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【余話】三菱UFJ信託銀行の貸出業務移管(三菱UFJ銀行への貸出業務統合・一本化)について

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2018年4月に三菱UFJ信託銀行の貸出業務が三菱UFJ銀行に統合されるとの発表がありました。

この統合は三菱UFJ信託銀行の貸出12兆円を三菱UFJ銀行(2018年4月に商号変更)に移管し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)内での各社の機能別再編を果たすということのようです。

メガバンクグループの子会社再編の話などは日常茶飯事なのですが、この信託銀行からの貸出業務移管について、「ネット上の掲示板の書き込みがすごいことになっている」と知人から聞きました。どうやら金融業界の一部の人たちの間では相当な噂になっているようです。

今回は通常の記事とは異なる形式でMUFG内の貸出業務統合について記載します。

三菱UFJ信託銀行の貸出業務移管

この貸出業務移管は三菱UFJ信託銀行の貸出12兆円、2,600社分、収益500億円を三菱UFJ銀行に移すというものです。

その代わりに三菱UFJ銀行が持っている三菱UFJ国際投信の株式を三菱UFJ信託銀行に渡すということになり、MUFGの中で重複している業務を一本化することを目指しているようです。

そして三菱UFJ信託銀行は資産運用・資産管理を中心とした業務に特化していくことになっています。

www.nikkei.com

http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0445009_01.pdf

ネット上の書き込み 

三菱UFJ信託銀行についてのスレッドが2ちゃんねる(今は5ちゃんねると言った方が正しいのでしょうか)に記載されています。

特に貸出業務移管の発表後は、すさまじい勢いで書き込みがされていたようです。

一部の金融業界では噂になっていたのでしょう。

書き込みの内容としては、実際の行員の書き込みが多い模様で、三菱UFJ信託銀行の経営陣を実名で批判するものや、今後の不安を訴えるもの、行員同士(と思われる)の言い争い等となっています。

総じて、貸出業務を三菱UFJ銀行に渡す決断をした会長・社長が無能であり三菱UFJ銀行の言いなりになっていること、貸出業務がなくなった場合に三菱UFJ銀行の下請けに転落してしまうこと、貸出業務がなくなると収益がかなり下がること、会社の存続が危ういこと、が述べられています。

以下のリンクはご参考です。

三菱UFJ信託銀行2 [無断転載禁止]©2ch.net

三菱UFJ信託銀行4 [無断転載禁止]©2ch.net [無断転載禁止]©2ch.net

書き込みに対する勝手ながらの私見

本当に勝手ながら、この書き込み・事象についての私見を述べます。

  • 統合される側の行員が不安に思うことは非常によく分かります。
  • ただし、何人の行員が書き込みをしているかは分かりませんが、行内の争いをオープンな掲示板に書き込みするのは、情報を取り扱う銀行員としては失格かもしれません。
  • スレッドへの書き込みは、三菱UFJ信託銀行という会社の格・評判を落とすことになる可能性もあり、自分たちの首を絞める結果になりかねません。
  • 会長と社長(その他役員)が無能なのかは分かりませんが、三菱UFJ信託銀行という会社は、フィナンシャル・グループの傘下にすでに入っています。その時点で会社としては独立性を失い、(イメージとしては)三菱UFJ銀行に敗北しているのです。貸出業務が無くなるのは、その当時の経営陣こそが原因があるといっても過言ではありません。筆者は事業法人の持株会社方式の統合を何度も見てきましたが、合併よりも時間をかけるだけで、吸収・解体されていくことに変わりはありません。
  • 貸出業務・窓口を三菱UFJ銀行に奪われた場合に、三菱UFJ信託銀行が下請け・業者になるという想定は、特に日本の金融業界の例からいってその通りでしょう。顧客を握るものが案件をコントロールし、業者の生殺与奪を握るからです。
  • しかし、生命保険会社等銀行への保険商品を卸している企業も相応の収益を確保しています。生き残る道は相応にあるのではないでしょうか。新しい環境で収益を出すしかないのではないでしょうか。

以上、本当に勝手なことを述べてきました。

ただし、銀行業界に関わってきた筆者としては残念だという気持ちなのです。

起きてしまった事象を嘆くより、新しい一歩を踏み出した方が良いのです。

それは究極には銀行を退職するか、新たな環境に適用していくかの2択となるのではないでしょうか。

ぜひ、上記の書き込みをしている銀行員が前向きに業務、自身のキャリア開発に取り組んでいくようになることを願ってやみません。

 

この記事は「余話」として通常の記事とは異なる記載と致しました。関係者の方で気分を害された方がいらっしゃれば申し訳ありません。