銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

人事制度・労働環境

役員退職慰労金という嫌われもの~キーワードは株主との利害一致~

役員退職慰労金という言葉をご存知でしょうか。いわゆる企業の役員に対する退職金です。 この退職慰労金を廃止する上場企業が増加しています。 今回は役員退職慰労金が廃止されている背景について確認していきましょう。 報道内容 役員退職慰労金とは コーポ…

富士通が実施する従業員の大規模配置転換は何を意味するのか

富士通が5,000名規模の従業員を配置転換させると発表しました。総務や経理等の間接部門の従業員が対象です。 この対象者は営業やSE等に育成していくとしています。そして、配置転換後の仕事に合わない従業員は転職支援を行うのです。 この発表から読み取れる…

もうそろそろ銀行の働き方を見直した方が良い理由

日本銀行が開催した金融高度化セミナー「金融機関の働き方」の講演要旨が公表されました。 この講演では、人事制度や働き方について、銀行員のみならず企業で働くビジネスパーソンにとって有用な示唆がなされています。 今回はこの講演の一部を取り上げ、働…

スルガ銀行のパワハラ等問題事例はかなりスゴい~第三者委員会報告書より~

スルガ銀行が調査を依頼していた第三者委員会が調査結果を報告しました。 この第三者委員会は2018年1月に株式会社スマートデイズがシェアハウスオーナーに対する賃料支払を中止したことに端を発するシェアハウス関連融資問題の発生を受け、ステークホルダー…

銀行の休業日緩和と共同店舗運営は、結果的に自らの首を絞めるのでは?

(写真は本文とは関係ありません) 銀行の平日休業が可能となる銀行法施行令等が8月16日に施行されました。 銀行の休業日は規制されていましたが、今後は柔軟な店舗運営が可能となります。 この休業日が中心に報道されていますが、今回の規制緩和は共同店舗…

持投資口制度(持ち株制度のREIT版)について

持ち株制度のREIT版を大和ハウスが導入するとの報道がなされています。 この持投資口制度(持ち株制度のREIT版)については聞き慣れない方も多いかもしれません。 今回はこの持投資口制度およびその原型である持株会制度について確認しましょう。 報道内容 持…

最高裁判決(ハマキョウレックス、長澤運輸)の影響を考察する

銀行員を含む会社員にとって、非常に影響のある最高裁の判決が出ました。 この判決は契約社員や定年後の再雇用者と正社員との待遇格差についてのものです。 特に銀行には契約社員も多く、再雇用の問題もあります。 今回は、この最高裁判決について考察します…

あおぞら銀行の働き方改革はまともでは?

日本銀行金融機構局 金融高度化センターは、2018年4月17日、日本銀行本店にて「ITを活用した金融の高度化に関するワークショップ(第3期) (第5回『ワークスタイル変革』)」を開催しました。 このワークショップは、ITあるいはデジタル技術を使って、生産性向…

みずほFGの採用半減というニュース自体は「価値無し」

みずほFGが採用を半減することが報道されています。 この動向を報道各社は「銀行の収益が苦境に置かれていることが背景にあり、今後、銀行は構造改革が必要となり人員・店舗等が大幅に削減される」との論調で報道しています。 今回の記事では、みずほFGの新…

高度プロフェッショナル制度にもきちんとした理解を

高度プロフェッショナル制度の導入が国会で議論されています。 この高度プロフェッショナル制度とは、法案として提出された当初は「ホワイトカラーエグゼンプション」として「残業ゼロ法」として批判されたものです。 今回の記事ではこの高度プロフェッショ…

裁量労働制対象拡大法案の見送りについて

今回の国会で審議され、様々な批判の声が巻き起こっていた裁量労働制の対象範囲拡大に関する法案について、政府が成立を目指す働き方改革法案から分離され、今国会出の成立を政府が断念したことが分かりました。 これに対して経済界から失望の声が挙がってい…

裁量労働制についての正確な知識と銀行における問題点

今回の記事は裁量労働制についてです。 政府が導入対象を拡大しようとしている裁量労働制は「定額働かせ放題」の制度であるとの批判が多くなってきているようです。 今回は、裁量労働制についての正確な内容を確認するとともに、特に銀行における問題点につ…

転職を阻害する退職金・年金の問題点

前回の記事ではブラックな職場を改善する処方箋には雇用の流動化=転職の容易化があるとの記事を書きました。 www.financepensionrealestate.work ただし、現在の環境は決して転職が容易というものではないでしょう。 20歳~30歳台の時はまだしも年齢が上が…

ブラック職場を改善する処方箋の一つ~雇用の流動化という策~

政府は同一労働同一賃金等、働き方改革を政策の目玉の一つにしています。 しかし、残業代を削減する法案である等、野党や労組が反対しており、様々な問題を抱えています。 この働き方改革は、複雑な利害がからみ本質が非常に分かりにくいのが現状ではないで…

【余話】銀行員の連続休暇はうらやましい制度か

銀行員がうらやましい(?)と言われる銀行の制度に、「年に一回、自由な時に、5営業日連続で休暇が取れる」というものがあります。 一般の企業なら、お盆休みや年末年始など、長期休暇の日程が決まっていることが多いでしょう。そのような時は他の会社も休み…

おそらく誰も注目していない「銀行の休日緩和」の動き

近時、銀行のリストラについての報道が多くなっています。 長引く低金利の影響により銀行の本業収益が厳しくなっていること、機械化投資により○○○人分の業務量を削減すること、人員数そのものを減らすこと等がメガバンクの名前と共にマスコミから解説されて…

銀行の「名ばかり管理職」問題

銀行は長時間労働・サービス残業が横行していました。かなり改善されてきたと思いますが、それでもまだまだ労働時間は長いのではないでしょうか。 今回は銀行における残業代のつかない管理監督者、いわゆる名ばかり管理職問題について考察します。 [:content…

接待の帰りに事故にあったら労災になるのか~理不尽だけど現実~

接待がなぜ労働時間=残業にならないのかという記事をアップした際に、「では接待の帰りに事故にあったら労災にならないのか」という趣旨のご質問をいただきました。 今回は、この接待と労災の関係について整理します。 (前回記事) www.financepensionreal…

接待はなぜ労働時間=残業にならないのか

今回は会社員とって非常に納得感がないであろう「接待」について考察します。 会社員にとって(もちろん銀行員にとっても)、接待は残業や休日出勤には通常該当しません。 これは特に若手のうちは納得のいかないことではないでしょうか(歳を重ねると、慣れ…

残業問題を解決するには三六(サブロク)協定破棄が交渉材料になるという暴論

近時の働き方改革の議論をみていると少々違和感を感じずにはいられません。 企業も労働組合もスタートの立ち位置から議論した方が良いように感じます。 銀行員にとっても残業問題は他人事ではありません。自身の働き方にも影響しますし、取引先企業で問題が…

解雇の法的位置付け~正社員は簡単にリストラされないという事実~

前回までの記事でメガバンクのリストラについて考察してきました。 その中で繰り返し触れましたが、日本では正社員は簡単には解雇されません。 今回は、この「解雇」について法的な位置付けを考察します。 これは、正社員(銀行員含む)自身にとっても重要な話…