株式投資はギャンブルのようなものだと言われることがあります。
損をする覚悟で「投資」すると発言する方もいらっしゃるでしょう。
一方で、投資とギャンブルは違うと考えている人もいます。
投資とギャンブルに違いはあるのでしょうか。
また、投機という言葉もあります。投資とはどのように違うのでしょう。
今回は投資、投機、ギャンブルの違いについて考察します。
定義
投資、投機、ギャンブルとはどのような定義がなされているのでしょうか。
各々の違いについて考察していく前に定義を確認してみましょう。
<ギャンブル>
文化・法律で「ギャンブル」の言葉が持つ意味が異なるため、現在は、「物やお金など価値あるものを賭ける行為」またはそのような行為を商業化したものは「ギャンブリング」または「ゲーミング」と総称されている。「ギャンブル」は日本語のカタカナ俗語であり、諸外国ではgamblingが用いられ、日本人がイメージするギャンブリング=賭博という狭いとらえ方はされていない。また、ギャンブリング・ゲーミングは、特定の遊びの種類を指すものではなく「賭け事」「お金を賭ける娯楽」及びその行為・習慣を広く指す用語である。例えば、パチンコは、国内法では遊技。世界的には、一部に賭博性を持ったゲームであり、分類上はギャンブリングになる。
(出典 一般社団法人RCPGホームページ)
賭けた(投資した)お金をすべて失うリスクを覚悟しながら、確率(勝率)を信じて一獲千金を狙うというもの
(出典 ロイターニュースサイト)
<投機>
短期的なキャピタルゲインの取得を目的とした投資。思惑に基づいた売買なども含む。
ただしこの概念はあくまでも抽象的なものであり、実際には、「投資」との区別を、明確にすることができないことが多い。
(出典 野村證券ホームページ)
広義では相場の変動を利用して、その値ざやが生み出す利益を得ることを主たる目的として行なわれる売買取引のこと。一般的に、投機は短期間の売買、投資は長期保有の意図で行なわれるというが、明確な区分けはない。
(出典 東海東京証券ホームページ)
<投資>
有価証券に「投資」をするという意味において、一般的な見解によると、利子や配当などのインカムゲインの取得を目的とした、資金や資本を投下する行為をいう。
ただしこの概念はあくまでも抽象的なものであり、実際には、「投機」との区別を、明確にすることができないことが多い。
(出典 野村證券ホームページ)
「投資」とは、「長期的な視野で資金をビジネス(事業)に投じる行為」を言います。一例を挙げると、企業が発行する「有価証券」の一種である「株式」に資金を投じ、企業価値の増加を期待する行為のことです。企業価値の増加とは、企業が事業を続けた結果として生み出される利益や配当の増加、株価(株式の取引時価)の値上がりなどを総称します。
(出典 楽天証券ホームページ)
いかがでしょうか。
分かるような、分からないような説明ではないでしょうか。
特に投資と投機とは明確な区別がないように思えます。
以下で更に確認していきましょう。
ギャンブルとは
ギャンブルというのは誰もが分からない未来の事象に対してお金をかけ、確率(運)で勝ち負けがその場で決まるゲームです。
スロットがいつ当たるかは誰にも分かりません。ルーレットで次に出るのが赤か黒かも誰にもわかりません。
ギャンブルは、複数人以上の人間で、勝負事にお金を賭けて、勝者が一定割合の配分をうけるものです。
ただし、その配分額は賭け金の総額のうち、主催者が賭けをする場の運営料(てら銭)を取った後の金額となります。
賭け金の総額よりも少なくなった残りの金額を、参加者が取り合う仕組みといえます。
確率を考慮すると、賭けを続けていくうちに参加者は必ず損する仕組みです(主催者だけが儲かります)。
すなわち、参加者全体でみれば、ギャンブルは利益より損失の方が大きい「マイナス・サム」のゲームです。
投資とは
一方で、投資は「プラス・サム」の経済行為といえます。
本来、企業や国の経済の成長とともに、株式など資産の価値は増え、分け合う利益のパイも膨らんでいくからです。
確率で勝ち負けが決まるものではありません。
また、「その場で」勝ち負けが決まる訳でもないのです。
株式投資を例にとれば、購入価格を株価が下回ることはあるでしょう。しかし、その場で負けは確定しません。しばらく株式を保持していれば、業績が上向いて株価も上昇するかもしれません。
保有し続けている限り投資の成否は分からないのです。
投機とは
株式のデイトレードや為替のFXトレード(証拠金取引)などは、マーケットの運営料(上記のてら銭)の額が相対的に小さいため、誰かの利益がほぼ誰かの損失になる「ゼロ・サム」のゲームとなっています。
これは投機といわれることもあります。
投機は資産価格の変動から利益を得ることが目的であり、投機家は、投機の対象とする資産の価値が増えるかどうかは基本的には考慮しません。
投資対象となる資産を、ゼロ・サムゲームとなるように短期的に売買することを投機というのではないでしょうか。
なお、仮想通貨は判断が難しい「資産」です。
仮想通貨自体はキャッシュフローを生まないこと、国の経済力・信用力を背景とはしていないこと (したがって経済力の発展等による資産価値の増加は想定されないこと)もあり、仮想通貨への投資は、資産価格の変動から利益を得ることを目的としているとしか筆者は考えていません。
ただし、ゴールド(金)もキャッシュフローは生みません。ゴールドは宝飾品等の素材としての需要はありますが、本質的には「価値があるように皆が思っているから、価値がある」資産です。
仮想通貨と同じと考えることも出来るでしょう。
投資・投機とギャンブルの違い
投資も投機も「プラス・サム」「ゼロ・サム」のいずれにしろ、マーケットの主催者に取られる「てら銭」が低いという点からは、ギャンブルよりは参加者に有利なことは間違いありません。
また、その場で勝ち負けが確率によって決まるものでもありません。
ギャンブルは長期的には主催者(胴元)が必ず勝ち、ギャンブラーは必ず確率的に負けます。
投資は参加者全員が利益を得る可能性があります。
投機はゼロ・サムですが、長期保有に切り替えて投資とする選択肢があります。
これが、投資・投機とギャンブルの違いと言えるのではないかと筆者は考えています。
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