銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

「タンス預金」という言葉は間違い~「預金」と「貯金」の違い~

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我々は、日々意識せずに言葉を混同して使っていることがあります。

その一つが「預金」と「貯金」ではないでしょうか。

今回は、ちょっとした違いではあるのですが「預金」と「貯金」の違いについて確認していきましょう。

 

預金と貯金の定義

普段から意識しないで使っている「預金」とは、そもそもどのような意味なのでしょうか。まずは定義から調べましょう。

金銭を銀行その他の金融機関にあずけること。また、あずけた金銭。 「銀行に-する」

(出所 三省堂大辞林 第三版)

銀行などの金融機関に金銭を預けること。また、その金銭。「毎月定額を預金する」「預金を下ろす」「当座預金」「普通預金」

(出所 小学館デジタル大辞泉)

以上を見ると預金というのは金融機関に金銭を預けることになります。

では、貯金はどのようなものでしょうか。

① 金をためること。また、ためた金銭。 「お年玉を-する」
② 郵便局・農業協同組合・漁業協同組合などに金銭を預けること。また、その金銭。 〔「貯金」は金銭をたくわえる意を表す。それに対して「預金」は銀行などに金銭を預ける意。ただし特に郵便局などに金銭を預ける場合は「貯金」という

(出所 三省堂大辞林 第三版)

1 金銭をためること。また、その金。「毎月決まった額を貯金する」「貯金箱」
2 (比喩的に)野球などのリーグ戦で、勝った数が負けた数を上回っているときの、その差。「この試合の勝利で貯金が5になった」⇔借金。
3 ⇒預金

(出所 小学館デジタル大辞泉)

この定義を見ると、預金と貯金の違いが少し見えてきます。

預金は「金融機関に金銭を預けること」であるのに対して、貯金は「金銭をためること」という意味合いであり、「貯金の一手段として預金がある」と考えることが出来ます。

 

ゆうちょ銀行はなぜ「貯金」なのか

郵便貯金法(昭和22年11月30日法律第144号)という法律がありました。郵便貯金に関して規定していたものであり、郵政民営化と共に廃止されました。

この法律では明確に「郵便貯金」という用語が使われており、郵便局が取り扱っていたのが預金ではなく、貯金であったことが分かります。

ただし、貯金を預け入れた人のことは「預金者」と呼んでいました。

現在は、郵便貯金というものは基本的に無くなっており、ゆうちょ銀行が扱っているものは「貯金」と呼ばれている(規定等にもそのように記載されている)ものの、法律上の扱いは「預金」です。

すなわち、名称だけを引き継いでゆうちょ銀行は使っているということになります。もちろんゆうちょ銀行は「預金」保険にも加入しています。

 

タンス預金について

「タンス預金」という言葉が使われますが、これには筆者は違和感を覚えていました。

今まで見てきた定義であれば本来は「タンス貯金」が正解なのです。貯金は、お金を貯めるということなのですから。

どうでも良いことではあるのですが、預金と貯金の違いの簡単な話でした。