婚活女子の「普通の人」の定義が「星野源みたいな容姿で年収500万円以上、かわいいね、ごめんねが言える人」(キャリコネニュース)という記事が配信され、話題になっているようです。
話題になった理由は、簡単に言えば「そんなスペックの人は普通じゃない」ということなのでしょう。
今どきの若い方達の「普通の人」について少し確認してみたいと思います。
婚活女性の「普通の人」
話題になっている婚活女性の言う普通の人とは以下のような男性を指すようです。
- 年収500万円以上
- 学歴は日東駒専以上の大卒か高専卒、理系なら工学院、芝浦工業大学、日大以上といったところ
- 容姿は星野源みたいなイメージ
- 身長165センチ以上
- 体重は60~80キロ
- BMI18~27の痩せ型からややぽちゃ
- 清潔感のある人(口臭がなく、鼻毛が出ておらず、ヒゲ、爪などが整っていることはもちろん、「美容院に月1~2回通っていて、ジムで汗を流し、夜寝る前に化粧水をつけて寝ているような人」が該当)
- 親は少なくとも片方が大卒で、地方在住の場合は地元の銀行や市役所、教師などの公務員か地元の大企業勤務、自営業ならば年商800万円以上
筆者のような人間から見ると結構要件が細かいように感じますが、このようなものなのでしょう。
では、このような個人はそもそも普通なのでしょうか。それとも普通ではないのでしょうか。簡単に確認してみましょう。
学歴
まず、日東駒専以上の大卒ということですが、日東駒専の平均偏差値は56.5であり、日東駒専は全受験生の上位およそ27%程度に位置する(出所:CLABEL https://clabel.me/universities/80698)とされています。
もちろん学部によって偏差値は大きく異なりますが、一般的に日東駒専の偏差値は50~60程度とされていますから、少なくとも日東駒専以上の学歴とは「平均以上」であると言えるでしょう。
また高等学校から大学へ進学する男性は51.8%(2018年、総務省統計局)となっています。
日東駒専が全受験生の上位27%に属する場合には、27%×男性の大学進学率51.8%=14.0%となります。
ちなみに、偏差値50以上の大学を卒業した男性だったとしても、偏差値50%以上=50%×男性の大学進学率51.8%=25.9%となります。
日東駒専以上の学歴を持つ男性は、男性全体の14%程度しか存在しないと想定されます。
身体的特徴
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると男性の平均身長は以下の通りとなっています。
- 20~29歳 171.7㎝
- 30~39歳 172.1㎝
- 40~49歳 173.3㎝
同様の調査による平均体重は以下の通りです。
- 20~29歳 65.2kg
- 30~39歳 71.0kg
- 40~49歳 71.1kg
そして、BMI18~27までであれば、男性全体の81.9%が含まれます。
ここで、もう一度「普通の人」であるとされる身体特徴を確認してみましょう。
- 身長165センチ以上
- 体重は60~80キロ
- BMI18~27の痩せ型からややぽちゃ
この身体的特徴を充足する男性は比較的多く存在することが分かります。
強いて言うならば、婚活している女性は、身体的特徴をあまり重視していないことになるかもしれません(容姿除く)。
口臭
厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、1992年の調査と古いものになりますが、「社会的容認限度を超える強さの口臭を持つ成人は測定時間帯により6%~23%存在」するとされています。(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-07-001.html)
また、厚生労働省の歯科疾患実態調査(2016年)によると、15歳以上の約10%が「口臭が気になる」と主観的に回答しています。
平均口臭原因物質濃度に有意な男女差は認められないとされているので、女性が気になる口臭を持つ男性は、上記を要因に6~23%存在する可能性があります。
美容院
リクルートライフスタイルが発表している【美容センサス2020年上期】≪美容室・理容室編≫では、男性全体の美容院年間利用回数は、平均5.48回となります。
すなわち、月に1~2回利用する男性は平均像ではなく、2ヵ月に1回程度利用する男性が平均的なイメージでしょう。
ジム
経済産業省の特定サービス産業動態統計速報(2020年10月)における「フィットネスクラブの動向」によると、利用者数合計は16,937,147人です。これは延べ人数であり、会員数は2,606,146人となっています。
会員のみがジムに行くと仮定した場合、日本の男性61,532千人(2018年、総務省統計局)から比べると4.2%にしかなりません。
ジムは、結婚適齢期の男性ばかりが通うとは限りません。高齢者の方が健康維持のためにジムやスクールに通う可能性もあるのです。
ジムで汗を流す結婚適齢期の男性は、日本全体で見ると平均的ではないということになります。
化粧水
ニベア花王が実施した「世界5か国・ビジネスと男性スキンケアに関する意識調査(2019年12月発表)」によると、日本人男性の化粧水の使用率は、20代=45%、30代=41%、40代=27%となっています、
普通の人とされている「夜寝る前に化粧水をつけて寝ているような人」は、結婚適齢期の男性の半分弱存在することになります。
かわいいねの使用頻度
「かわいいね」「ごめんね」を言える人というのも普通の人の定義に含まれています。
「かわいい」については少し古い(調査:2008年7月)のですが、アサヒグループホールディングスWebサイト内のハピ研で調査結果が報告されています。
(「かわいい」を)「頻繁に使う」「まあまあ使う」という声は、男性(35.3%)では3分の一に留まったものの、女性(80.5%)は8割を超え、女性は男性の倍以上の人が「かわいい」を常用していることがうかがえます。
https://www.asahigroup-holdings.com/company/research/hapiken/maian/bn/200807/00243/
この調査を無理やり「かわいいね」が言える男性として解釈すると、「かわいい(ね)」を使える男性は約35%と想定されます。
年収
最後に平均年収500万円についてです。
国税庁の民間給与実態統計調査(2019年)について内容を確認しましょう。
企業規模別(実際は資本金別)の平均給与で見ていくと以下のことが分かります。
- 資本金10億円以上の企業の場合は、25~29歳で男性の年間平均給与が4,925千円となり、ほぼ500万円。
- 資本金1億円以上の企業の場合は、30~34歳で4,786千円、35~39歳で5,589千円であるため、30代半ばであれば年収500万円となっている可能性が高い。
- 資本金5,000万円以上の企業の場合は、35~39歳で男性の平均給与が4,983千円となり、40歳程度で年収500万円に到達する可能性が高い。
資本金10億円以上の企業に勤めている25~29歳の男性の数は、562,599人、30~34歳の男性の数は629,879人です。また、資本金1億円以上の企業に勤めている30~34歳の男性の数は405,149人です。これらを合計すると約160万人となります。
このあたりの男性が結婚適齢期の普通の人とすると、20~34歳までの男性630万人(民間給与実態統計調査)のうち、25%程度となります。
所見
「星野源みたいな容姿で年収500万円以上、かわいいね、ごめんねが言える人」といううような婚活をしている若い方達の「普通の人」が、本当に普通なのかを上記で確認してきました。
学歴等の他の条件を考えず、年収500万円以上という条件だけでみても、おそらく結婚適齢期の男性の4分の1程度しか存在しません。
よって、「普通の人」は、あまり普通ではないということなのでしょう。
これは筆者の勝手な考えではありますが、結婚相手を選ぶ基準は「収入」と「生理的に無理ではないか」がポイントではないかと思います。実際に結婚生活を送っていくと、今は当たり前になってきた共働き夫婦だったとしても、相手の収入が多い方が良いことはいくらでも出てくるでしょう。
世の中の現実は、おカネでかなり左右されます(夢がなくてすみません)。
「おカネがあれば喧嘩は減る」と言っていた知人の言葉には何とも言えない説得力があります。生活と精神に余裕が出るそうです。
子供のためにはいくらでもおカネをかけたい、というのも親心でしょう。
おカネがあれば、出来ることが増えます。おカネがあれば、他に意識を持っていくことが出来ます。もちろん我慢も出来ます。おカネがあれば思う時に外出も出来ます。
但し、収入を望みすぎると結婚適齢期の男性は少ないのですから、女性にとってみれば、どこかで妥協をしなければならないかもしれません。今の共働き夫婦が一般的になった世の中ならば、年収は夫婦どちらもが働き続けることである程度はカバーできます。
それを考えると、やはり「一緒にいて生理的に無理ではない人」という基準だけは絶対に譲れないでしょう。それこそが「婚活における普通の人」の定義のような気がしていたりします。