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日本および世界の商業不動産投資の概括~2018年上半期~

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JLL(Jones Lang LaSalle)が2018年上半期における商業用不動産投資に関するレポートを発表しました。

日本及び世界の商業不動産投資の動向の概要がつかめます。

不動産については、足元では米国の利上げもあり、先行きが不透明になってきている感があります。

今回は、JLLのレポート内容を確認していきましょう。

 

日本の商業不動産

まずは日本の商業不動産投資について、JLLのレポートを引用・抜粋しながら見ていきましょう。

日本の2018年上半期(1~6月)の投資額は、前年同期比3%増の2兆2,510億円(ドル建てで6%増の207億ドル)、2018年第2四半期(4~6月)の投資額は、前年同期比13%減の7,900億円(ドル建てで12%減の72億ドル)となりました。

3月決算末を迎え投資額が膨らんだ第1四半期(1~3月)からの反動により、第2四半期の取引数はやや減少しましたが、半期ベースでの投資額は依然増加しています。

<日本国内の投資総額推移>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

2018年上半期の海外投資家による国内不動産への投資(インバウンド投資)は、3,990億円と前年同期比で1%減とほぼ同額で、国内投資額にしめる割合は18%となりました。不動産への直接投資ではありませんが、マレーシアのデベロッパーが大阪りんくうタウンでの複合施設の開発を計画するなど様々な投資家が日本の不動産市場に注目しているようです。

<海外投資家投資額推移>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

地域別投資額割合をみると、第1四半期は東京都心で大型オフィスが多数取引されたため東京5区の割合が58%でしたが、第2四半期は都心周辺部や地方で大型物件の取引が見られたことから、2018年上半期では47%と概ね半分程度となりました。

また東京圏以外のシェアでは、福岡市の中心部で商業施設3棟260億円の取引が成立したため、福岡圏のシェアが最も大きくなりました。

<地域別投資額割合>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

なお、2018年上半期の国内投資家による海外不動産への投資(アウトバウンド投資)は3.6億ドルと、前年同期比80%減と大幅に減少しているようです。

短期的には減少していますが、商業用不動産投資額には含まれない住宅および開発案件への投資は多数見られるほか、インヴィンシブル投資法人がケイマン諸島のホテル2物件3.05億ドルを2018年10月に取得を予定しているなど、海外不動産への直接投資の拡大基調は続いているとJLLは推測しています。

<アウトバウンド投資額推移>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

日本市場では、価格のピーク感の高まりや、投資家層の広がりを考慮すると投資額の増加傾向は続いていると考えられ、日本の2018年の商業用不動産投資額は、前年比5~10%増加の4.3兆円から4.5兆円とJLLでは予想しています。

(出典 JLLサイト https://www.joneslanglasalle.co.jp/

 

世界の商業用不動産投資

今まで日本における商業不動産投資を見てきました。

では、この日本における商業用不動産投資は世界全体でみるとどのような位置づけになるのでしょうか。

こちらについてもJLLが直近でレポートを出しました。このレポートを以下引用・抜粋します。

 

2018年上半期の世界の商業用不動産投資額は前年同期比13%増の3,410億ドル、2018年第2四半期の投資額は前年同期比10%増の1,730億ドルとなりました。

上半期の投資額では、2007年上半期以来の高い水準を示しています。

地域別にみると、アメリカ大陸の2018年上半期の投資額は前年同期比9%増の1,320億ドル、第2四半期の投資額は前年同期比横ばいの630億ドルとなりました。引き続きアメリカでの投資活動がけん引し、アメリカの上半期の投資額は前年同期比11%増となっています。

EMEAの2018年上半期の投資額は前年同期比9%増の1,280億ドル、第2四半期の投資額は前年同期比11%増の670億ドルとなりました。イギリスのEU離脱交渉の先行き不透明感はあるものの、イギリスの上半期の投資額は前年同期比19%増です。

アジア太平洋地域の2018年上半期の投資額は前年同期比29%増の810億ドル、第2四半期の投資額は前年同期比26%増の420億ドルとなりました。上半期の投資額としては同地域における最高額を記録しています。香港、韓国、オーストラリアでの投資活動が活発だった一方、日本、中国では投資活動が減速しています。

<商業用不動産投資額  2017年第2四半期-2018年第2四半期>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

<商業用不動産投資額 地域別  2007年第1四半期-2018年第2四半期>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

2018年第2四半期の都市別投資額はロンドン(158億ドル)が1位、ニューヨーク(157.9億ドル)が2位、3位に香港(146億ドル)が続きました。香港では5番目に高層のオフィスビルThe Centerが51億ドルで取引されました。4位東京(124億ドル)、5位パリ(116億ドル)と続いています。

<2018年上半期 投資活動が最も活発な10都市>

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(https://www.joneslanglasalle.co.jp/)

世界の不動産市場は好調に推移し、投資家の投資意欲も高まる中、投資家はより高い利回りが期待できる物流やオルタナティブセクターへの投資割合を増加させています。今後も市場への物件供給は限定されるものの、2018年通年の世界の商業用不動産投資額は前年比と同レベルの約7,150億ドルとJLLは予測しています。

<地域別取引額 実績値と予想値 2006年-2018年>

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(出典 JLLサイト https://www.joneslanglasalle.co.jp/

 

所見

日本の不動産は価格も高止まりしておりピークを迎えている可能性があります。

特に日本においては東京に投資が集中してきていることが気にはなります。もしかしたら、ピークアウトどころか東京では不動産の一段高もあるかもしれません(あくまで経験則的な感覚です)。

しかし、一方で、スルガ銀行の問題にみるように、銀行の不動産融資に対する姿勢は厳格化されてきていますので、不動産価格には逆風が吹いているものと思われます。

いずれにしろ国内の不動産動向は留意が必要です。

また、世界で見ると、2018年通年ではアメリカ大陸が横ばい、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が減少となる可能性があります。アジア太平洋地域は増加が続きますが、全世界的に見れば商業不動産投資は横ばいとなる可能性があるということです。

これは様々な要因があるでしょうが、最も影響があると考えられるのは米国の利上げです。この米国の利上げが国際的な資金フローへどのような影響を与えるかは筆者にはまだ分かりません。

しかし、金利が上昇し、賃料が上がらない場合には、不動産価格は(理論的には)下落します。

商業用不動産については、企業の動向が深く関わってきます。米国の利上げの影響を大きく受ける可能性もあるのではないでしょうか。