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大塚家具の2017年12月期の決算が発表されました。
大塚家具は資金繰り倒産の危機に瀕していると筆者は認識しています。
今回の記事では大塚家具の2017年12月決算について概要を確認すると共に、今後の動向について考察します。
決算概要
大塚家具の2017年12月期決算は以下の通りとなりました。
売上高 41,079百万円(前年比▲11.3%)
売上総利益 20,942百万円(同▲15.3%)
販管費 26,078百万円(同▲11.0%)
営業損失 ▲5,136百万円(前年比▲539百万円の悪化)
※同社は自己資本(≒純資産)には問題がないため経常損益・当期損失については今回は勘案せず
決算を見る限りでは商品販売が厳しく、また安値での販売を強いられていると想定されるため、売上総利益率も低下しています。
そしてコストは削減したものの売上総利益の落ち込みをカバーするには至らず、営業損失(本業の赤字)は拡大しています。
同社の問題点は、商品が売れていないことです。
商品が売れない場合にはコストを削減して帳尻を合わせるしかありません。
コストである販管費の内訳についてもみていきましょう。
運賃 1,454百万円(前年比▲2.9%)
広告費 2,262百万円(同▲21.2%)
人件費 8,814百万円(同▲14.5%)
賃借料 9,486百万円(同▲6.4%)
その他 4,060百万円(同▲9.9%)
以上をみて分かるように人件費のコントロールはしっかりとなされています。
最も問題なのは賃借料(店舗の賃料等)です。
この部分をどうにかしなければ大塚家具の経営は持続しないということになります。
資金繰り
大塚家具で最も問題なのは資金繰りです。
以下の数値をご覧ください。
(単位百万円) 現預金 投資有価証券 合計
2014/12/31 11,520 7,153 18,673
2015/12/31 10,972 7,233 18,205
2016/12/31 3,854 5,514 9,368
2017/03/31 2,510 3,981 6,491
2017/06/30 2,179 3,003 6,182
2017/09/30 2,036 2,683 4,719
2017/12/31 1,807 2,753 4,560
すさまじい勢いで現預金が減少していることが分かります。
また、大塚家具にとって換価性の高い資産は(商品を除けば)投資有価証券ぐらいしかありません。
この投資有価証券(=持合株式等) も売却を重ねかなり減少してきています。
なお、2017年12月末時点で投資有価証券が若干増加していますが、これは時価の上昇によるものであり買い増したわけではないでしょう。
また、2017年11月にはTKPとの提携により1,051百万円の入金があったにもかかわらず、12月末では現預金が横ばい程度となっています。
すなわち10~12月には1,000百万円の現預金が無くなっているということです。
足下の実績である10~12月の現預金減少額=1,000百万円は、ざっくりいえば年間4,000百万円(40億円)の流出ペースとなります。
なお、現預金と投資有価証券を合算した上記の数字でみると、2016年末が9,368百万円、2017年末が4,560百万円と、実績ベースでは約50億円の現預金等流出ペースでした。ただし、TKPからの入金もあったことを忘れてはいけませんので、実際には年間約60億円の資金流出となります。この数字は上記の現預金と投資有価証券を合算した2017年末の約45億円を上回る数値です。
すなわち、外部からの資金調達(増資、借入等)をしなければ、足元の年間40億円の資金流出ペース、もしくは年間60億円の実績ベースの資金流出を鑑みると、大塚家具がこのままの状況であれば1年程度で破綻する可能性が高いといことになります。
公表された2018年12月決算の見通し
とはいえ、当たり前ですが企業は簡単には破綻しません。
問題を修正しようと対応をします。
そこで大塚家具が2018年度についてどのように計画を立てているのかをみていきましょう。
公表された2018年度の業績予想は以下の通りです。
売上高 45,663百万円(前年比+11.2%)
売上総利益 23,029百万円(同+10.0%)
販管費 22,829百万円(同▲12.5%)
営業利益 1,030百万円(黒字転換)
この業績予想が達成されるかどうかは、商品の販売が維持・拡大できるか、コストが削減できるかの二つが主なポイントです。
まず、売上高についてみていきましょう。
売上高の内訳は以下を計画しています。
店舗29,450百万円(前年比+1.1%)
建装 6,100百万円(同+203.6%)
建装とはホテル等法人への販売です。
これで見る限りは建装によって売上を回復させる計画、すなわちB to CからB to Bを強化していこうということになります。
これについては筆者としては判断がつきません。方向性自体は正しいと思いますが、人材が存在するのかが不明なためです。
ご存知の通り2020年に向けてホテル自体は増加していきます。
従って大塚家具の納入が狙える先は増加することは間違いありません。
しかし、建設されるホテルの全てが高級ホテルではありません。
大塚家具の強みが生かされ、競合他社に勝てるかは 予断を許さないでしょう。
また、会社側は、店舗での販売をほぼ横ばいとして想定していますが、後述の通り売場面積を減少させること、および高級家具への需要が乏しくなっている環境下であること、を勘案すると売上を維持するのは非常に厳しいと言わざるをえません。
また、コスト削減についてみていきます。
2018年の販管費の内訳は以下を計画しています。
運賃 1,209百万円(前年比▲16.9%)
広告費 2,000百万円(司▲11.6%)
人件費 8,056百万円(同▲8.6%)
賃借料 7,507百万円(同▲17.7%) その他 3,757百万円(同▲7.5%)
この中で最も重要なポイントは賃借料の削減です。
大塚家具は前年度でかなり人件費の削減を行いましたので、次は賃借料です。
大塚家具は賃借料を前年比で▲ 1,679百万円減少させる計画です。
粗い試算ではありますが、この賃借料の削減の確度については以下となります。
- 2016年末 売場面積 158,651 ㎡
- 2017年末 売場面積 136,828 ㎡
- すなわち▲21,826 ㎡の減少
- 2017年通期の店舗賃借料は7,429百万円、店舗数は17店舗であり、単純に計算すると7,429百万円÷17=413百万円
- 大塚家具は売場面積の縮小5店舗、閉店2店舗を実施
- 単純な割り切りで、縮小される店舗は全体面積の2分の1にしたとすると、7店舗中、実質的には3.5店舗(=7÷2)の閉店と同様の効果と仮定
- 413百万円×3.5店舗=1,445百万円
- また、物流センターの統合あり (青梅サービスセンターを横浜サービスセンターへ統合)
- この場合、簡易試算として、物流施設の賃借料756百万円÷5 (物流センターは5カ所)=151百万円
- 以上より賃借料の削減額の簡易試算は、店舗と物流センターを合算して1,596百万円
- よって、単純試算でも会社側計画値である▲1,679百万円の賃借料削減数値に近くなり、実現の可能性あり
従って賃借料削減については確度が高いと考えた方が良いでしょう。
加えて、人件費はどうでしょうか。
営業部門の人員数は2017年12月末時点の1,069名から2018年12月末時点で1,001名▲68名の削減を計画しています。
人件費は758百万円の減少を計画していますから、一人10百万円の人件費だとすると計算数字としては680百万円となるため、こちらの計画も問題は少なそうです。また、厳しい業況であることを従業員も感じているでしょうから退職者が多くなることは容易に想定できます。
よって、大塚家具の業績予想計画は、コスト削減の面では問題ないといえそうです。
大塚家具に起こる今後の事象
大塚家具に必要なものはなんでしょうか。
売上を確保すること、コストを削減すること、どちらも正解です。
しかし、最も大事なことは現金を確保することです。
売上が立ったとしても入金が1年後だったら今は役に立ちません。余計な店舗の賃料を支払わないように店舗を閉鎖したとしても、契約上しばらくは賃料を支払わなければならないとしたら足下で現金を確保するためには意味がありません。
大塚家具は現預金を欲しているのです。
そして大塚家具の営業損益は2017年度▲50億円を超える赤字となっています。
前述の通り、賃借料、人件費については削減が見込めますが、効果としては十分ではありません。
賃借料と人件費等の削減額については、大塚家具の計画数値が達成されたと想定しても、合算しても▲50億円には届かないのです。
そのため、大塚家具は商品の販売を何とか頑張るしかありません。
ここが上手くいかなければ、資金の流出は続くことになり、将来の会社存続は危ぶまれます。
ところが、2018年2月1日に発表された大塚家具の店舗販売の1月実績は前年同期比▲16.9%でした。足下の実績では大塚家具の計画値である店舗売上前年比+1.1%を大きく下回るスタートです。
ただし、大塚家具には50億円のコミットメントライン(借入人が請求すれば銀行は融資を断れない契約)がありますので、しばらくは資金面での不安はないでしょう。
しかし、数ヵ月後には手元の資金が尽きてしまいコミットメントラインを利用する可能性も排除できません。
以上を勘案すると、大塚家具はすでに自力での再生は困難な事態に陥っている可能性があります。
そして、今までと同じように売上が落ちていくのであれば、目の前で現預金が急減していくのです。
結果として、大塚家具は単独での再建を諦め、他社からの資本提携によって打開を目指すものと想定します。
筆者からすれば、2017年12月期の決算発表に合わせて資本業務提携が発表されなかったことに驚いたほどです。間違いなく大塚家具は他社との資本提携等を模索していたはずなのです。そうでなければ経営陣として資金繰りが分かっていないということになるからです。
これは裏を返すと大塚家具が他社からみれば提携・買収するには魅力のない会社であるということなのかもしれません。
時間は残り少ないでしょうが、大塚家具が新たな打開のきっかけをアピールできるような実績を作り、他社との提携を果たすことができるか注目しています。