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みんなのボーナスってどうなっているのか?~2019年冬~

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大手企業の冬のボーナスが2年連続で過去最高を更新したと報道されています。

日本全体は「景気が良い」のでしょうか。皆のボーナスはどのようになっているのでしょう。

今回は日本全体の冬のボーナスについて確認してみます。

 

報道内容

まずは全体像を把握するためにNHKの記事を引用します

大手企業冬のボーナス 平均95万円余 2年連続過去最高更新
2019年12月25日 
大手企業のこの冬のボーナスは、経団連の調査で1人当たりの平均額が95万円余りと、昭和34年に調査を始めてから最高となりました。
経団連は、東京証券取引所の1部に上場する従業員500人以上の企業を対象にこの冬のボーナスの額を調べ、回答があった19業種150社の集計を公表しました。

それによりますと、従業員1人当たりの平均は95万1411円で、去年と比べて1万6500円余り、率にして1.7%増えました。

冬のボーナスの平均額としては、昭和34年に調査を始めてから最も高くなり、2年連続で過去最高を更新しました。

業種別では、東京オリンピック・パラリンピック関連の工事などで業績が好調な建設が156万円余りと最も高く、次いで、食品が105万円余り、自動車が102万円余りなどとなっています。

これについて経団連は「賃金引き上げの流れが着実に継続している。回答のあった企業の7割程度が、ことしの春の労使交渉で、夏と冬のボーナスを一括して決めているため、昨年度の好調な業績が反映されたことも背景にあるのではないか」と分析しています。

(出所 NHK NEWS WEB 

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191225/k10012227781000.html

どうやら経団連(日本経済団体連合会)傘下の大手企業は良いボーナス(賞与)をもらっているようです。 

次に経団連構成企業の状況についてもう少し詳しく見ていきましょう。 

 

経団連調査

経団連の調査は以下の通りです。

調査対象は、原則として東証一部上場、従業員500人以上、主要21業種大手251社のうち、150社の集計となっています。

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上記表の通り、全業種の総(加重)平均は951,411円、単純平均は830,608円です。

加重平均の方が大きい数値となるということは、規模の大きい企業の方が多くのボーナスをもらっていることを示しています。

業種別に見ていくと、食品、自動車、私鉄(JR)、建設が平均で100万円を超えています。会社と労働組合におけるボーナスの交渉は年間分としている企業が多いこともあり、2019年冬のボーナスが増加しているのは昨年度の好調な業績が反映されていると考えるべきでしょう。

全体感としては業種によってバラつきがあるとはいえ、大手企業は相応のボーナスを支給しているということです。

 

民間全体のボーナス

2019年冬季における中小企業を含む民間企業全体のボーナスはどのような状況でしょうか。

みずほ総合研究所は「事業所規模5人以上ベースの民間企業」の冬季ボーナスを一人あたり381,904円(前年比▲2.1%)と予想しています。この民間企業には上場企業も入っています。なお、公務員は748,830円(前年比▲2.7%)と予想しています。 

(出所  https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp191111.pdf

平均は前述の大手のボーナスと比べて大きな差となります。

中小企業に限定した調査はあまり存在しませんが、大阪府下の企業に対して大阪シティ信用金庫がアンケート調査を行い毎年発表しています。

大阪シティ信用金庫 が発表した「中小企業の冬季ボーナス支給予定」(2019年11月20日)では、中小企業の平均支給予定額は 297,639円(加重平均)で、増加(前年比+7.7%)しています。

また、支給を予定している企業は全体の 65.2%となっています。

(出所 https://www.osaka-city-shinkin.co.jp/houjin/pdf/2019/2019-11-20.pdf

加えて、厚生労働省が発表した「令和元年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」 (2019年11月26日)には令和元年における1人平均年間賞与妥結額が記載されています。これはあくまで「年間」のボーナスになりますが、以下の通りとなっています。

  • 全体:1,518,223円(1/2=759,111円
  • 5,000人以上:1,737,674円(1/2=868,837円
  • 1,000 ~ 4,999人:1,443,013円(1/2=721,506円)
  • 300 ~ 999人:1,342,451円(1/2=671,225円)
  • 100 ~ 299人:1,144,891円(1/2=572,445円

いわゆる超大企業である5,000人以上の従業員を抱える企業の冬季ボーナスを年間妥結額の1/2と想定すると868,837円です。それに対して、100~299人の従業員規模である中小企業のボーナス額は同様の仮定だと572,445円であり、超大企業とは296,391円、すなわち約30万円の差が存在することになります。

但し、100~299人の従業員規模である中小企業の冬季ボーナス想定額572,445円は前年比で+7.4%となっています。5,000人以上の従業員を抱える企業の冬季ボーナス868,837円は前年比▲6.7%です。

(出所 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/19/dl/10.pdf

 

まとめ

2019年冬のボーナスについては、大企業のみならず中小企業も増加となる可能性があるものと思います。 

中小企業はボーナス支給が無い企業も相応に存在しますし、中小企業全体をカバーしている調査はほとんどないことから全体像は見えにくいですが、人手不足等も反映し、2019年冬季ボーナスは相応の支給となるのでしょう。