銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

裁量労働制についての正確な知識と銀行における問題点

今回の記事は裁量労働制についてです。 政府が導入対象を拡大しようとしている裁量労働制は「定額働かせ放題」の制度であるとの批判が多くなってきているようです。 今回は、裁量労働制についての正確な内容を確認するとともに、特に銀行における問題点につ…

地銀でのスマホ決済への取り組みは早い者勝ちの可能性大

近時、地銀(およびりそな銀行)のスマホ決済サービス導入のニュースが相次ぎました。 今回の記事では地銀のスマホ決済サービスへの取り組みについて考察します。 地銀等の近時の動き 【背景と概要】 福岡銀のスマホ決済開始(日経新聞記事) クレジットカー…

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SoftBank Vision Fund)のビジネスモデル及び会計処理に関する考察

ソフトバンクグループが「SoftBank Vision Fund ビジネスモデルと会計処理」を2018年2月に発表しました。 筆者としては、銀行員や一般の投資家にとっても当該資料を一読しておくことは勉強になること、また当該発表はIRの面からみても面白い取り組みだと考え…

【余話】銀行は「前株」か「後株」かという、どうでもいい話

(画像出典 レッツエンジョイ東京 大手銀行です / 豊洲駅 / レッツエンジョイ東京) 今回の記事では、銀行業界の小ネタとして、銀行の商号における「前株(まえかぶ)」「後株(あとかぶ)」について記載します。 銀行という商号を使う際の法規制 銀行は「前株…

法定デジタル通貨発行議論の背景にマイナス金利の深堀が存在するという事実

足下で、相次ぎ中央銀行が発行するデジタル通貨についての報道、発表がなされています。 今回の記事では、この法定デジタル通貨発行の議論がなされている背景の一端について深読みしていきます。 日経新聞の報道 日経新聞では法定デジタル通貨についての記事…

KDDIのアセットマネジメント業参入で得をするのは大和証券

KDDIが大和証券グループ本社と組んでアセットマネジメントを設立すると発表しました。 方向性は面白いとは思いますが、筆者はこの合弁会社設立で利益を得るのは大和証券側だと考えています。おそらくKDDI側からみると収益ではかなり苦戦するでしょう。 今回…

2017年決算にみる大塚家具の「カウントダウン」

(画像と本文は関係ありません) 大塚家具の2017年12月期の決算が発表されました。 大塚家具は資金繰り倒産の危機に瀕していると筆者は認識しています。 今回の記事では大塚家具の2017年12月決算について概要を確認すると共に、今後の動向について考察します…

日銀の仮想通貨·ICO·フィンテック等についての考えと銀行への影響

日本銀行が2018年2月7日に「フィンテック特集号―金融イノベーションとフィンテック―」と題する決済システムレポートを発表しました。 このレポートは日銀の考え方を知る上で、非常に良くまとまったレポートです。 仮想通貨·ICO·フィンテック·デジタル通貨等…

容積率という不動産の重要な視点~なぜ半地下のような物件があるのか~

戸建住宅(いわゆる一軒家)やマンションで「一番下の階」が一段低くなっていて、少し地下に埋まっているような物件をご覧になったことがあるのではないでしょうか。 なぜこのような物件が存在するのでしょうか。 また、近隣の建物より明らかに大きな物件が建…

商工中金に優る民業圧迫は住宅金融支援機構では?

商工中央金庫(商工中金)が国の制度融資「危機対応業務」で不正を繰り返し、低利で顧客を増やす「民業圧迫」を批判されています。 この事象が起きた背景は、民間の資金需要に国・政府の関与の必要性がないからこそ、貸出量確保のために不正な融資がなされた…

Tether(テザー)疑惑は大きな問題になるのか~問題の本質は信用~

仮想通貨の「Tether (テザー)」に関する疑惑が相次いでいるようです。 TetherはUSD (米ドル)の価格に連動させるべく、発行額に相当する米ドルを発行元が保有しているとされてきましたが、実際には発行元が米ドルを保有していない可能性が指摘されているので…