銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

私は貧乏人だからマスクを買っている

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マスクが買うことが出来ない状況が続いています。

現在、日本においては新型コロナウィルスの感染が拡大しています。

この新型コロナウィルスへの感染予防や感染拡大防止のためにマスクをしている方は多いでしょう。

特に通勤の満員電車では、少し咳をしただけでも厳しい人目を感じる現状であり、マスクをしていることが他人に迷惑をかけないための当然のエチケットのように感じることもあります。

しかし、ほとんどの方は、感染予防のためにマスクをしているのではないでしょうか。

今回は、マスク不足の現状を通じて人間の心理・クセについて考察してみたいと思います。

 

マスクは本当は必要ない

筆者は毎日のようにマスクを探していますが、ほとんど見つかりません。

その血眼になって探しているマスクですが、そもそも効果はあるのでしょうか。

マスクを、他者に迷惑をかけないように感染拡大防止の観点から着用されている方もいらっしゃるでしょうが、実際のところ、ほとんどの方は感染予防のためにマスクを着用しているのではないでしょうか。筆者は、間違いなく、少しでも予防になると期待して着用しています。

以下はウォールストリートジャーナルからの引用(図表)です。


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(出所 ウォールストリートジャーナル
https://jp.wsj.com/articles/SB10735515013571504269104586179440153401316

 

首相官邸のWebサイトでは以下のように記載されています。

※マスクの効果は?
 マスクは、咳やくしゃみによる飛沫及びそれらに含まれるウイルス等病原体の飛散を防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみ等の症状のある人は積極的にマスクをつけましょう。
 一方で、予防用にマスクを着用することは、混み合った場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合っていない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。
 咳や発熱などの症状のある人に近づかない、人混みの多い場所に行かない、手指を清潔に保つといった感染予防策を優先して行いましょう。

(出所 首相官邸Website 

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

以下のWebサイトでは、マスク着用のみでの感染予防効果を調査した報告は少なく、現時点ではマスク着用単独およびマスクの種類による予防効果は明確ではなく、差は認められていないことが報告されています。

<吉田製薬>

https://www.yoshida-pharm.com/2018/letter128/

 

結局のところ、マスクは予防効果はほとんど期待出来ないが、人混みの中などではある程度役立つ局面もあるかもしれない、としか言えないでしょう。

 

マスクを買うという行為

ここまで科学的に効果が認められていないのに、 なぜ、我々はマスクを買い求めてしまうのでしょうか。そして、なぜ買い過ぎてしまうのでしょうか。

これには心理学的な要因が働いているものと思います。

まずは多数派同調バイアスです。

多数派同調バイアスとは、自分以外に大勢の人がいると、 取りあえず周りに合わせようとする心理状態を言います。いわゆる「赤信号、みんなで渡れば怖くない」 というやつです。

また、社会的ジレンマでもあります。

社会的ジレンマとは、 社会の中でそれぞれの個人が協力的か利己的かを選択できる状況で、個人にとっては合理的で利己的な選択を行った場合に、 社会にとっては非合理的な悪い結果になってしまうといった状況を表したものです。

例えば、エアコンの効いた部屋で快適に過ごしたり、自動車に乗ることは、 個人の利益の達成ということでは合理的な判断ですが、多くの人が同じように行動すれば、 結局は地球温暖化が進み、多くの人がその被害を受けるといった事例が当てはまります。(銀行の取り付け騒ぎも同じです)

一人ひとりが自分ためと思い多めにマスクを買うことで、結果としてマスクか手に入らなくなるのです。

さらに、数が少ないものほど、高い価値を感じるようになる人間心理を「希少性の原理」と言います。マスクの不足こそが、さらにマスクの価値を高めています。

今回のマスク不足は、まさに多数派同調バイアスが働き、かつ社会的ジレンマに陥り、そして希少性の原理が働いているから起きているのです。

 

所見

筆者は、昨日、近隣のローソンでマスクが売られているのを発見しました。3枚で400円以上の値段です。ご丁寧にお一人様一つ限定です。

周囲の知人、同僚がマスクを買い求め、マスクが不足している中においては、 非常に価値の高いもののように感じ、家族のためと思い、ついつい買ってしまいました。

いつも使っているマスクからすると値段は圧倒的に異なります(そもそも普段は使っていません)。

Amazonではアイリスオーヤマの「サージカルマスク60枚入り」が最低価格42,000円(一枚700円)で販売されていたとの報道までありました。

それでも買ってしまうのが人間の心理なのです。

この人間の心理、クセをコントロール出来ない自分は、貧乏人になるべくしてなっていることを筆者は実感しました。

私はマスクを買っているから貧乏人なのです。

マスクを買うような非合理な行動をするから、お金持ちになれないのです。

残念ながらこれは真実です。 人間の心理、行動バイアス、クセから脱却できれば、「搾取」されない合理的な人間になれるのでしょう。私にはその日はまだ遠そうです。