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外国人の宿泊者数がついにコロナ前を回復

近時、日本を訪れる外国人旅行者が増えたと耳にすることが増えました。確かに、都心の商業地区や公共交通機関で大きなスーツケースを持った外国人旅行者を見ることが多くなりました。

では、実際にどの程度の外国人旅行者が日本を訪れているのでしょうか。

今回は、観光庁の発表しているデータを確認したいと思います。

 

外国人の宿泊者数

外国人旅行者の動向を確認するのに有用な情報は観光庁の宿泊旅行統計調査となります。

その統計調査の直近報告(2023年9月29日)を見てみると以下のことが分かります。

(出所 観光庁「宿泊旅行統計調査(令和5年7月・第2次速報、令和5年8月・第1次速報)」)

  • 2023年7月の延べ宿泊者数(全体)は、5,254万人泊、2019年同月比+1.5%(前年同月比+31.9%)。2023年8月は、6,227万人泊、 2019年同月比-1.5%(前年同月比+32.9%)。
  • 日本人延べ宿泊者数は、7月は、4,173万人泊、 2019年同月比+1.8%(前年同月比+6.6%)。8月は、5,193万人泊、 2019年同月比-3.4%(前年同月比+12.5%)。
  • 外国人延べ宿泊者数は、7月は、1,081万人泊、 2019年同月比+0.1%(前年同月比+1434.5%)。8月は、1,034万人泊、 2019年同月比+9.0%(前年同月比+1330.5%)。 

すなわち、ついに外国人延べ宿泊者数がコロナ前に戻ってきたことが分かります。

直近の3年程度の推移は以下を見るとよく分かるでしょう。

(出所 観光庁「宿泊旅行統計調査(令和5年7月・第2次速報、令和5年8月・第1次速報)」)

2023年7月についに2019年同月比で外国人延べ宿泊者数は回復し、8月にはコロナ前を上回っています。

 

どの場所に外国人は来ているのか

では、外国人旅行者はどの場所、すなわち都道府県に来ているのでしょうか。

結論からすると、圧倒的に東京です。

2023年7月では、東京都の外国人延べ宿泊者数は4,116,960人 2019年同月比+56.2%、前年同月比+1255.6%の数字を叩き出しています。2023年7月の全国の外国人延べ宿泊者数は10,814,130人です。東京に外国人旅行者が集中しています。コロナ前よりも東京に外国人旅行者が多く感じるのは、数字としても間違っていないのです。

尚、外国人旅行者にとってメジャーな観光地である、京都府は7月の外国人延べ宿泊者数が1,136,360人、2019年同月比+6.5%、大阪府は1,812,690人、2019年同月比+3.0%でした。

東京がコロナ前に比べて圧倒的に外国人旅行者が増えているのです。では、この要因はどのようなものでしょうか。

 

外国人旅行者の国籍

以下は国籍別の外国人延べ宿泊者数のグラフです。

(出所 観光庁「宿泊旅行統計調査(令和5年7月・第2次速報、令和5年8月・第1次速報)」)

2023年7月はアジアからの旅行者が約6割を占めており、中国人がそのトップとなっています。

ただ、特に東京在住の方には「欧米の旅行者が」コロナ前に比べて増えた感覚があるのではないでしょうか。

その感覚を裏付けるデータが以下となります。

(出所 観光庁「宿泊旅行統計調査(令和5年7月・第2次速報、令和5年8月・第1次速報)」)
これは2019年7月比での2023年7月の外国人延べ宿泊者数です。

中国人は国籍別ではトップですが、2019年同月比では半数以下の宿泊者数でしかありません。中国人の旅行者数は圧倒的に低下しています。

その代わりに米国の+56%を始めとして、英国、フランス、カナダといった欧米国籍の宿泊者数が増加しています。またオーストラリアも増加しています。

従って、我々の感覚は現実的な数字の裏付けを持っていたことが分かります、日本を訪れる外国人旅行者は中国が圧倒的ではなくなり欧米の国からの旅行者が増加しているのです。

感覚ではなく、実際に数字で事象を捉えることの大事さを改めて実感させられるのではないでしょうか。

尚、2023年7月は、割合として中国が1位に浮上したのがポイントでもありました。中国の延べ宿泊者数は、2023年4~6月は台湾、韓国、米国等に続き4位または5位でしたので、中国からの旅行者が増加してきていることは間違いありません。

東京電力福島第一原発の処理水海洋放出を受け中国からの旅行者数の大幅な改善はまだ先になりそうです。コロナ前よりも訪日者数は大幅に減少したままですが、それでも中国からの延べ宿泊者数は1位に到達しました。中国との関係改善が図られるのであれば、更に旅行者数は増加するでしょう。更なる混雑に我々は備えておいた方が良いのかもしれません。