銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2023-01-01から1年間の記事一覧

楽待不動産投資新聞に『スルガ銀行とクレディセゾン、提携の裏にある「本当の狙い」』を寄稿致しました

楽待不動産投資新聞に『スルガ銀行とクレディセゾン、提携の裏にある「本当の狙い」』を寄稿致しました。 クレジットカード大手のクレディセゾンと地方銀行のスルガ銀行が業務資本提携を発表しました。 両社とも不動産分野に強く、一見すると良い組み合わせ…

専業・パート主婦のための3号被保険者制度は無くなる未来しか見えない

2024年に5年に一度の公的年金の「財政検証」が実施されます。この財政検証に伴って年金制度の改正が行われるのが通常です。 近時、年金制度の見直しで注目されているのは年金の「第3号被保険者」の扱いです。 第3号被保険者とは、国民年金の加入者のうち、厚…

日本の資産運用業界の問題点

我々が投資、資産運用について考える機会は近年増加の一途をたどっています。 SBI等のネット証券の台頭、NISA・iDecoといった制度の創設、会社でのDC制度導入、老後の資金不安、日本の年金制度への信頼低下、FIREへのあこがれ等、様々な要素が絡み合い、この…

SVBと邦銀との違いを日銀が解説している

米銀のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻してから1か月超が経ちました。 預金が次々と流出し破綻にわずか数日で破綻に追い込まれてた現代の取り付け騒ぎは象徴的な事件として皆様の記憶にも残ったのではないでしょうか。 このSVBやその後のシグネチャー銀行…

黒田総裁退任会見にみる日銀金融政策の総括

黒田日本銀行(日銀)総裁が退任しました。10年間と歴代最長の就任期間を誇った黒田総裁の退任は一つの時代が終わったとも感じられます。 この黒田日銀総裁の退任記者会見の内容は報道もされていますが、実際のやり取りをみると日銀の大規模金融緩和に対する…

女性が育児で正規雇用を手放した場合の経済的な損失は1.5億円?

新卒採用の慣行が続く日本において、今年も新入社員が入社した姿が報道されています。新入社員が参加する入社式やまだまだ似合わないスーツを着用した新入社員の姿は、この時期の風物詩と言って良いでしょう。但し、この新入社員というのは通常は正規雇用の…

クレディ・スイスのAT1債無価値化について簡単に考察する

経営危機が懸念されていたクレディ・スイス銀行のAT1債が無価値化したことが、金融業界では大きな話題となっています。 今回はAT1債とは何か、そして今後どのようなことが想定されるのかについて簡単に確認していきたいと思います。 AT1債とは クレディ・ス…

破綻したシリコンバレー銀行とメガバンクを簡単に比較する

米国シリコンバレー銀行が破綻しました。リーマンショック後で2番目の規模の銀行が破綻したことになります。日本の地銀最大手である「コンコルディア・フィナンシャルグループ」(横浜銀行と東日本銀行の持ち株会社)の総資産は24.6兆円ですが、このコンコル…

銀行の本質は「信用」にある

全米16位の規模であるシリコンバレー銀行が破綻しました。リーマンショック以降では第2位の規模の銀行倒産です。これはFRBの金融引き締めの副作用という側面もあり、大きなニュースと言えるでしょう。 このシリコンバレー銀行の破綻は、明らかに銀行の取り付…

グーグル日本法人の従業員が労働組合を結成した背景を考察する

米グーグルの日本法人で働く従業員が初めて労働組合を結成しました。グーグルは1月に、全世界の従業員の6%にあたる約1万2千人の従業員を解雇すると発表しています。新たに結成された労働組合によると、日本法人でも代表から2月初旬に「3月中に何らかの通知…

現代の「五公五民」というワードを客観的に見てみる

五公五民という単語がトレンド入りしたと話題になっています。 五公五民とは、教科書で習っているでしょうからご記憶の方は多いと思いますが、江戸時代の年貢収取率を表現した言葉です。全収穫量の 50%を領主が取り、残り 50%が農民の手元に残される場合を五…

男性がデート代を払うのが当たり前ではダメなのか

女優の方がTwitterで「デート代、なんで男が払わなくちゃいけないのって言葉 女性はそのデートの為に準備して洋服、メイク、美容代も入ってると思う 全部安くない。リップだってブランドなら4000円はする」「可愛いって言って欲しくて、その為に凄く早起きし…

金融専門家の予想を信用してはいけない理由

2023年が始まって1か月が経ちました。 年初の見通しから比べると米国ではインフレが落ち着いてきたとされていますし、日本も金利は一段の上昇とはなっていません。 2023年は、ロシアのウクライナ侵略がどうなるのか、エネルギー価格はどうなるのか、インフレ…

地方銀行から投資信託を購入しなくても良いですよね?

金融庁は、国民の安定的な資産形成を図るためには、金融商品の販売・助言・商品開発・資産管理・運用等を行う全ての金融機関等が「インベストメント・チェーン(投資家の投資対象となる企業が中長期的な価値向上によって利益を拡大し、それに伴う配当や賃金…

万年筆を活かす最高のノート

筆者は、筆記具として万年筆を使っています。 ボールペンやシャープペンシルも使ってきましたが、万年筆の書き心地にはかないません。「書くことそのものが喜び」と感じられるような筆記具は、万年筆しか知りません。書き心地のレベルが違うのです。ついつい…

2023年の物価動向を日銀はどのように見ているのか

2023年が始まりました。 街中には昨年と比べて人が溢れており、デパートも神社も混んでいたように思うのは筆者だけでしょうか。 昨年は戦争とインフレの年でしたが、今年はどのような年になるのでしょうか。 物価が次々と上昇しているのは生活の中で実感して…