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基準地価の動向

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2017年9月19日に地価調査(2017年7月1日時点)が発表されました。

マスコミの報道では土地の価格が上昇しているイメージを持たれている方もいるのではないでしょうか。

今回は地価調査について考察します。

地価調査とは

まず、地価調査とはどのようなものでしょうか。

国土交通省の土地総合ライブラリーでは以下のように説明されています。

地価公示は、地価公示法に基づき、土地鑑定委員会が、主に都市計画区域内を調査対象として毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を公示するもので、一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安として活用されるとともに、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準としても活用されるなど、いろいろな役割を果たしています。
また、都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都市計画区域内だけではなく都市計画区域外の土地も調査対象として都道府県知事が毎年7月1日時点における調査地点の正常価格を判定するもので、地価公示と調査時点及び対象区域において、相互に補完関係にあります。
http://tochi.mlit.go.jp/faq/334

よくいわれている国の公示地価は1月1日時点、都道府県地価調査すなわち基準地価は7月1日時点となっており半年のズレがあります。評価方法はあまり違いがありませんが、調査対象地点が公示地価と基準地価では異なるということです(重なるところもあり)。

以下、2017年の地価調査にかかるポイントについて記載します。

全国平均

全国平均では2年連続で商業地の基準地価が上昇しました。

前年比+0.5%となります。前年が9年ぶりにプラスに転換しており、この流れを引き継いでいます。

ところが住宅地は前年比で▲0.6%の下落となっており、26年連続の下落です。
全用途の全国平均は▲0.3%であり、全国的にみれば地価の下落は続いているといって良いでしょう。

地価公示や地価調査では「○○地区の不動産が○%上昇した」という報道がなされがちですが、全国平均でみれば地価は下落しているということです。

三大都市圏

一方で、三大都市圏では地価は上昇しています。

商業地では東京圏+3.3%、大阪圏+4.5%、名古屋圏+2.6%となっており上昇幅が前年比増加しています。

住宅地については東京圏+0.6%、大阪圏+0.0%、名古屋圏+0.6%となっており比較的堅調といえるでしょう。

東京圏と大阪圏は商業地や工業地の上昇率が特に目立ちます。再開発案件の増加、外国人観光客の増加、オフィス空室率の低下、物流施設ニーズの拡大等が背景です。

地方中核4市

福岡、広島、仙台、札幌の地方中核4市は、地価の回復傾向が鮮明です。

全国平均の商業地が上昇を維持した大きな要因は、この地方4市の地価上昇によるものです。

商業地で+7.9%、住宅地で+2.8%、全用途で+4.6%となっており、前述の三大都市圏を上回りました。

訪日客の増加によるホテル開発の増加、および再開発案件の増加が要因であり金融緩和に伴う資金が地方にも流れ込んできていることが見てとれます。

地方その他

地方その他は商業地▲1.1%、住宅地▲1.1%となっており、前年に比べると下落率は縮小しているものの下落傾向は続いています。

商業地での特徴

全国地価上昇率の上位10地点はすべて中部、関西の地点となっています。

1位は京都市伏見区(伏見稲荷大社の周辺地)の土地であり、2位は大阪市中央区宗右衛門町(心斎橋・なんば)の土地、3位が名古屋市中村区名駅(名古屋駅前)の土地となっています。

上位10地点には京都府が5、愛知県3、大阪1、福岡1となりました。

1位の地点は前年比29.6%の地価上昇となっており、他地点をみても外国人観光客の増加に伴う店舗・ホテル開発やオフィス需要増加に伴う大規模再開発等が非常に強いことが分かります。

住宅地での特徴

全国的にみて住宅需要は堅調とはいえますが、特に東京圏でのマンション価格には天井感があります。

住宅地については上位10地点はすべて地方都市が占めました。

1位は北海道倶知安町(ニセコ)であり完全に外国人のコンドミニアム等の投資効果によるものです。

上位10地点では、福岡県4、宮城県3、沖縄県2、北海道1となっています。
好調の背景は人口増加が主要因と想定されます。

特に住宅地では沖縄県が+2.4%となっており全国トップとなっています。

全体まとめ

金融緩和を背景に東京圏から三大都市圏、地方中核都市へと地価上昇の流れは広がってきている状況といえます。

マスコミ報道等で不動産投資の増加や地価上昇、マンション価格の高騰等の記事が目立ってきたと感じていますが、三大都市圏や地方中核4市の地価動向はまさにその動きをしているといえます。

ただし、裏を返せばその他の地方都市では地価は下落が続いているということです。
住宅地の地方圏における1万強の地点のうち上昇地点はわずかに1,583地点でしかありません。ほとんどの地点は地価の下落が続いているのです。

すなわち地価は外国人観光客増加、再開発事業等で上昇している一部の商業地域がある一方で、大多数の地域(特に住宅)はまだまだ下落しているといえます。

同じ都市でも地価の変動率には差があります。

足元の動きは利便性の高い土地に資金が集中し、それ以外には資金が行き渡らないという傾向が見られているということでしょう。

今後を鑑みると空き家の問題も顕在化してきます。

その際には更に物件によって価値に差がでてくることになるでしょう。

土地も二極化していくということです。

 

なお、空き家の問題については以下の記事をご参照下さい。