東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが2022年3月期第2四半期の決算を発表しました。
日本最大のテーマパークを運営するオリエンタルランドですが、他のテーマパーク同様にコロナの影響を強く受けています。 今回は、オリエンタルランドの2022年3月期中間決算の状況をしていきたいと思います。
決算状況
オリエンタルランドの2022年3月期上半期の決算は、以下となっています。
【2021年4〜9月業績】
- 売上高 975億円(前年同期比 +384億円、+65%)
- 営業利益 193億円 (+47億円)
- 純利益 141億円 (+159億円)
赤字が続いていますが、大幅な増収、利益も大幅に改善しています。 但し、これは手放しで喜べる内容ではありません。
理由は、前期の第1四半期はテーマパークを臨時休園していたためです。 まず、第1四半期(4~6月) の業績を比較してみましょう。
【2021年4〜6月業績】
- 売上高 498億円(前年同期比 +436億円、+708%)
- 営業利益 88 億円(同+68億円)
- 純利益60億円(同+188億円)
この数字を見て分かるように、 2020年4〜6月はテーマパークが休園していたため、ほとんど売上がありませんでした。
2021年4〜6月はテーマパークが営業していましたので、売上高は前年同期比で+708%となっています。
ところが、 上記の2021年4〜9月業績では、前年同期比での売上高改善幅が落ち込んでいます。すなわち、2021年7〜9月の業績が振るわなかったことが分かるのです。 2022年3月期第2四半期だけ(2021年7〜9月)の業績は以下の通りです。
【2021年7〜9月業績】
- 売上高 477億円(前年同期比▲52億円、▲9,9%)
- 営業利益 105 億円 (同▲20億円)
- 純利益 81 億円(同▲29億円)
このように、第2四半期だけで前年同期と比べるとオリエンタルランドの業績は苦戦しています。
これが、オリエンタルランドの2022年3月期中間決算のポイントとなります。
業績の要因
では、オリエンタルランドの業績が低迷している要因はどのように理解すれば良いのでしょうか。
最大の要因は、やはり入園者数です。
2021年上半期と2022 年上半期の入園者数は、268.5万人→390.1万人 (+45%) となっています。
但し、2021年4〜6月はテーマパークが休園していた訳ですから、 営業期間 (時間) は実質的に2倍になっています。 すなわち、本来であれば、入園者数は2倍 (+100%)になっていてもおかしくはないのです。
しかし、 上記の通り2022年上半期の入園者数は+45%に留まりました。 この理由は、単純で、入園者数の制限を設けているためです。 下半期は緩和されていく見込みですが、 感染状況次第では、再度制限が厳しくなる可能性も捨てきれません。
そもそも 2019 年4〜9月では、 入園者が1,574万人だったテーマパークです。 2021年は2019年の4分の1の入園者数でしかありません。 大幅な低迷が続いているのです。
今後の動向
以上見てきたように、 オリエンタルランドは赤字が続いています。
しかし、すぐに破綻につながるような状況ではありません。
同社は、2021年9月末時点では、現預金は2,032億円確保しています。
一方で、 2022年3月期上半期の販管費 (いわゆるコスト)は266億円です。 この中には実際にはキャッシュアウトが無い減価償却費も入っているものと思われますが、 保守的にこの販管費全額がキャッシュアウトしていると想定します。 この場合、通年では532億円の キャッシュアウトとなります。 それでも、 現在の現預金の水準を勘案すると、 今後現金収入が無かったとしても4年近くは持ちこたえることが可能です。
それぐらいオリエンタルランドの財務内容は良好なのです。そして、オリエンタルランドは、コロナ禍においても投資を行っています。 2022年上半期でも520億円の投資を行っており、アフターコロナに着々と備え、東京ディズニーリゾートの魅力を高めようとしています。コロナの感染状況が続く可能性も捨てきれず、まだまだ安心は出来ないかもしれませんが、テーマパーク業界におけるオリエンタルランドの独り勝ち状態は、続く可能性が高そうです。