うぐらいです。 その業務とは、不動産売…

MUFGと三菱地所の合弁会社設立は銀行の不動産賃貸緩和を見据えた動き

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三菱地所と駅前の再開発等を行う新会社を設立すると報道されています。 銀行は不動産についても厳しい規制があり、駅前の店舗等の好立地物件も有効には活用できていません。MUFGはどのような狙いを持って新会社を設…

東京都が検討する分譲マンションの建替え促進は非常に有用では?

日本は、戦後の住宅不足の時代から高度成長期に至るまで、大量の集合住宅を建築してきました。最初に建てられた都心の分譲集合住宅(いわゆるアパート・マンション)は1953年築とされています。この蓄積されてきた分譲マンションは老朽化が進展してきています…

日本および世界の商業不動産投資の概括~2018年上半期~

JLL(Jones Lang LaSalle)が2018年上半期における商業用不動産投資に関するレポートを発表しました。 日本及び世界の商業不動産投資の動向の概要がつかめます。 不動産については、足元では米国の利上げもあり、先行きが不透明になってきている感があります…

不動産M&Aの簡単なメリット・デメリット比較

この数年、不動産M&Aという用語を聞くことが多くなってきました。 不動産M&Aが増加する背景はどのようなものでしょうか。 今回は、不動産M&Aについて考察します。 不動産M&Aとは 売主にとってのメリット・デメリット 買主にとってのメリット・デメリット ま…

IFRS改定で消えるのはリースのみならず「不動産賃貸業」の可能性も

国際会計基準(IFRS)のリースにかかる会計基準の変更が2019年から予定されています。 現時点では、このリースにかかる基準変更の影響は限定的でしょう。 しかし、日本の会計基準は国際会計基準に足並みをそろえてきました(コンバージェンス)。 この基準変…

2030年の住宅市場への恐怖~野村総研予測2018~

銀行はアパートローンを通じて日本の貸家建築の一翼を担ってきました。 スマートデイズが展開していたシェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーにスルガ銀行が貸出を行っていたように、金余りの環境下で銀行はアパートローン貸出に注力してきたのです。 し…

もう新築分譲マンションを買うのを止めにしては?

新築のマンション価格が上昇しています。 この水準だと、普通にサラリーマンとして働いていても、なかなか東京都内で新築のマンションを購入するのは難しくなってきています。 今回はこの新築マンション価格(首都圏)の民間調査について確認します。 概要 2…

私募リートにおけるセカンダリー取引について

私募リートが拡大しています。 2017年12月末時点では資産総額2兆4,398億円、23銘柄となっています。 出典 不動産証券化協会ホームページ 私募リート・クォータリー(2017年12月末基準) https://www.ares.or.jp/action/reserch/pdf/shibo_201712.pdf?open=1 …

容積率という不動産の重要な視点~なぜ半地下のような物件があるのか~

戸建住宅(いわゆる一軒家)やマンションで「一番下の階」が一段低くなっていて、少し地下に埋まっているような物件をご覧になったことがあるのではないでしょうか。 なぜこのような物件が存在するのでしょうか。 また、近隣の建物より明らかに大きな物件が建…

【速報】ホテルマーケット2018-2020の見通し~CBREの発表から~

CBREが日本のホテルマーケットの見通しを発表しました。 内容が非常に特徴的であるため、今回の記事は速報として、このレポート概要をお伝えします。 CBRE releases 2018 Japan Hotel Market Outlook まずはこちらの図表をご覧下さい。 濃い緑の棒グラフが既…

地方銀行には人材紹介ではなく、不動産売買の仲介を解禁すべき

地方銀行(以下地銀)の業績苦戦が続いています。 地銀は地盤地域の人口・企業数減少等がこれからも想定され、既存業務だけでは業績が反転するのは難しい思われます。 www.financepensionrealestate.work 2018年1月23日には金融庁が金融機関向けの監督指針の…

期末に不動産取得資金貸出を狙う際の「公拡法」という落とし穴

最近は少し傾向が変わってきているかもしれませんが、基本的には「銀行員は数字が全て」です。 3月末の期末に目標(ノルマ)を達成していなければ人間扱いされません。 特に年が明けたこの時期になると、毎日のように会議が開かれ、営業担当者は上司から追い…

不動産価格・賃料の国際比較では投資するなら香港が有望か

世界的に金余りが続いています。 株価も高値圏にありますし、仮想通貨・暗号通貨価格の大幅なアップダウンが毎日報道されています。 そのような環境下、不動産は居住するものであり、仕事を行う場所でもありますが、重要な投資先の一つともなっています。 そ…

生産緑地の2022年問題という時限爆弾

(この記事は2017年8月に作成した記事を再掲しています。最新の情報を更新していない点がありますが、ご容赦ください。) 皆さんは生産緑地という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。 実は、2022年に生産緑地が宅地として大量にマーケットに供給される…