(写真と本文は関係ありません)
金融庁から、法令順守違反に対する行政処分ではなく、収益力の改善を求める業務改善命令を出された福島銀行の2019年3月期中間決算が発表されています。
福島銀行は、競合先である東邦銀行の元役員を経営トップに迎えて収益改善を目指しています。
今回は、福島銀行の2018年度中間決算について確認していきましょう。
決算概要
まずは、福島銀行の2019年3月期2Q(2018年4~9月)決算の概要を把握しましょう。以下の新聞記事が分かりやすいでしょう。
福島銀の4~9月、純利益63%減
2018年11月12日 日経新聞
福島銀行は12日、2018年4~9月期の連結決算を発表した。純利益は1億5800万円で前年同期に比べ63%減少した。本業のもうけを示す実質業務純益(単体)は2500万円の赤字となった。前年同期は9600万円の黒字だった。
純利益が大きく減少したのは低金利の影響を受けたうえ、有価証券の利息配当金が減少したためと説明している。資金利益(連結ベース)は36億円と前年同期に比べ11%減った。経常収益は8%減の64億円だった。
以上のように福島銀行の中間決算は非常に厳しいものとなっています。
では、以下で更に詳しく見ていきましょう。
決算のポイント
福島銀行の決算におけるポイントとなる数値を確認しましょう。
- 業務粗利益(一般企業の売上高) 3,958百万円(前年同期比△330百万円)
- うち、資金利益(貸出利息等) 3,640百万円(前年同期比△465百万円)
- うち、役務取引等利益(手数料等) 529百万円(前年同期比+248百万円)
- うち、その他業務利益 △211百万円(前年同期比△113百万円)
- 国債等債券損益 △217百万円(前年同期比+177百万円)
- 経費(除く臨時処理分) 3,983百万円(前年同期比△208百万円)
- コア業務純益(債券売買損益除く) 192百万円(前年同期比△299百万円)
- 業務純益(一般企業の営業利益) △247百万円(前年同期比△347百万円)
- 資金運用利回 (A) 1.09%(前年同期比△0.09%)
- 貸出金利回 1.21%(前年同期比△0.07%)
- 有価証券利回 1.04%(前年同期比△0.37%)
- 資金調達原価 (B) 1.17%(前年同期比△0.02%)
- 総資金利鞘 (A)-(B) △0.08%(前年同期比△0.07%)
- その他有価証券のうち、債券 △188百万円(前年同期比△428百万円)
- その他有価証券のうち、その他 △701百万円(前年同期比△232百万円)
以上が中間決算のポイントです。
決算評価
福島銀行の2019年3月期中間決算は非常に厳しいものとなりました。
良い数値は「役務取引等利益」と経費の削減ぐらいでしょう。役務取引等利益については投資信託や保険の販売が好調に推移したようです。
しかし、それ以外の数値は非常に危機感を覚える内容です。
- 本業の収益である資金利益は11%減少
- この減少要因は貸出利息の減少のみならず、投資信託の売却益の減少(含み益が枯渇し投資信託の益出しが難しい状況に)
- 国債等債券損益が前年比プラスになっているのは損出しをしていないだけ(財務の健全性が前期ほど進展せず)
- 本業の利益であるコア業務純益が大幅減少
- その他有価証券のうち、債券およびその他の含み損が拡大
以上を勘案すると、福島銀行は収益の減少を少しでも食い止めつつ、早急なコスト削減を行う必要があると言えます。債券売買益を計上することが出来るような含み益もありません。
自己資本比率は大きな問題がありませんので、財務体力があるうちにリストラを行うことになるでしょう。
もちろん、業務改善命令を出した金融庁からのプレッシャーもありますので、普通に考えるのであれば、競合先の東邦銀行を含めた他地銀との統合も模索することになります。
これが福島銀行の2019年3月期中間決算に対する筆者の評価です。