ソフトバンクGは巨額の赤字を計上する見込みですが、 足元の株価は少し持ち直しています。
ソフトバンクGの株価は直近の最悪期を脱しましたが、おそらく孫社長はソフトバンクGの現状の株価に不満を持っているでしょう。
一方で、ソフトバンク・ビジョン・ファンドでの投資が「失敗」 しているとの報道等もなされています。投資業としてのソフトバンクGは本当に大丈夫なのでしょうか。
ソフトバンクGの株価については、 どのように考えれば良いのでしょう。
今回は、かなり単純化して考えてみたいと思います。
ソフトバンクGの株主価値
ソフトバンクGは自社の株価が割安であることを、アピールしている企業です。
自社のWebサイトで株主価値を毎日更新しています。
以下は、本日の一株当たりに換算した株主価値です。
2020年4月23日 8:00現在
株主価值11,317円/株=保有株式14,229 円/株−純負債2,912 円/株
このように、ソフトバンクGが公表している株主価値は、保有している株式 (アリババや携帯会社のソフトバンク等)の価値から純負債を控除した残りとして算出しています。
あくまで理論的なものですが、考え方としては非常にオーソドックスです。
株主価値は、様々な難しい定義があるでしょうが、単純化すれば「保有している企業の資産から、銀行等第三者からの負債を差し引いた残り」であり「株主の取分」です。
ソフトバンクGの場合は、投資会社であるため、保有する株式の価値から負債を控除すれば良いのです。
これで見る限り、ソフトバンクGの理論上の株主価値である11,317円/株は、2020年4月23日終値の株価である4,449 円と比べて大幅に高いことが分かります。
株価が理論的な株主価値に対して割安なのです。
ソフトバンクGの株主価値を分解すると
ソフトバンクGの株主価値の算出に使う一株当たりの保有株式は以下のようになっています。
- アリババ(日次更新) 7,351 円/株
- ソフトバンク(株) (日次更新) 2,148 円/株
- Tモバイル(日次更新) 1,427 円/株
- Arm 1,278円/株
- ソフトバンク・ビジョン・ファンド(四半期更新) 1,490円/株
- その他(四半期更新) 534円/株
このうち、時価があるのはアリババ、ソフトバンク、Tモバイルです。それ以外は非上場が多いので株価といっても時価ではないため価値に疑義があります。
それでも、アリババとソフトバンクとTモバイルだけで 10,926円/株の価値があるのです。この3社株式の合計から純負債を控除すると8,012円/株です。
少なくともソフトバンクGの株価は8,012円になっていてもおかしくはありません。
ソフトバンクGの株価は割安か否か
ソフトバンクGの株価は割安か否かについては、 筆者としては議論の余地がありません。
すなわち、ソフトバンクGの株価は間違いなく割安です。
実現できるかは脇に置いておいて、明日、ソフトバンクGがアリババの株式を全額売却するだけで、ソフトバンクGの現在の株価を上回る現金が入ってきます。
ソフトバンクGの株価は4,449円であり、それに対して、保有しているアリババ株式の価値は7,351 円、純負債は2,912円です。
仮にソフトバンクGがアリババ株式しか保有していないとしても、7,351円−2,912 円=4,439円です。
ソフトバンクGは、アリババ株式を全額売却し、負債を返しても、今の株価と同じぐらいのキャッシュが残ります。もちろん他の企業の株式はそのままです。
すなわち、ソフトバンクGの株式を購入することは、「アリババ株式を購入することであり、アリババ株式を購入したらタダでソフトバンク株式とTモバイル株式がおまけで付いてくる」ようなものです。
ソフトバンクG の株価は間違いなく現時点では割安なのです。
もちろんアリババの株価が今後どうなっていくかは分かりません。しかし、コロナ禍の中、ECを主体とするアリババには追い風が吹いていると見るのが自然のように筆者は考えます。
当然ながら、投資の判断をするのは投資家個人ですが、物事を単純化すると上記のような考えになるのです。