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エリザベス女王の生涯と日本の出来事を比較してみる

英国の君主として70年に渡り在位してきたエリザベス女王(エリザベス2世)が、2022年9月8日(現地時間)に96歳で亡くなりました。

1926年生まれであり、第二次世界大戦を見届け、その後の英国の世界における地位低下を見てきた歴史の生き証人です。女王が任命した英国首相は14人です。

エリザベス女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で行われる見通しと報道されています。(日本ではツイッターのトレンドに「本物の国葬」というキーワードが入ったそうです)

今回は、エリザベス女王の生涯において、日本でどのような出来事があったのかについて比較してみたいと思います。筆者は、世界史(今回はエリザベス女王史ですが)と日本史の比較をあまり学んでこなかった世代でもあり、比較することにも意味があるのではないかと考えています。

 

エリザべス女王の生涯と日本の出来事

エリザベス女王の生涯と日本の出来事を比較すると、エリザベス女王の長命が際立つように思います。

以下は、最初に西暦年とエリザベス女王における出来事(日経新聞を参考に記載)、「⇔」より右に日本の出来事を記載しております。日本の出来事は筆者が勝手にピックアップしたものです。

  • 1926年 誕生 ⇔ 昭和天皇即位(昭和元年)
  • 1936年 父ジョージ6世が国王即位 ⇔ 二・二六事件、日独防共協定
  • 1947年 フィリップ殿下と結婚 ⇔ 日本国憲法施行
  • 1948年 長男チャールズ3世(現国王)出産 ⇔ 東京裁判判決により東条英機ら7名死刑
  • 1952年 父ジョージ6世逝去、女王即位 ⇔ サンフランシスコ平和条約発効
  • 1953年 初のテレビ中継となった戴冠式 ⇔ NHKがテレビ放送開始
  • 1975年 初来日 ⇔ 新幹線ひかり東京-博多間直通運転開始、三億円事件公訴時効成立
  • 1981年 チャールズ3世(当時皇太子)がダイアナ妃と結婚 ⇔ 教皇ヨハネ・パウロ2世来日、ららぽーと1号店(船橋)開店、ピンク・レディー解散
  • 1982年 ウィリアム王子誕生 ⇔ ソニーが世界初のコンパクトディスク(CD)プレーヤー発売、米映画「E.T.」公開
  • 1986年 英国君主として中国初訪問 ⇔ バブル景気開始、ドラゴンクエスト発売、世界初のレンズ付きフィルムカメラ「写ルンです」発売
  • 1997年 ダイアナ妃死去 ⇔ 北海道拓殖銀行・山一證券破綻、京都議定書採択、消費税3→5%、映画「もののけ姫」公開、世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」発売
  • 2002年 母(エリザベス)、妹(マーガレット)死去 ⇔ 雪印牛肉偽装事件、小泉首相の北朝鮮訪問、ゆとり教育スタート
  • 2011年 ウィリアム王子結婚 ⇔ 東日本大震災、福島第一原発事故
  • 2012年 ロンドン五輪開催 ⇔ 全ての原子力発電所稼働停止、東京スカイツリータウン開業、消費税法改正案可決、尖閣諸島国有化、第2次安倍内閣発足(民主党からの政権交代)
  • 2016年 習近平国家主席が国賓として渡英 ⇔ 平成天皇のお気持ちビデオメッセージ放送、電通新入社員過労自殺問題で電通等が書類送検・社長辞任発表、SMAP解散
  • 2021年 夫フィリップ殿下死去 ⇔コロナワクチン接種開始、温室効果ガス46%削減目標表明、東京五輪開催、デジタル庁発足、横綱白鵬引退、眞子様結婚、大谷選手ア・リーグMVP
  • 2022年 在位70年記念行事開催、エリザベス女王死去 ⇔ (ロシア軍ウクライナ侵攻)、円急落、安倍元首相銃撃され死亡、旧統一教会問題

上表を見ていくと、エリザベス女王は第二次世界大戦後の国際情勢をずっと見てきたことになります。

 

まとめ

エリザベス女王は、第二次世界大戦、帝國の崩壊(植民地の独立)、東西冷戦、英国病と言われる経済危機、オイルショック、国有基幹産業の民営化(サッチャリズム)、北アイルランド問題、Brexit等々、様々な英国の歴史を見てきました。英国と日本が戦争状態にあったこともあるのです。大英帝国の凋落とある程度の復活を見てきた女王であり、資本主義・自由主義と社会主義・共産主義というイデオロギーの戦いや、欧州統合とそこからの離脱に立ち会ってきたのです。

そして、エリザベス女王の在位期間は、日本の経済発展とその後の長期低迷の歴史でもありました。(日本において「世界初」という言葉が聞かれなくなって随分と経ちました)

このようなタイミングで歴史を振り返ると、人間の歴史は戦争や対立の歴史であると改めて思い知らされます。我々日本人は、戦後は平和を享受してきましたが、今後も享受できるでしょうか。エリザベス女王の生涯を改めて見ていくと、今の平和が当たり前であるとはとても思えません。歴史は信じられないぐらい劇的に変わるものです。皆さんの歴史も、筆者の歴史も、これからも驚きの連続なのでしょう。