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期末に不動産取得資金貸出を狙う際の「公拡法」という落とし穴

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最近は少し傾向が変わってきているかもしれませんが、基本的には「銀行員は数字が全て」です。

3月末の期末に目標(ノルマ)を達成していなければ人間扱いされません。

特に年が明けたこの時期になると、毎日のように会議が開かれ、営業担当者は上司から追い込みをかけられているのではないでしょうか。

そのような中で、融資担当者にとっては、個人でも法人でもお客様が不動産を購入するというイベントは大きなチャンスとなります。

不動産は大きな資金が動きます。

当然、不動産を購入するお客様は銀行から借り入れを行うことが通常です。

そして不動産購入資金は通常は長期の貸出となります。

そうすると長期の貸出ですから高い金利で貸出を行うことができますし、場合によっては手数料を獲得する案件に仕立てあげることもできるかもしれません。

しかも不動産購入資金は、(当然ながら)不動産担保を取りやすいため、銀行員としても貸し出しやすいのです。

このため3月末の期末に向けて、特にこの時期に不動産貸出案件を追いかけている担当者は多いのではないでしょうか。

この不動産貸出案件には注意しておくべき落とし穴があります。

しっかりとした不動産仲介会社がお客様の側についていれば別ですが、そうでない場合には注意が必要です。

それが公拡法です。

今回の記事ではこの法律についてみていくことにしましょう。

公拡法とは

公拡法は「公有地の拡大の推進に関する法律」の略称です。

この公拡法は、住みよいまちづくりのために必要な道路、公園、学校などの公共用地を計画的に取得することを目的に、昭和47年に制定されました。

具体的には、2つの制度が設けられています。

まず第一に、土地の所有者が、一定の要件を満たす土地を有償譲渡(=売買)するときには、その土地が町村の区域に所在する場合は町村長を経由して知事に、市の区域に所在する場合は市長に届け出ること(届出制度)が必要となります。
第二に、県、市町村等に買い取ってもらいたいときは、その土地が町村の区域に所在する場合は町村長を経由して知事に、市の区域に所在する場合は市長に申し出ること(申出制度)ができるのです。

届出・申出のあった土地が公共施設の整備等に必要なものと判断されると、知事又は市長は、買い取り協議を行う地方公共団体等を定めて通知します。その上で合意に達すればその土地を買い取るというものです。

この届出制度が不動産融資を行う際に落とし穴になる可能性があるのです。

以下で届出制度についてみていきましょう。

公拡法の届出制度

以下、非常に分かりやすいのでランドマネジメント社のホームページから説明文を引用します(一部筆者が修正しています)。 

公拡法では、下記に該当する一定面積以上の土地を有償で譲渡しようとするときには、届出が必要であると定められています。

1.次に掲げる土地が含まれる土地取引で、土地の面積が200㎡以上のものを有償で譲渡(売買など)しようとする場合

  • 都市計画施設等の区域内に所在する土地(※計画道路がかかっている場合等。)(筆者註 この土地は一部でも都市計画施設にかかっていれば届出が必要となります=土地面積250㎡で計画道路に15㎡だけかかっている場合も届出対象)
  • 都市計画区域内のうち、道路法により「道路の区域として決定された区域」、都市公園法により「都市公園を設置すべき区域として決定された区域」及び河川法により「河川予定地として指定された土地」等
  • 生産緑地地区の区域内に所在する土地

2.上記1を除く都市計画区域内の土地で、次に掲げる面積以上の土地を有償で譲渡しようとする場合 

  • 市街化区域:5,000㎡以上 
  • 「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」に定める重点地域の区域:5,000㎡以上
  • 前2者を除く区域:10,000㎡以上

上記に該当する場合、譲渡しようとする日の3週間前までに、土地の所在する区市町村長を経由して知事に届出をする必要があります。(届出義務者は売主である土地所有者となります。)
そして、届出をした土地については、次に掲げる日又は通知がある時までの間は譲渡することができないと定められています。

1.買取らない旨の通知があるまで(届出・申出のあった日から3週間以内
2.買取協議を行う旨の通知があった場合は、通知があった日から起算して3週間以内まで(届出・申出のあった日から最長6週間以内

届出については買主が決定してから届出を行うので、急を要する取引の場合にはスケジュール感に注意しなければなりません。

出典 ランドマネジメント社 ホームページ 

http://www.landmanagement.co.jp/case/latest_trend/0824_125116.html

まさにこの記述通りです。

以下にこの流れについて記載した資料を添付します(出典 福井県ホームページ)。
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また期間については以下の図表が分かりやすいでしょう(出典 大阪市ホームページ)。
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公拡法の届出制度はまとめると以下の通りとなります。

  • 都市計画区域内の一定規模以上の土地について、不動産売買するときには土地所有者(売主)が都道府県知事等に届出をする必要がある
  • 届出をした者は最大で6週間は届出先の地方公共団体等以外の者に譲渡できない
  • したがって公拡法の対象となる物件の場合は売買スケジュールに余裕をみておかないと決済が後ズレする

まとめ

以上が銀行員が一般に知っておくべき公拡法の「落とし穴」です。

一般的に5,000㎡以上の土地というのは住宅用の土地や戸建における不動産売買においてはほとんどありませんから、銀行員が注意すべきは都市計画施設がかかる一定面積以上の敷地(東京都等は200㎡以上)の該当区域部分に注意するべきでしょう。また上述していますが計画道路等に少しでも対象物件がかかっていたら当該法律の対象となります。そこも注意が必要です。

これを忘れると、期末に見込んでいた貸出案件が翌期に持ち越しとなりかねません。(例えば、売買契約の締結は期中に終了したものの、決済=資金の授受は翌期、なんてことがあり得ます)

意外と忘れがちなため、案件に取り組む銀行員は注意してください。

 

(公拡法の参考ホームページ=埼玉県)

http://www.pref.saitama.lg.jp/a1003/yo-senkou/index.html