筆者は、筆記具として万年筆を使っています。
ボールペンやシャープペンシルも使ってきましたが、万年筆の書き心地にはかないません。「書くことそのものが喜び」と感じられるような筆記具は、万年筆しか知りません。書き心地のレベルが違うのです。ついつい、意味もなく文字を書きたくなるほど、万年筆の筆記体験というのは素晴らしいものです。
その万年筆の素晴らしさを更に増幅するのがノートです。ボールペンを主に使っていたころは、ノートの良しあしよりは、かっこよさだったり、罫線の色だった利を重視していました。
しかし、万年筆はノートを選びます。ノートによっては万年筆のインクが裏抜けしてしまいます。万年筆の方がノートの紙質を拾います。万年筆をその素晴らしいスペック通りに使うためには、相棒となることが出来るノートが必要なのです。
そこで、今回は、筆者が万年筆のパートナーとして最高だと思うノートについて記載しておこうと思います。万年筆にフィットするノートについてはなかなかネット上でも参考になる記事がないためです。
尚、いつもと違うテーマの記事を書いていますが、筆者がコロナ禍で一時期続けていたブログの一つ(銀行員はお嫌いですか (doyoulike-banker.site))をそろそろ閉鎖しようと思い、当該ブログの記事を読み返していく中で、筆記具・文房具についての記事を「銀行員のための教科書」に掲載しても良いのではないかと思い、今回掲載することにしました。通常の記事とはテイストが異なりますがご容赦ください。
第3位 アピカ 紳士なノート Premium C.D.NOTEBOOK
おしゃれで有名なノートと言えば、モレスキンやロディアです。
ロディア RHODIA ドットパッドNo.16 ドット方眼(5mm) 単品バラ【デザイン おしゃれ】【ドット入り罫線】
万年筆は海外で生まれた筆記具ですから、ノートもモレスキンやロディアといった海外のものの方が合うと考える方もいるでしょう。
但し、筆者が使ってきた限りにおいてですが、モレスキンもロディアも万年筆のインクが裏抜け(裏写り)することが多々あります。特に太い字幅の万年筆を使うとインクが多く出るために裏抜けするのを見てきました。
ロディアは罫線が紫色であり、特徴があって面白く、ブロックメモとして使うならば、裏抜けしてもそもそも裏を使わないので問題ないかもしれません。
但し、ノートとして使う場合には、ロディアの紙質では足りないというのが筆者の認識です。
万年筆に合ったノートという観点で、勝手にランキング形式とするなら、筆者の第3位はアピカの紳士なノートです。
アピカ 紳士なノート Premium C.D.NOTEBOOK A5サイズ 5mm方眼罫 CDS90S
このノートは、とにかく紙質が滑らかであることに特徴があります。万年筆はそもそもヌラヌラと滑らかに、抵抗感なく筆記出来るところが、一般に言われる素晴らしい筆記体験なのですが、このノートはその万年筆の良さを引き出してくれます。
但し、これは筆者の体験としてですが、日本人が好む細字のような字幅で万年筆を筆記するには問題ないのですが、太い字で筆記すると裏抜けすることがありました。その時に使っていたのはパイロットの「iroshizuku<色彩雫>」と記憶しています。インクの粘度と万年筆のインクフローが良かったのが影響しているのかもしれません。その点に留意すれば、素晴らしいノートだと思います。
尚、当該記事でリンクをはってあるノートは可能な限りA5に統一してあります。B5などの規格が日本独自であること、A5だと海外メーカーのカバーも充実していることから、筆者はA5のノートを使うことが多かったためです。
第2位 MDノート
万年筆に合うノートの第2位はミドリのMDノートです。
デザインフィルは、トラベラーズノートやKNOXもあり素晴らしいラインナップを展開していると思います。
MDノート(A5) 方眼罫 (文具(Stationery))
MDノートは、カバーからシンプルで、なんとも言えない佇まいです。日本らしいおしゃれさとでも表現すれば良いのでしょうか。
それ以上に素晴らしいのはこのノートの紙質です。先ほど取り上げたアピカのノートよりは紙面に万年筆が少しだけ引っかかる、もしくは抵抗感を感じます。サラサラという感じでしょうか。このサラサラが万年筆の筆記感の良さを引き立ててくれるのです。かすかな抵抗感があるからこそ、万年筆のヌラヌラさが引き立つと言えば良いのでしょうか。紙の色もクリーム色で目に優しく感じ、万年筆で一般的に使われるブルーブラックのインクとも色の相性が良いです。(筆者は、ブルーでありながら少し緑がかった色が好きなのですが、この色にも合います)
万年筆のインク裏抜けは今まで感じたことはありません。決して厚い紙ではないのですが、素晴らしい紙質なのだと思います。
このMDノートは筆者にとっては万年筆に合うノート1位であっても全くおかしくありません。むしろ普通に万年筆をお使いになる方にとっては、MDノートこそ最高のノートだとお勧めできます。それぐらい素晴らしいノートです。
第1位 ライフ ノーブルノート
筆者が勝手に考える万年筆に合うノートの第1位はノーブルノートです。
ノーブルノートの紙の色は先ほど触れたMDノートに近いですが、もう少し黄色が強いでしょうか。
ノート A5 方眼 ライフ LIFE ノーブルノート A5 5mm方眼(オレンジ)【デザイン文具】【ノート 方眼】【デザイン おしゃれ】
このノーブルノートが素晴らしいところは、紙質がしっかりしているところです。少しなつかしさを感じさせる紙の厚さと色味で、裏抜けはもちろんしません。そして、表面が少しザラザラします。(但し、MDノートがサラサラだとすると、ノーブルノートがザラザラというレベルであり、基本的には非常になめらかです)
このちょっとした引っ掛かる感じが、万年筆の筆記にとって筆者は最高だと思っています。米国で良く使われているリーガルパッドのような悪い紙質ではなく、紙質自体は非常に素晴らしい中で、少しだけ引っ掛かりがあり、それが万年筆の筆記のフィードバックになるのです。この絶妙のバランスがノーブルノートの特徴です。
値段が高いノートですが、会社の飲み会を上手く断ればノートぐらいは買えるなと思いながら、筆者はノーブルノートを使ってきました。(といっても様々なノートを使ってみたくて試すので、ノーブルノートを使い続けている訳ではありませんでしたが)
もし、万年筆を使っており、ノーブルノートを使ったことが無い読者がいれば、ぜひ使ってみてください。少しマニアックな良さを感じられると思います。
まとめ
万年筆に合うノートは、ボールペンやシャープペンシルに合うものとは異なるかもしれません。特に、ボールペンはそこまで紙質を選ばないように感じますし、リフィル(インク)が大事だったりします。
万年筆は面倒な筆記具です。インクはすぐに無くなり、カートリッジの交換やコンバーターでのインク吸い上げ等、手間がかかります。しかし、その分、最高の筆記体験が出来ます。この筆記体験を更に素晴らしくするためにはノートという相棒にも気を配らなければなりません。
もし、筆者の記事が読者の参考になるのであれば幸いです。
尚、今回はこのブログにおいては毛色の異なる題材で記事を書かせていただきました。この背景は冒頭に触れた通り一つのブログを閉鎖しようとして読み返していたこともあるのですが、道具の性能差が感じにくくなり、そしてプロに対する評価が低い時代において、改めて道具の性能差やモノの価値に目を向けるべきということを感じているからです。
作家さんの器は日々の生活を豊かにします。ユニクロが悪い訳ではありませんが、他のブランドを纏えば日常を華やかにするでしょう。安いモノには安い理由があり、高いモノには高い理由があります。なんでもコスパが良い悪いで決めるのが人生を豊かにする訳でもありません。物価が上がることが当たり前になるかもしれない時代においては、様々な価値を見極める目を少しでも持つ必要があるのではないでしょうか。少なくとも筆者はそれを忘れないようにしたいと思います。