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Tesla(テスラ)の2018年3Qは業績改善が見える決算結果

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米自動車メーカーのTesla(テスラ)が2年ぶりに四半期で黒字化を達成しました。

Teslaはモデル3の量産体制構築に苦戦し、赤字が膨らみ、一部では資金繰り不安も囁かれるようになっていました。

今回はTeslaの2018年3Q決算について内容を確認していきましょう。

 

報道内容

まずはTeslaの業績を報道している新聞記事を引用します。概要がつかめるでしょう。

テスラ、2年ぶりに四半期で最終黒字 「モデル3」の量産に自信

2018/10/25 日経新聞

米テスラが24日発表した2018年7~9月期決算は最終損益が3億1151万ドル(約349億円)と8四半期ぶりに黒字に転換した。前年同期は6億1937万ドルの赤字だった。新型セダンの「モデル3」の量産が進み利益率が上がった。
売上高は68億2441万ドルで前年同期比2.3倍に増えた。期中に5万3239台をつくったモデル3の販売が増えた。同車種の売上高総利益率は20%で、社内想定の15%を上回った。テスラは「モデル3の市場は高級車市場よりも大きい」として、同車種を軸とした今後の収益改善に自信を見せた。
最終黒字となったことでフリーキャッシュフロー(純現金収支)も8億8100万ドルと8四半期ぶりに黒字になった。テスラは11月に2億3000万ドルの転換社債の償還期限が控えており、目先の財務不安は払拭できた形だ。

(以下略)

この記事にあるように、Teslaは8四半期ぶり、すなわち2年ぶりに四半期で黒字転換しました。 Teslaは苦境を脱したのでしょうか。

以下でTeslaの業績について確認していきましょう。

 

業績

それではTeslaの2018年3Q業績について数字を確認しましょう。

<2018年3Qまでの業績(2018年1~9月)>(単位:百万USD)

  • 売上高 14,235(前年同期比+68%)
  • うち自動車売上高 12,191 (同+76%)
  • 売上費用 11,636(同+74%)
  • うち自動車売上費用 9,387(同+79%)
  • 売上総利益 2,599(同+46%)
  • 研究開発費 1,104(同+8%)
  • 販管費等 2,296(同+30%)
  • 営業利益 ▲801(同+223の赤字幅改善)
  • 最終利益 ▲1,115(同+171の赤字幅改善)

これがTeslaの2018年3Q業績です。

端的に言えば、自動車売上高がモデル3の生産量拡大・引渡増加によって急増しているものの、売上に伴う費用(生産費用)も増加しており、売上総利益率は低下しています。しかし、研究開発費や販管費等の増加を抑え、赤字幅は改善しています。

そして2018年7~9月の3ヵ月間では以下の業績となっています。

<2018年7~9月業績(3ヵ月)>(単位:百万USD)

  • 売上高 6,824(前年同期比+128%)
  • 営業利益 416(同+951、黒字転換)
  • 最終利益 311(同+930、黒字転換)

このようにモデル3の生産拡大により急激な増収となり、2年ぶりに四半期ベースで黒字化しました。

<2018年9月末時点でのB/S項目>(単位:百万USD)

  • 現預金 2,967(前年同期比▲12%)
  • 売掛金 1,155(同+124%)
  • 在庫 3,314(同+46%)
  • 工場および設備 11,246(同+12%)
  • 有利子負債(Recourse=遡及分のみ) 7,250(同+7%)

受注が多く、生産するとすぐに納車となるため、販売が急増しても在庫の増加は緩やかとなっています。また工場等の製造設備の増加も生産量には比例していません。こうなると資金の滞留も少なくなり、キャッシュフローも当然ながら改善していきます。

<2018年3Q(1~9月)キャッシュフロー>(単位:百万USD) 

  • 営業CF 863(前年同期比+1,433、黒字転換
  • 投資CF ▲1,972(同+1,312、赤字幅縮小
  • 財務CF 686(同▲83%

販売増加に伴い営業CFは黒字転換し、投資も縮小しており、結果として借入も減少しています。足元では資金繰り懸念があるとは言えないでしょう。

 

まとめ

以上の通りTeslaの2018年3Q決算は、前年同期と比べて業績拡大、改善が見えた決算でした。

筆者はTeslaの2018年2Q決算は、厳しい状況にある可能性が高いと考えていました。
しかし、Teslaが表明していた通りモデル3の生産が軌道に乗り、資金繰り含めて改善してきています。Teslaが今後も生産拡大を果たし、業績が改善・拡大していくかは分かりません。筆者としては、電気自動車とはいえ、GAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple)のようなIT企業ではないTeslaが、どこまで成長ができるかを見てみたいと思います。