銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

引越の時期をおカネという側面から考える

6月は引っ越しシーズンが終わり、新居に引っ越した個人にとっては生活が徐々に落ち着いてくる時期でしょう。

日本では3~4月が主な引っ越しの時期です。

大学の入学、就職、転勤等々は大体この時期だからです。

引っ越しをする時にまつわるおカネとしては、何よりも新居の家賃が注目されます。また新しい家具、家電といったことも注目されるでしょう。

ただ、いざ引っ越しをしようとすると引っ越し代という「余計な」出費が基本的には避けられません。

今回はこの引っ越し代について少し確認しておきたいと思います。

 

引っ越し代の年別推移

「引越し侍」という引っ越しの見積もりが可能なサイトがあります。

このサイトではアンケート形式で引越し定点調査というものを実施しています。現在、最新のものは2023年4月時点のものですが、引っ越し代について考えさせられる良いデータです。今回はこのデータを引用していきたいと思います。

まずは引っ越し代の4年間の推移です。

(出所 引越し侍「引越し定点調査(2023年4月号)」)

コロナ禍において2020年と2021年は引っ越し代が減少していったことが良く分かります。

一方で、2022年は「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」といった行動制限がとられることはなく、様々なイベントやお祭りなどが再開されることも増え「脱コロナ」を感じさせる年となったためか、単身・家族ともに引越し料金は2019年と同水準まで戻ったと、上記引越し定点調査では指摘されています。

 

単身の引っ越し代(月別)

次に引っ越し代の月別推移を確認しましょう。以下のグラフは単身世帯の月別引っ越し代の推移です。

(出所 引越し侍「引越し定点調査(2023年4月号)」)

このグラフを見れば一目瞭然ですが、引っ越し代は3月、4月がピークであり、それ以外の月はほとんど変わらないことが分かります。

この要因は、完全に需給の関係です。

以下は国交省がまとめた大手引越し事業者の引越し件数を月別にまとめたものです。

(出所 国交省「令和4年度における大手引越事業者6者の引越件数」)
こちらのグラフを見れば、やはり3月と4月に引っ越しが急増していることが分かるでしょう。

 

家族がいる世帯の引っ越し代(月別)

もう少しデータを見ていきましょう。今度は家族がいる世帯における引っ越し代の月別推移です。

(出所 引越し侍「引越し定点調査(2023年4月号)」)

こちらは前掲の単身世帯と基本的に傾向は変わりません。いずれも3月の引っ越し代は平常月の2倍近くになります。

 

(参考)オフィスの引っ越し代(月別)

ここでは参考データとしてオフィスの引っ越し代を見ておきます。

(出所 引越し侍「引越し定点調査(2023年4月号)」)

上記のようにオフィスは引っ越し代金が毎月のように変動しています。

オフィスは、個人が入学・卒業、就職等に影響されるの比べると、そのような要因が無いだけに引っ越し業者も引っ越しを行う会社もどちらも都合の良いように時期を調整することが可能です。従って、このような推移となっているものと想定されます。

 

まとめ

今回は引っ越し代について簡単に見てきました。

引越しについては非常に難しい側面はあるのですが、やはり3月、4月に実施することを回避するだけで、かなりの費用を削減出来ることが分かったのではないでしょうか。

確かに、2月に引っ越せば安いが、代わりに2月から賃借の家賃が発生したら、意味がないのではないか?という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。まさにその通りです。

それでも、2月の下旬を狙う、4月に入ってから引っ越しを行う等と工夫できることはありそうです。

引っ越し代は、複数社から見積もりを取って安いところに頼むというようなことが一般的でしょう。ただ、相見積もりの効果よりは引っ越し時期を変えた方がよほど効果があるのです。

このような経済事象は引っ越しだけではないでしょう。固定観念を疑うことの大事さを引っ越し代の状況から学べるのではないでしょうか。