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大塚家具の2018年12月期3Q 決算内容

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大塚家具が2018年12月期3Qの決算を発表しました。

今回は速報として、大塚家具の2018年12月期3Q決算についてポイントを確認しましょう。

 

決算概要

大塚家具の決算概要については、東京商工リサーチのリポートがまとまっています。以下、抜粋して引用します。

大塚家具の第3四半期 4年連続の四半期純損失、コミットメントライン契約を解除

 東京商工リサーチ(TSR)2018年11月14日

経営不振が続く(株)大塚家具(TSR企業コード:291542085、江東区、大塚久美子社長)が11月14日、2018年12月期第3四半期の決算を発表した。

 2018年12月期第3四半期(1-9月)の売上高は273億4,453万円(前年同期比12.5%減)と大幅減収が続いた。旗艦店が苦戦したほか、主力の寝具やダイニングも不振だった。「在庫一掃セール」は9月28日の開始で、売上の押し上げ効果は3日間のみと限定的だった。 

 利益は、営業赤字が48億6,358万円(前年同期▲40億5,926万円)、経常赤字が49億6,986万円(同▲39億8,673万円)、四半期純損失が30億5,397万円(同▲58億4,713万円)となり、第3四半期では4年連続の純損失だった。(注:▲は赤字)

 9月末の現預金残は22億8,894万円(2018年12月期第2四半期22億514万円)と増加した。同年第2四半期で約20年ぶりに金融機関から8億円の資金を調達。第3四半期中に完済。また、第3四半期中に有価証券を売却し、手元資金を増やした。

 中間決算で付記されたGC(ゴーイング・コンサーン)注記は外れず、2018年12月期の業績予想は据え置いた。

 大塚家具は複数の金融機関と総額50億円のコミットメントライン契約を結んでいたが、10月に入り契約を解除し10月19日、7億円の金銭消費貸借契約を締結。11月14日、2億円の期限前弁済を実施したことを公表した。

(以下略)

以上が大塚家具の決算概要です。

 

大塚家具の決算ポイント

では、大塚家具の決算におけるポイントを見ていきましょう。

  • 大幅な赤字ではあるものの純資産は129億円あり現時点では債務超過転落とはならず(自己資本比率は60%と比率自体は問題なし)
  • 売上高は前年比▲12.5%となり、前年の減収率▲9.1%の水準より拡大。減収傾向変わらず。
  • 売上総利益率は前年が51%であったところ、当期は43%となっており大幅に低下。棚卸資産の評価方法を変更しているため、従来の方法で計算すると当期は47%。売上総利益率が低下していることは間違いなし。
  • 2018年9月末時点の現預金は22億円。
  • 商品▲22億円、有形固定資産▲25億円、投資有価証券▲20億円、差入保証金▲5億円の計▲72億円の資産減少=現金回収があったはずだが、現預金の増加は+5億円程度(売掛・買掛の変動は大きな影響ないため割愛)。資金繰りの厳しさは変わらず。
  • 50億円のコミットメントラインは解約。

これが大塚家具の決算におけるポイントです。

 

所見

大塚家具の2018年12月期3Q決算はどのように評価出来るでしょうか。

筆者は以下のように考えています。

  • 特にコミットメントラインを解約したため(解約された、もしくは更改さらなかった、という表現が正しいかもしれませんが)、実質的に50億円の現金が減少した効果
  • 有形固定資産も投資有価証券も売却し、売却可能なものが商品ぐらいとなってしまった状況
  • 資金調達をするならば商品在庫に担保設定するか、差入保証金を活用する程度しか手法無し
  • まとめると、資金繰りの厳しさは一層増加

このような評価となります。

現在実施されている在庫処分セールにより一定程度の商品がキャッシュに変わるかもしれませんが、大塚家具の余裕度はかなり低下しています。

最早、自社での再建は難しいでしょう。支援先の早急な選定が必要ではないでしょうか。