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パインアメの会社ってどんな会社?

阪神タイガースが2023年のセントラルリーグ優勝を果たしました。

阪神タイガースのWebサイトには「阪神タイガースは対読売ジャイアンツ23回戦にて4-3で勝利し、18年ぶり6度目となるJERA セ・リーグ公式戦での優勝を果たしました。」と誇らしく記載があります。18年ぶりであり、関西では大変に盛り上がっていることでしょう。

その阪神タイガースの優勝と共に更に知名度を上げたのが「パインアメ」ではないでしょうか。

岡田監督が試合中に好物のパインアメをなめる姿がSNS上で話題になっていたようです。阪神ファンもパインアメをなめながら応援するスタイルが流行していたと報道されています。

では、このパインアメを製造している会社はどのような会社なのでしょうか。

今回はパインアメ製造会社について少し調べてみたいと思います。

 

パインアメが人気となった理由

パインアメが人気となったのは、岡田監督がTVのインタビューで「1試合に7~8粒食べている」とパインアメが好物であると話したからでしょう。

それ以降、阪神タイガースの躍進と共に、岡田監督と一緒にパインアメをなめて応援しようという機運が盛りがってきたようです。マジックをパインアメで表現する有名人のSNSの投稿もあったと報道されています。

一連の盛り上がりと共に、甲子園球場近くのコンビニや阪神百貨店では完売となり、筆者が確認した限りでは、公式サイトの通販も完売となっています。

更に、阪神タイガース優勝後の9月19日にはパインアメの製造会社のWebサイトで「株式会社ヘソプロダクションの『パインアレ』通販サイトについてのご注意」と題して、「弊社のデザインやロゴを無断に使用した『パインアレ』の通販サイトが確認されています。株式会社ヘソプロダクションの公式オンラインショップhttps://heso.base.shop/以外のサイトは弊社と関わりがないサイトですので、ご注意ください。万が一、不審なサイトで被害に遭われたときは、最寄りの警察署または消費者センターにご相談いただきますよう、お願い申し上げます。」との発表までされています。

この「パインアレ」とは、阪神タイガースとパインアメがコラボレーションした新商品『阪神タイガース パインアレ』です。岡田監督がベンチで食べる様子が話題沸騰だったパインアメが、阪神タイガース18年ぶりの「アレ」(優勝)を祝して、限定コラボデザインのパインアレ巾着の中に入っている商品です。 

阪神タイガースは、岡田監督が優勝を「アレ」と表現することが知られています。優勝を必要以上に意識しないようにすることと、ジンクス(優勝間違いないと言われてから失速して優勝を逃した過去)などと言われています。

パインアメの「アメ」と優勝を指す「アレ」の語感が似ていたことから、このパインアレが販売される前から販売現場では「パインアレ」として売られていたようです。今回、公式にパインアレが発売されることになりました。パインアメの販売が更に盛り上がることでしょう。

 

パインアメの製造会社

パインアメの製造会社は「パイン株式会社」(本社所在地:大阪市天王寺区生玉寺町1-5)です。大阪の企業で、創業は1948年1月、会社設立は1951年3月と老舗企業です。従業員は105名と会社Webサイトには掲載されています。

決算については、残念ながら情報が少ない状況です。非上場企業なので決算を公開していないのは当たり前ですが、マイナビ2024にパイン㈱の売上高は26億円(2022年2月)と説明されています。

売上高26億円を105名の従業員で支えているということは、従業員一人当たり24百万円強の売上高となります。

この売上規模はアメ製造会社としては大きい方なのでしょうか。ここでは他社比較をしてみましょう。

上場しているアメ製造会社として有名なカンロは251億円(2022年12月期)、608名の従業員ですので、従業員一人当たりの売上高は約41百万円となります。

UHA味覚糖グループは非上場ですが、350億円の売上高、従業員480名と会社Webサイトには記載があります。そうすると、従業員一人当たり約73百万円の売上高です。

ノーベル製菓は売上高121億円(ブンナビ!2025)です。従業員数は会社Webサイトでは160名ですから、従業員一人当たりの売上高は約76百万円です。

このように見ていくと、パインアメを製造しているパイン㈱は決して大きな会社ではなく、更に従業員一人当たりの売上高も高くないことが分かります。

 

今後のパイン㈱の業績

では、今回のパインアメの人気がパイン㈱に与える影響について、簡単に考えてみましょう。

パイン㈱の売上高のうちパインアメが占める割合は約3割との報道があります。これが事実ならば、パインアメの売上高は、780百万円程度です。

パインアメのスタンダード商品は183円(120g入り)です。売上高は年780百万円程度ですから、年間426万袋程度の販売がなされていることになります。

そして、これも報道ベースですが、パインアメは8月から販売が倍増しているとされています。

販売がずっと倍増するとすれば、パインアメの売上高は780百万円×2=1,560百万円となります。パイン㈱の他の商品の売上高が変わらないとすれば、1,560百万円+1,820百万円(これは売上高26億円からパインアメの想定売上高を控除したもの)=3,380百万円となります。従前の26億円との比較では、3割の増収となります。

これに伴い利益も相応に増加するでしょう。

但し、パイン㈱は従業員一人当たりの売上高が少ない企業であり、効率性という観点ではアメ製造同業他社には劣っている可能性があります。大きな増収が続けば相応の利益を確保できるようになるかもしれません。

パイン㈱の今後の躍進に期待したいと思います(筆者もパインアメ好きでした。ただ、しばらくは買ってませんでしたので、改めてトライしたいと思うところです)。