経営再建中の大塚家具が2019年12月期第2四半期の決算を発表しました。
中国企業やヤマダ電機との提携を行うことで大塚家具の業績は回復しているのでしょうか。
今回は大塚家具の2019年12月2Q決算について確認していきましょう。
決算概要
ポイントは売上高が前年同期比▲26%であること、営業損益が+12億円改善したものの▲23億円の赤字に留まっているということです。大塚家具、最終赤字24億円 1~6月単独
2019/8/9 日経新聞大塚家具が9日発表した2019年1~6月期の単独決算は、最終損益が24億円の赤字(前年同期は20億円の赤字)だった。前年同期に固定資産売却などで特別利益を計上した反動が出た。不採算店舗の閉鎖は一定の効果があったが、補いきれなかった。
売上高は前年同期比26%減の138億円。店舗閉鎖の影響に加え、競合激化で首都圏の大型店などで販売が低迷した。
営業損益は23億円の赤字(前年同期は35億円の赤字)。人件費の抑制や店舗閉鎖による賃借料の減少で赤字が縮小した。同日開いた決算説明会で大塚久美子社長は「経費面の構造改革は一段落した」と話した。
大塚家具は6月、中国アリババ集団が運営する越境ECサイト「天猫国際」で商品販売を始めた。大塚社長は中国事業について「(売上高が)来年に50億円、2年目は100億円も夢ではない」と話した。
決算期変更に伴い20年4月期通期は16カ月の変則決算となる。単独最終損益で2500万円の黒字(前期は32億円の赤字)を見込む従来計画を据え置いた。
決算のポイント
では、大塚家具の業績のポイントを確認しましょう。
上述の通り、大塚家具は前年同期比▲26%の大幅な減収となっていますが、この要因は店舗閉鎖が主要因と思われます。
<店舗数の推移>
- 2019年1~4月=14店(⇔2018年1~3月=21店、4月=20店)
- 2019年5~6月=13店(⇔2018年5~6月=19店)
以上の通り、店舗数で▲3割以上の減少となっています。
<店舗売上高(月次)>
①既存店売上高
- 1月 79.2%
- 2月 78.7%
- 3月 84.1%
- 4月 86.7%
- 5月 81.6%
- 6月 82.0%
②全店売上高
- 1月 75.2%
- 2月 70.1%
- 3月 76.8%
- 4月 77.2%
- 5月 71.3%
- 6月 73.9%
小売業は店舗の統廃合が多いため、既存店売上高が指標としては重要です。
上記①のように大塚家具は非常に苦戦はしていますが、店舗閉鎖の影響を除いた減収幅は決算上の売上高よりは少ないとは言えます。
<粗利益率(売上総利益率)>
- 2018年1~6月期 43.3%
- 2019年1~6月期 49.9%
粗利益率は前期に在庫の評価減を行っていることが影響しているものと思われます。
簿価が下がった在庫を販売しているため、直近期の粗利益率は大幅に上昇しています。
<販管費>
- 2018年1~6月期 11,654百万円
- 2019年1~6月期 9,313百万円
販管費は2,340百万円のコスト削減となっています。
以下は販管費の内訳です。相当なコスト削減努力を積み重ねていることが分かります。
- 運賃 335百万円、前年同期比▲47.3%
- 広告費 885百万円、同▲14.6%
- 人件費 3,197百万円、同▲23.9%
- 賃借料 (管理費含む)3,373百万円、同▲15.8%
- その他 1,520百万円、同▲14.3%
- 合計 9,313百万円、同▲20.1%
それでも販管費率は67%と前年同期比+5ポイント上昇しています。減収率と同割合まではコストを削減できなかったということ(人件費や店舗・本社の賃借料は基本的に固定費)であり、これ以上の削減余地は少ないものと思われます。
以上の売上、粗利益率、販管費の要因によって、前年同期と比べると大塚家具の赤字幅は縮小しています。
<現預金>
- 2018年12月末 3,195百万円
- 2019年6月末 3,109百万円
大塚家具の決算および将来の存続を確認する上で最も重要なファクターは現預金の推移です。
同社は赤字を出し続けているものの、前年度末(2018年12月末)と比べて6ヵ月で現預金残高はほとんど変わっていません。
この要因は何でしょうか。
同社のキャッシュフロー計算書を見れば分かりますが、「株式発行による収入2,628百万円」が入金されているからです。
すなわち、大塚家具は増資を行い、株式によって資金調達を26億円実施したものの、直近6ヵ月で見た場合には、その増資資金がそのまま本業の赤字に消えてしまったことになります。
まとめ
大塚家具の業績動向は足元で改善しているように見えるかもしれません。
しかし、前年同期比で売上の減少が続いていることに変わりはありません。コストを削減しても赤字は赤字です。そして、売上の減少が止まらなければ、更にリストラを行わなければなりませんが、店舗削減や人件費削減はあらかた終わっているというのが実情と思われます。これ以上の削減余地は少ないと筆者は想定しています。
一方で、同社は中国企業等から第三者割当増資にて資金を調達しましたが、EC事業の行方は不透明です。すなわち、同社の売上減少を止める事業戦略が判然としないのです。
そして、これ以上の増資による資金調達は非常に難易度が高いことは間違いないでしょう。そもそも、かなりの長期間にわたって資金調達先を探し、やっと見つかった中国企業等なのです。更に資金を供出する企業を見つけるのは至難の業です。
よって、大塚家具は、自力で売上高の減少を食い止めなければなりません。適正な価格で商品を売り、売上の減少を食い止め増収に転じることが出来れば、リストラによりコストは下がっていますので利益は確保できるようになるものと思われます。
もし、売上高の減少を食い止められず、赤字が垂れ流しのままであれば、キャッシュ化を出来るような資産もなく(不動産・株式等はほとんど売ってしまいました)、増資も出来ないため、早晩資金不足に陥る可能性があります。
もう大塚家具にはバッファー=余裕がないのです。
これが今の大塚家具の決算状況であり、今後見ていくポイントです。