銀行員のための教科書

これからの時代に必要な金融知識と考え方を。

ザ・ウィークエンドの新作アルバムに見るラジオの今

f:id:naoto0211:20220123165117j:plain

ザ・ウィークエンド(The Weeknd)の新作アルバム「Dawn FM」が発表されました。

カナダ出身のシンガーソングライターであるザ・ウィークエンドは、グラミー賞を3回受賞するほどの世界トップのアーティストです。

このザ・ウィークエンドの最新作が、ラジオがコンセプトとなっており、面白いとの評判となっているようです。

ザ・ウィークエンドの楽曲は、どこかレトロな感じが漂っていますが、このラジオの演出がさらに懐かしさを感じさせます。

このラジオの演出が面白いと聞き、筆者が抱いた疑問は「ラジオを知っている若者がどれだけいるのだろうか」ということでした。そもそもラジオを聴いているリスナーは、どの程度存在しているのでしょうか。

テレビの凋落が言われて久しいところですが、ラジオはどうなのでしょうか。今回は、ラジオについて確認していきたいと思います。

 

ザ・ウィークエンドの新作

まずは、冒頭に取り上げたザ・ウィークエンドの新作アルバムについてご紹介します。

このアルバムでは、日本のシティポップ(70〜80年代の「日本の音楽」)をカバーしており、亜蘭知子さんの「Midnight Pretenders」という曲をサンプリングしたOut Of Timeという曲があります。

ザ・ウィークエンドの曲がどこか懐かしく感じられるのは、このあたりのサンプリングにもよるのでしょう。

個人的には非常に素晴らしいアルバムだと感じています。何となくですが、スティービーワンダーを好きだった世代からマイケルジャクソン世代あたりも楽しめるのではないでしょうか。

このような楽曲が、今となっては新しいということに驚きと面白さを感じます。

 

ラジオの聴取者推移

では、主なメディアの平均利用時間と行為者率(調査日1日あたりの、調査対象者のうち情報行動を行った人の比率。平日については調査日2日間の平均。休日については、調査日の比率)を確認しましょう。

以下のグラフは、「テレビ(リアルタイム)視聴」、「テレビ(録画)視聴」、「インターネット利用」、「新聞閲読」、「ラジオ聴取」の経年の変化を調査したものです。

f:id:naoto0211:20220123192148p:plain

(出所 総務省情報通信政策研究所「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」)

全年代で平均利用時間は、平日及び休日ともに、「テレビ(リアルタイム)視聴」が最も長く、「インターネット利用」が続き、平日の「インターネット利用」は全年代について一貫して増加しているのが見て取れます。

全年代の行為者率は、「インターネット利用」が平日では各年代とも増加傾向にあります。一方で、「新聞閲読」は平日及び休日ともに減少した唯一のメディアでした。

年代別に、「インターネット利用」の平均利用時間は、休日では20代を除く各年代で減少した一方、平日では、30代が2012年の調査開始から「テレビ(リアルタイム)視聴」を初めて上回るなど、40代を除く各年代で増加しています。

そして、平日の「ラジオ聴取」の平均利用時間は、全年代では微減ではあるものの、10代及び20代の若年層、50代及び60代で増加しています。

平日と休日を比較すると、平均利用時間について、「テレビ(リアルタイム)視聴」及び「テレビ(録画)」は、各年代で平日と比べ休日の方が長いが、「ラジオ聴取」は、各年代で休日と比べ平日の方が長く、「インターネット利用」及び「新聞閲読」は、年代によりばらつきがあります。

また、行為者率について、「インターネット利用」、「新聞閲読」及び「ラジオ聴取」は、各年代で休日と比べ平日の方が高いものの、「テレビ(リアルタイム)視聴」及び「テレビ(録画)」は、年代によりばらつきがあることが示されています。

「ラジオ聴取」について若者の動向をまとめると、平日において、行為者率が10代で1.8%、20代で3.3%、休日において10代で0.0%、20代で1.9%となっており、大半がラジオ聴取をしていないことが分かります。

現在、メディアとしてのラジオは、若者にとってはコアなファンしか聴取していないメディアということが言えるでしょう。

 

まとめ

ラジオは今後どうなっていくのでしょうか。

年齢層が高いユーザーによって支えられているメディアであるラジオの将来性は非常に限られているものと思われます。パソコンやスマートフォンでもラジオが聞けるようになりましたが、その聴取者数は伸び悩んでいます。

広告主である企業は、やはり若者をターゲットとするメディアを好みます。資金が減少していけば、面白い番組も作るのは難しくなるでしょう。

ラジオが生き残る策としては、防災情報及びローカル情報の発信源としてでしょう。今後も一定の需要は考えられますが、ユーザーの高齢化が進むことで、衰退していく可能性は高いでしょう。

リアルタイムメディアとしてのラジオの役割は、既に終わりつつあるのかもしれません。但し、ザ・ウィークエンドの新作アルバムを聴く限り、その番組のスタイルやDJの語り口は今後も残っていくのでしょう。