銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

これでも銀行から投資信託を買いますか?~金融庁の分析と指標導入~

金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して、比較可能な共通指標を導入することを発表しました。 この共通指標は投資信託の購入コストとリターン等、お客様が取るコスト・リスクとリターンが相応かという点等を浮き彫りにするのが狙いです。 銀行・…

企業年金におけるオルタナティブ投資の現状

企業年金のオルタナティブ投資が拡大しているようです。そして、代わりに債券や株式の割合が減少しています。 今回は、この投資の変遷について確認していくことにしましょう。 報道記事 企業年金実態調査結果 2004年度の厚生年金基金と確定給付企業年金基金…

RIZAPの成長はグレー~会計とキャッシュの話~

RIZAPグループが注目を浴びています。 直近では、札幌証券取引所のアンビシャス市場(新興企業向け株式市場)の取引95%程度がRIZAP一社で占められているという記事が報道されていました。 確かにRlZAPグループは規模も大きくなり、凄まじい勢いで成長していま…

金融庁からの警告~地銀の有価証券運用とガバナンス~

金融庁では、「行政の透明性の向上を図るとともに、金融庁の問題意識を適時に発信する観点を踏まえ、業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点を公表すること」としています。 今回取り上げるのは、2013年5月に開催された全国地方銀行協会・…

史上最強の金融庁長官 森氏の退任について考えること

通例を超えて3期務め、史上最強の長官と言われた森金融庁長官の退任が報道されています。 金融業界外の方にとってみれば金融庁の長官と言われても認識は薄いかもしれません。 しかし、ここ暫くの間は金融界、とりわけ銀行にとって非常に大きな影響を与えてき…

銀行からお金を借りると利息を「もらえる」時代は来るのか~マイナス金利という事象~

2018年6月21日に銀行関係者にとっては記憶に残るかもしれない事象が起きました。 TIBOR(Tokyo InterBank Offered Rate、東京銀行間取引金利、読み:「タイボー」)が公表開始以来初めてマイナスになったのです。 日本銀行のマイナス金利政策が導入されても…

島根銀行は近未来の他行の姿か、ただの周回遅れか~2018年3月期決算~

島根銀行の業績が苦戦しています。 金融庁が島根銀行に業務改善命令を出すとも報道されています。しかも、業務改善命令は、法令違反ではく経営再建に関するものとされています。これは異例のことです。 島根銀行の経営状態はどのようになっているのでしょう…

2030年の住宅市場への恐怖~野村総研予測2018~

銀行はアパートローンを通じて日本の貸家建築の一翼を担ってきました。 スマートデイズが展開していたシェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーにスルガ銀行が貸出を行っていたように、金余りの環境下で銀行はアパートローン貸出に注力してきたのです。 し…

キレイごとばかりではない三井住友銀行の石炭火力発電所建設資金への融資厳格化の背景

三井住友銀行が石炭火力発電所の建設資金に関する融資基準を厳しくしました。 この流れはどのような背景があるのでしょうか。 銀行も環境を考える時代になったということでしょうか。 今回は銀行による石炭火力発電所への融資基準の厳格化を題材に、銀行を取…

池田泉州銀行の運用失敗は地銀共通の問題~2018年3月決算分析~

地方銀行(地銀)の苦境がマスコミで報道されています。 今回は大手地銀の池田泉州銀行の決算について見ていくことにしましょう。 地銀の置かれている状況が理解出来るのではないかと思います。 2018年3月期単体決算の概要 単体決算のポイント 池田泉州銀行の…

福島銀行は業務改善命令を受けるほどなのか~2018年3月期決算分析~

地方銀行の福島銀行が大幅な赤字計上を行いました。 同行は2018年3月期連結決算にて最終損益が30億円の赤字(前期は12億円の黒字) となり社長が引責辞任しました。 そして、後任にライバル地銀の東邦銀行元専務を就任させることにしています。 金融庁からは業…

現物株型の役員報酬導入増について

「現物株型」の役員報酬を導入する企業が大幅に増加しています。 この現物株型の役員報酬は「経営者と株主が同じボートに乗る(セイム・ボート)」ことになり望ましいとされています。 現物株型の役員報酬がなぜ導入されているのか、従前から存在していたス…

第二地銀は冷静にみてヤバいのか(2018年3月期決算分析)

第二地方銀行協会(第二地銀協)の会員である第二地方銀行(41行、第二地銀)の決算の概要が、第二地銀協から発表されています。 前回の記事では第一地銀が会員となっている地銀協(64行)の決算について考察しました。 今回は、特に業績が悪いとされる第二地銀の2…

全国地方銀行協会(地銀協)加盟行の2018年3月期決算について

全国地方銀行協会(地銀協)から加盟地方銀行(64行)の2018年3月期決算についての概要が発表されました。 マスコミ報道等では、地方銀行(地銀)の業況は厳しさが加速しているとされています。 今回は第一地銀の2018年3月期決算状況について考察します。 全…

【余話】 確定拠出年金の日経新聞報道について思うこと~株高はDC導入の追い風ではない~

本日の日経新聞に確定拠出年金についての記事が掲載されておりました。 筆者としては、確定拠出年金の記事で少々問題がある論調であると思う記事を見ることがあります。 当該記事も同様でした。 今回は、この確定拠出年金に関する記事内容の問題について記載…

RIZAPは投資家にコミットしていけるのか(2018年3月期決算分析)

(※画像は本文とは関係ありません) RIZAPグループの拡大が続いています。 表面上好調な決算に加え、カルビーの会長だった松本氏を代表取締役COOに迎えることを発表し、さらに350億円強の増資も実施することになりました。 RIZAPグループは、2012年3月期決算…

TBSに対して物言う株主が提案をする背景

東京放送ホールディングス(TBS)と英国投資家アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)との間で株主提案をめぐっての対立が続いています。 なぜ、TBSは物言う株主・アクディビストに狙われているのでしょうか。 今回はTBSが株主提案を受けている背景につ…

最高裁判決(ハマキョウレックス、長澤運輸)の影響を考察する

銀行員を含む会社員にとって、非常に影響のある最高裁の判決が出ました。 この判決は契約社員や定年後の再雇用者と正社員との待遇格差についてのものです。 特に銀行には契約社員も多く、再雇用の問題もあります。 今回は、この最高裁判決について考察します…

API(Application Programming Interface)とは

API(Application Programming Interface)という言葉をお聞きになった読者もいらっしゃるかもしれません。今般、日本銀行が発表した日銀レビュー・シリーズ(※)に最近話題に上るようになったAPIの非常に分かりやすい解説がありました。今回は、このAPIにつ…

金融庁の地銀に対する指摘が尋常ではない件

金融庁から業界団体との意見交換会の内容が公表されました。 この意見交換では、金融庁の問題意識が示されますが、金融庁の地方銀行(地銀)のマーケットでの資産運用に対するコメントが非常に厳しいものになっています。 今回は地銀に対する金融庁の問題意識…

地方銀行は本当に経営危機なのか~2018年3月期決算速報~

2018年6月1日に金融庁が地域銀行(≒地方銀行、地銀)の決算概要を集計し発表しました。 今回はこの決算概要についてみていくことにしましょう。 なお、全国地方銀行業界等が詳細の業界業績は毎年まとめています。現時点では公表されていないため、本件は速報…

我々は日本銀行の決算を見たことがあるか

日本銀行(日銀)の決算が発表されました。 日本の中央銀行である日銀の決算はあまりニュースにはなりません。 実質的には国そのものですから、信用力に問題がある訳でもなく、海外の企業と競争していることもない独占的な組織だからでしょう。 しかし、量的…

あおぞら銀行の働き方改革はまともでは?

日本銀行金融機構局 金融高度化センターは、2018年4月17日、日本銀行本店にて「ITを活用した金融の高度化に関するワークショップ(第3期) (第5回『ワークスタイル変革』)」を開催しました。 このワークショップは、ITあるいはデジタル技術を使って、生産性向…